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歩み  作者: yuzuyuzu


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1/1

歩み

棒が倒れた方向に進むだなんていつ以来だろう

こんなトンデモ運任せに進むのは

あまりにも無責任だがその無責任さが心地いい

無機物だし

いや木って生きているのか・・?ということは有機物か・・?

わからなくなってきたので考えるのをやめにした


歩きを進めると古臭い家が出てきた

どう見ても人が住んでいない

なんたって扉が壊れて開け放たれているのだ

人間が住むには少し不用心だ


「失礼しま〜す」気の抜けた声だがひとまずは挨拶した

もし誰かがいて不法侵入だと叫んだとしても一声かけたといえば多少の免罪符にはなるだろう

法律に守られるぐらいの人権はあってほしい


家に入ると椅子があったとても綺麗な椅子だ特段壊れていない

座ることにした

ここまでずっと歩きだったのだしかも雨の中

夏だったからよかったものの冬だったら凍死まっしぐらだ

季節に恵まれてありがたく感じた


水をたっぷり吸い込み思い石と化した服と帽子を脱ぎ捨てる

裸で横になる

身に纏っていた重さがなくなるだけでこんなに解放感があるとは

素晴らしい

もう少し横になっていようかと考えたがお腹が好き喉も乾き挙げ句の果てに水浸し

そんな状態で怠惰を貪るわけにはいかないだろう

さすがにあったかいお茶が飲みたい

火をつけて服も乾かしたい

草を水で沸かしたらお茶になるのではないのだろうか

とりあえずまずは薪を取ってきて火をつけなければならない


やることは決まった

まずは水に濡れた衣類たちを絞り切る

「ふんぬ〜〜!!!!」と怒りに任せて絞る絞る

ある程度水が出なくなったところで乾いた多少清潔なところに置き次に帽子を手に取る

私の知識が正しければ帽子は絞ったらいけない気がしていた

形が崩れるとかそんな類の心配がある

だがそんな悠長なことも言ってられないカビが生えてしまってはもう一緒に行動を共にすることができない

それは少し寂しい気がした


思い切り絞る絞って絞って形がわからなくなるのではないかというぐらい力を込めてみたが意外とピンピンしている

絞る手を緩めると元の形にしっかりと戻るなんて素晴らしい


水に濡れたものはおおよそ絞ることができた

次は薪だ

と言っても薪が運よく割るわけがない

経年劣化か何かしらの運なのか部屋は雑草と手折られた木の枝が転がっていたよく見ると太い木や薪のようなものもある

もちろんマッチもある

ずいぶん昔に放置された家だったのだろう

なんて私に都合が良いのだろう運に恵まれている


早速火を起こすことにした

家に燃え移らないよう細心の注意を払いながら土間で作業をする

マッチがあるなら話が早い

最初に小さくちぎった新聞紙を準備する

細い枝と太い薪を交互に組んでき隙間に新聞紙を入れ込む

マッチで火をつけるとそのまま新聞紙めがけて放り込んだ


瞬く間に燃え広がり小さな焚き火のような形になったその周りに煤が飛び散らないように風向きを見ながら服や帽子を配置する

せっかく綺麗に水を絞った後なのにわざわざ煤で汚すのは忍びない

ついでに捨てられていたポットも外の雨で軽く洗ってそのまま水をため

近くにあった雑草を入れてお茶にすることにした

そのまま焚き火に入れ込むには忍びない綺麗なポットであったが捨てられていたのだ

強い意志を持ってそのまま焚き火の直火で温めることにした


お湯が沸くまで時間があったので食器もお借りして雨粒を溜めて軽く水分補給する

とても美味しい

今日初めての水分だ

記憶によると人間は1日に摂取しなければならない水の量が2リットルとかだった気がする

こんなどうでもいいことは覚えているのに肝心の自分のことについて何も覚えていない

なんて都合が良いのだろう


お湯が沸くまで時間があったので自分もあたたまることにした

暖かい

ずっと雨に打たれながら歩いてきたのだ

自分が想像していたよりも体が冷えていたようだ


寒いと嫌なことばかり考える今後どうしようとか

自分は誰なんだろうかとか

この帽子はなんだろうかとか

私が倒れていた場所に意味はあったのだろうかとか


とはいえ私が目覚めた時に付近には何もなかったし考えすぎかと

体が温まるにつれて前向きな考えになっていた

やはり冷えているより温まっているに限る

そろそろお茶のいい頃合いだろう

沸騰したお茶を湯呑みに入れて軽く冷ます


確か沸騰した水は安全性が高いとかなんとか言っていたような記憶がほのかにあるため

雨水を入れて冷やすということはしなかった


雑草のお茶をおそらく初めて飲んだのだがとても苦い

あまりにも苦いとてもお茶と呼べた代物ではないがそれでもただのお湯よりかは味がついていることに感動しながら飲んだ

体が内側からも外側からも温まってなんていい気持ちなのだろう


服もかなり乾いていたがもう少し時間がかかりそうだ

第二のお茶を沸かしながら部屋を探索することにした

小さめの家だが至る所に押し入れがある

もしかすると他に服が見つかるかもしれない

それこそ布団が見つかれば今夜はぐっすり眠ることができる


そう考え家中の扉を開けて回った

今お湯を沸かしている土間の戸棚、窯の中

おそらく今ふうにいうとリビングと言われるところ

お風呂場

寝室

の押し入れ


あった

布団だ

丁寧に折り畳まれた布団が出てきた

少しカビ臭い気もするが全然許容範囲内だ

このまま地べたで眠るよりも何十倍もマシだ


家の状態もそこまで悪くないしきちんと布団もある

しかもそこまでカビが生えていないのだ

もしかすると放置されたのは最近かもしれない

取り替え布団を敷いて他のめぼしいものを探す

他にはただの布切れと食材の缶詰が少し出てきた

布切れを纏って缶詰を持って焚き火に戻る


ちょうど第二のお湯が湧いていたところだった

何度もおかわりをしてできるだけお腹を満たすことにした

缶詰は最後の手段にとっておきたい

今日がいつなのかわからないため賞味期限が切れているかどうか心配ではあるが

長期保存に向いている缶詰のことだ

多少は大丈夫だろうと思って気にしないことにした

もし今後なんも成果がなく餓死するって時に食べて餓えを凌ぐようにしたい

今はまだピンピンしている

大丈夫だ

そう考えてお茶でお腹を満たすことにした


5回か6回ほどお茶を沸かして飲んでを繰り返すと夜もすっかりと暗くなってしまった

これ以上薪を消費するわけにはいかないそう考えて眠ることにした


明日は何か進展しますように

そう願いながら

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