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はじめまして。初の投稿です!
「天国・地獄・大地獄」-序章-、まさかのNコード9999頂きましたので、頑張って連載していこうと思います笑
序章は1ヶ月間の集中連載で、
毎日〈平日のみ〉1話ずつ夕方に更新していく予定です。
よろしくお願いします!
稲妻が全身を走り抜けたような衝撃とともに俺は目を覚ました。
仰向けに寝そべっているが、背中に硬い感触がある。どうも床で寝ているらしい。
目に映るのは、ありきたりな白いクロスで覆われた天井と、一般家庭にありがちな天井据え付け型の電灯。
ゆっくりと体を起こす。というより、全身の筋肉がこわばっていて、ゆっくりじゃないと起きられない。
床なんかで寝てしまったせいだ。全身が汗ばんでいる。
悪夢にうなされていたような気もするが、夢の内容ははっきり覚えてはいない。
あたりを見回すと、こぢんまりした空間であることがわかった。六畳一間のワンルームだ。
窓のカーテンはぴたりと閉められ、今は昼なのか夜なのか判らない。
置かれた物を見るに、なんとなく俺の部屋だったような気もしてくるが判然としない。
俺は一人暮らししてたんだっけ。
いや、そもそも俺は誰だ?
名前も、何も思い出せない。年齢も、家族も、記憶という記憶を全て失っている。
一体どうしたらそんなことになるんだ。外傷?病気?俺は全身が総毛立つのを感じた。
何か、俺のことがわかる物を探さなくては。財布、ケータイ、何かないか。名前だけでもいい、何か……。
ふと、水の音が耳に入ってくる。これはシャワーの音だ。
音に導かれるように、部屋から細長のキッチンへと向かい、流しの真向かいのドアを開ける。
そこはトイレと風呂が一体化したユニットバスで、壁にかけられたシャワーからは勢いよく水が出続けていた。
目の前に突如現れた男の顔を食い入るように見つめた。それは鏡に映った自分の顔だった。
二十代後半といったその顔立ちは、一瞬の違和感の後に、見慣れた自分のものだという実感が湧いてくる。
まるでピンボケしていた映像がくっきりとした解像度に戻っていくように。
シャワーに視線を戻す。湯気は見えない。触らずともそれが冷水であることがわかった。
シャワーは小さめのバスタブに水を注ぎ続けており、なみなみと水が張られたバスタブからは今にも水が溢れんとしている。
俺はシャワーを止めようと、壁に据え付けられた水栓のハンドルを捻ったが、どっちに回してもまるで手応えがなく、吹き出す水は一向に止まらない。
壊れてやがる。ついにバスタブから水が溢れ出し、俺の足元の床に溜まり始めた。
おいおい、これ排水されてないぞ。
俺はバスタブの栓につながる鎖に手をかけて勢いよく引っ張ったが、鎖が手に食い込むだけでまったく抜ける気配がない。
そうこうしているうちにも、水はトイレの床面に溜まり続け、くるぶしのあたりまできている。
あわててユニットバスからキッチンに戻った俺は、キッチン戸棚の取っ手にかけてあったタオルで足を拭きながら、止まらない水に恐怖を感じ始めていた。
ユニットバスの扉はぴたりとしまっているが、足元には換気用の穴が空いている。案の定、その穴から水が漏れ始めた。
まずい、このままじゃ部屋中が水浸しになる。
とにかく部屋を出よう。
俺はキッチンの奥に見えている玄関扉に向かい、小さな土間に置かれたスニーカーを履く。素足だからか違和感はあるものの、サイズはぴったりだ。
やはりここは俺の部屋なのか?
そう思いながら扉のノブに手をかけた瞬間、頭の奥に激しい痛みが走り、咄嗟に両手で頭を抑える。
痛みと同時に、記憶の断片がよみがえってくる。
そうだ、ここは俺の部屋で間違いない。俺はここで暮らしていた。だが、一人じゃなかった。
誰かが、いた。誰だ?
部屋の方から、赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。振り返るが、その姿はどこにも見当たらない。
幻聴にしてはリアリティのあるその泣き声はどんどん大きくなり、頭に響いて頭痛を助長した。
うるさい、うるさい!ちょっと黙ってくれ!
そのとき、ずしんと部屋が揺れた。地震というよりは、巨大なものが建物に激突したような衝撃だ。
その新たな恐怖が引き金となり、足元に迫りくる水と、赤ん坊の絶叫から逃げたい一心で、俺はふたたびドアノブに飛びついた。
鍵はかかっていなかった。
勢いよくドアを開けた先の光景を見て、
俺は呆気にとられた。
02 へつづく
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