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魔法協会

悠は、魔法協会の会長に再度呼び出しがかかった。


北海道の局長室にいたのは、どこかで見覚えがある少女だった。


「この女の子は?」


「悠さんの血縁者にあたります。」


「血縁者?」


悠は、彼女がお墓の前にいたことを思い出し少し納得がいった。 ただ、血縁者と言っても血のつながりは薄い存在だった。


「それで、どうしてここにいる?」


「2つ目のお願いをしたいです。 この子を預かってもらえないでしょうか?」


「預かるって? 何で俺が?」


「両親は洞爺湖に行っていました。この子は、難民としてこちらが預かりました。この子の他の親族はこの子を育てる余裕がないそうです。」


彼女は今身寄りがなく魔法協会の難民施設で生活をしている。魔法協会は、遠い親戚まで当たったが誰も受け入れられないということだった。


「悠さん、さらにこの子は特殊能力者なのです。」


「特殊能力者!」

悠は、そのことに驚き少し声を大にしてしまった。特殊能力は、5百万人に一人の割合というとても稀有な存在であった。この国には、20人の固有能力者がいる。その特殊能力者はどの企業も高額で雇うぐらい珍しくレアな存在である。特殊能力の種類は様々だが、実戦において有効性があるのと実戦での有効性がない2種がある。

実戦において役立つものは、再生や巨大化、毒などの能力である。実戦において役に立ちにくい能力は、綿や予言と言った能力である


「彼女の能力は?」

一番肝心なことだった。特殊能力者というだけで価値が上がるが能力次第でさらに向上する。


「彼女の特殊能力は?」


「身体強化です。」


彼女は紛れもない逸材だった。 戦闘系の能力しかも身体強化は自分の戦い方と近い存在であった。魔法とかではなく物理技を得意とし、体術や近接格闘などの経験が必要となる。

悠自身も魔法はあまり使用せず、ショットガンでの戦いがメインとなっている。そこには、相手との駆け引きや相手の様子を伺うことが必要となってくる。


「彼女を俺に託すってことか?」


「彼女を巡ってクラン同士で抗争が起こってもおかしくない逸材です。他の親族が頼れないので、この子を匿うことも含めお任せしたいのです。」


「君お名前はなんていうの?」


悠は、サングラスをかけており少し強面なので、子供は少し悠に怯えている様子だった。

「有紗」


「有紗ちゃんね。」


悠は、有紗の頭を撫で久々に子供の可愛いさに触れた。


ただ、悠の悩みの種は、なるべく親族を持たないようにしていることだった。それは、彼らが必ず自分よりも先に死んでしまうからだ。身近な者が亡くなることは悠にとっての辛い出来事だった。また一人残されていくという感情に苛まれるようになっていた。


この子の件も含めて、全てを鵜呑みにできる状況ではなかった。 返答には少々の時間をもらうことにした。


悠は、なんで自分にこんなに仕事が舞い降りるのかと思っていた。普通に隠居し暮らしたいと思う悠にとっては難点だった。ただ、自分に力があるのに戦わないということで救える市民を助けられないという、正義感を感じてしまっている。

何かのきっかけで引退した時のために、お金をためているのだった。魔法協会から多額の恩賞を受け取っているのは引退した時のことを考えているためであった。


有紗を預かるにしても、Zionを引き継ぐにしても準備が必要なので一旦は有紗を預かってもらうことに決めた。


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