- あらすじ
- 「ホルベックの奇妙なレストラン」
これは、日本人が1人もいないデンマークの小さな田舎町ホルベックで、大浦健が暮らした10年間の物語である。この地では、暗く長い冬がやっと終わって、凍りついた大地に春のそよ風が温もりを与える頃になると… 町の周囲に広がる深い森や野山に、春を告げる花々が一斉に咲き始める。やがて、ツグミの一種でとてもひょうきんな鳥、ソールソートが町中いたる所で、美しい春のさえずりを始めると…
この小さな町の中央に立つ、セントニコライ教会の鐘の音が青空に響き渡り、長い冬から開放され再び笑顔を取り戻した人々が、一斉に町に繰り出し始める。
そんなのどかな初春の頃、健はそれまで住んでいたコペンハーゲンから、この田舎町「ホルベック」に引っ越して来たのだった。
デンマークの首都コペンハーゲンから、西へ60キロ程離れた所にそのホルベックという田舎町がある。町の周囲には、うっそうと茂る森、なだらかな丘の上の牧場、蛇行して流れる小川、そして麦畑がどこまでも広がる。それらの間に、おとぎ話に出てくるようなかわいらしい家々が点在している。まるで時の流れを感じさせないような、とてものどかなメルヘンの里に彼は迷い込んでしまったのだった。
妙な縁でデンマーク人の女性と一緒になった彼は、妻の父親がオープンし、伯父さん夫婦が経営することになっていたレストランの補佐役を任されることになってしまう。
このレストランは、まるで古城の内部を思い起こさせるような立派な造りで、当初は食事客だけを受け入れる、高級レストランとして出発するはずだった。
ところが開店の日、お祝いパーティーで酔っぱらった健が、酔った勢いでギターを取り出し、日本のフォークソングなどを歌い始めてしまったからさあ大変。未だかって日本人など見たこともなく、日本の事情など、ほとんど知らない人々が大多数の田舎町。奇妙なエスキモーが、奇妙な歌を歌う店としてのうわさが、たちまち町中に広がり、このレストランは、音楽好きな人々が集まる歌声酒場にと、徐々に変わってしまったのだった。
- Nコード
- N0141FP
- 作者名
- 大津 泰男
- キーワード
- 青春 異国生活 海外体験奇談
- ジャンル
- エッセイ〔その他〕
- 掲載日
- 2019年 06月26日 13時00分
- 最新掲載日
- 2019年 06月26日 13時00分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 1,042文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホルベックの奇妙なレストラン
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品
N0141FP|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
エッセイ〔その他〕
「ホルベックの奇妙なレストラン」
これは、日本人が1人もいないデンマークの小さな田舎町ホルベックで、大浦健が暮らした10年間の物語である。この地では、暗く長い冬がやっと終わって、凍りついた大地に春のそよ風が温もりを与//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。