- あらすじ
- 省エネ少年の前に現れたのは、半透明で身体に鱗を持った幽霊少女、ユーレイさんだった。成仏してほしくて振り回されているうちに、岬の日常が色付いていく。
※自傷癖のあるキャラクターが登場しますが直接の描写はありません。
以下、ネタばれ有りのあらすじです。
「うらめしやっほー!」中二の夏休み、ハイテンションな挨拶とともに岬《みさき》の部屋に現れたのは、やたらとクラシカルな服を着た幽霊だった。何事も要領よく、親しい友人も恋もしないで無機質な岬の日々を、半透明の「ユーレイさん」が色付けていく。覚えているのは、高校二年であることと、家族のこと。ユーレイさんはお姉さんぶって岬にあれこれ口を出す。
両親健在で、健康で、ただ生きていられることは当たり前ではないのだと、家族とろくに口もきかない岬に、ユーレイさんは両親からの受け売りだと、友人、家族、恋と、持論を交えて言い聞かせる。
誕生日ケーキを食べたいというユーレイさんに、それが未練かと岬がスポンジケーキを焼くも膨らまない。さっさと成仏させようとホットケーキやフレンチトーストを教わるうちに、岬は兄への劣等感など、少しずつ年齢相応の本音をこぼすようになる。ユーレイさんはわらったりしないで岬の言葉を受け止めて「傷は大切な人が出来たときに役に立つよ」とわらった。
成仏することにした、とユーレイさんが言いだしたのは夏休みの終わる二日前。いっそこのまま一緒にいてもいいと岬が思い始めていた頃だった。岬はパンケーキを積み上げて誕生日ケーキを贈る。
ちゃんと見つけてね、と意味深な言葉を残して消えたユーレイさんを思いながら、高校生になった岬はユーレイさんの面影を持つ少女、茉莉《まり》に出会う。茉莉に惹かれた岬は、過去の傷も受け入れて恋人になり、結婚する。
岬は長女と双子の弟の父親になったが、娘が高二の夏に病に倒れ、生きるか死ぬかの手術を迫られる。娘の強い希望で手術を受けることにした岬は、麻酔が効いている間に行けるマジカルランドを医師から勧められる。麻酔が効いてから意識が戻るまで、脳波を通じて仮想空間に滞在できるのだ。娘は九月の誕生日ケーキとプレゼントを約束して手術に臨んだ。
誰も気づかずに起こるバグを、岬だけは知っている。
高二の娘の行く先が、中二の岬の夏休みであるということを。
- Nコード
- N0065DK
- 作者名
- 水瀬透
- キーワード
- 日常 青春 ハッピーエンド
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2016年 07月04日 16時16分
- 最終掲載日
- 2016年 07月04日 17時00分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 1件
- 総合評価
- 8pt
- 評価ポイント
- 6pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付けない
- 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 64,285文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユーレイさんの鱗
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品
N8985DL|
作品情報|
短編|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
※流血、殺傷シーンがあります。
あまりに恐ろしいため歴史からも消されたメランコリック・ダイナソー。優しい心を持ちながらその一族に生まれた恐竜ブルーの夢は花冠を作ることだった。ある日ブルーは残酷な心を持った少女アカネと出//
N3360DL|
作品情報|
短編|
童話〔その他〕
どんぞこもりのそこどんは、なまえのとおり、どんぞこもりをしています。
たくさんかなしかったり、こわかったり、きずついたりしたひとたちの、おっこちてくるどんぞこで、おっこちてくるひとたちをまっています。
そこどんは、//
N6786DK|
作品情報|
完結済(全4エピソード)
|
ローファンタジー〔ファンタジー〕
巷で話題のヒーロー少女は、天使のように優しいことからひと呼んで、ヒーローアンジュ。
その正体は人間に紛れて暮らす、悪魔の跡取り娘、あんずだった。悪魔として悪いことをしなければならないというのに、あんずはいいことがした//
N3607DK|
作品情報|
完結済(全6エピソード)
|
童話〔その他〕
あらすじ
大きな松の樹のある、小さな八幡社には、人好きで、いたずら好きな、怒ると怖い神さまが住んでいると云われています。
人々は親しみを込めて、「御宮≪おみや≫さん」と呼んでいます。
その御宮さんには、時折少し//
N2500DK|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
童話〔その他〕
色々な、おとぎ話の詰め合わせです。
ショートショートのようでもありますが、おとぎ話です。誰かを好きになったり、愛したり、それゆえに残酷な展開になることもあるかと思います。
キャラクターが死んでしまうような描写のある//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。