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東京

1ヶ月という時間は過ぎ、明日が魔法競技祭本番になってしまった。

応援には有紗も来てくれるようで、有紗の前でカッコ悪い姿は見せられなかった。

当日に現地に行くのではなく、前日に皆で一斉に移動することが決まった。

今日から3日はA級下位がリーダーとなり、この会社の指揮をしてもらう。緊急事態にはこちらに連絡が来るようになっている。さらに、魔法協会に人員派遣の要請を頼んでいて、S級が2名、A級が3名来てもらえるため、心配する必要はあまり無かった。


悠は、有紗と全員を連れ飛行場に向かった。


「有紗ちゃん、飛行機怖い?」


「飛行機って何?」


有紗は首を傾げ質問していた。


「乗り物だよ。」


「ノリ物?」


そのかわいらしい、言葉遣いに皆心を打たれていた。

現役の魔法士たちは、結婚していない者、子供がいない者が多い。死亡率が多いため、現役は結婚しにくい環境だった。そういう者たちは、子供に飢えていることが多かった。


会社のメンバーも毎日有紗に会っているため、有紗の心は開き始めていた。少しずつ皆と会話をすることも多くなっていた。彼女は本当にこの会社のムードメーカーとなっていた。特に悠は、最近毎日忙しい中で彼女の存在に癒される事が多買った。ただ、昼間は咲奈が幼稚園に連れて行ってくれているため、皆のやる気が下がっているのを肌で感じていた。3時には迎えに行ってくれるので、そこからの仕事は圧倒的に捗っていた。相変わらず、面白いメンバーが集まっていると不図笑ってしまうことも多かった。




今日は、前日入りをするために東京に行くため、皆が社員旅行のようなノリで飛行場まで来ていた。

悠は、ロジックの本社が東京にあったため、久々という感じはしなかった。ただ、メンバーの中には、東京に行くことが初めてという者や久々というものが多く、皆機内からテンションが高かった。


今回も魔法協会が用意してくれた専用飛行機で東京まで向かうこととなる。今回の大会の主催者は魔法協会のため、大会運営の費用を魔法協会が全額持ちとなっている。


東京までは、1時間と少しで到着した。

有紗は、初めての離着陸には物怖じせず、心が強い子とみんなから褒められていた。


羽田空港に着くと、特別なルートを案内された。新千歳の時もそうだったのだが、一応全員が魔道具や刀などを装備しているため、魔法士というものは空港にいると注目されてしまう。さらに、由香や咲奈や拓実などは人気が高いため、人だかりがあっという間に作ってしまう。


「すみません。 こちらに来ていただけますでしょうか?」


空港職員に連れられ、人通りが少ない裏口を通り空港を出ることができた。空港の裏口に用意されていた協会が用意したマイクロバスに乗り、東京の魔法協会本部所有のホテルに向かうことにした。


悠は、バスの中で今日観光したい場所を伺っていた。


「何処か行きたい場所があるか?」


「東京タワー。 浅草寺。」 など、一般的な東京の観光名所の名が挙がった。

他から見える武器を持っていない者は自由行動でよいが、武器の使用をするものは、目立ってしまうため近くに武器を置けるようにバスか車での移動とした方が良かった。

今日は、上位の魔法士が東京に集まるため、その者たちを一目見ようと東京に来るものが多い。特に人混みに囲まれると出られなくなってしまうから、気をつける必要があった。


個人で観光したい者は個別に動き、他のものはある程度のグループを作ることにした。


悠は、有紗と回るため普段着用している仮面を外して素顔がばれていないようにしていた。

特に、咲奈と由香と回ることは有紗の事を他の会社に知られてしまうかもしれないため難しかった。


有紗は、今回の東京旅行を楽しみにしていた。彼女は、今回のために咲奈と一緒に計画を考えていた。


「俺は、咲奈、有紗と3人で行くよ。」


「咲奈それでいいか?」


「私は、有紗ちゃんと一緒にいたいので、有紗ちゃんの行きたいところ何処でもついていきます。」


「一緒に遊ぼうね〜」

有紗は、咲奈に対して深く頷いていた。

咲奈は、完全に有紗の母親代わりとなっていた。悠にとっては、咲奈の存在が有り難かった。


「ちょっと待ってください、悠さん。」


由香が急に割って入ってきた。


「私も同行させていただきます。」


彼女は、自信満々に私に有紗を任せてくださいと言わんばかりの行動だった。


「有紗が行きたいところは、子供が楽しめるような場所だから、合わせることが出来ないぞ・」


「大丈夫です。 私は東京が長いので観光は必要ありません。」


「咲奈と有紗は顔が知られているから、変装してもらって良いか?」


由香は、カバンの中から帽子とサングラスを取り出した。サングラスのサイズが大きく、いつも一緒にいた悠でさえ由香と認識できなかった。


咲奈は、深々と帽子を被りサングラスではなく眼鏡をすることで誤魔化していた。

由香は、誰もわからないと思うが咲奈も及第点と言ったところだった。


「悠さん、夜の食事は私が予約しておきます。」


今日の由香の行動は珍しかった。ロジックにいた時は、一緒に出掛けたいなどと言われたことはなく、プライベートでの付き合いもほとんどなかった。


「皆、すまんが4人で行動する。 各自、自由行動で動いてくれ。」


魔法協会のホテルまで着くと荷物を預け次第、各々の行動となった。


悠は、魔法協会の方に車を借り、4人で咲奈の行きたがっていた遊園地に向かった。

某東京の遊園地は、大人から子供まで楽しめる施設になっており。平日休日問わず客数が非常に多い。到着した時は、まだ10時過ぎで開園一時間というところなのに人混みだった。悠は、遊園地などに来ることは初めてで、どうやって楽しむのかを理解していなかった。


遊園地に入って早々色々な人の視線を浴びることとなった。他から見れば、女性2人に男1人の子供1人という状態で居ることに違和感を感じたものも多いだろう。さらに、一人は明らかに可笑しなサングラスをしている。くれぐれもバレないように行動することを心がけた。

有紗は、遊園地に入るや否や咲奈の手を引っ張ってメリーゴーランドに向かった。

悠は、可愛い有紗の姿を残しておきたいと思い、必死にカメラを手に取りシャッターチャンスを逃さなかった。

有紗は、とても楽しそうな様子でいろいろなアトラクションに由香や咲奈を付き添わせていた。


遊園地内で昼食をとり、午後も有紗は元気が有り余るくらい遊んでいた。ただ、遊園地に来てから、7時間も経過し、そろそろ夕食の予約をとっている場所に向かう必要があった。


「由香どこの食事を予約したんだ?」


「銀座のお店です。」


銀座だったらそろそろ出発をしないと混み始めてしまう時間帯だった。


「そろそろ、そっちに向かうか。」


由香も咲奈も移動することを了承してくれた。

ただ、有紗だけはこちらを見向きもしなかった。


「有紗、もう帰るよ。」


有紗は、少し不貞腐れている様子だった。楽しい時間があっという間に終わってしまってぐずるのはどの子も同じだった。


「まだ帰りたくない。」


ここまで、彼女が気持ちを表したのは初めてだった。悠は、いつも有紗にとても甘いが、さすがに店を貸し切りにしているので、ここを出発しなければならなかった。


「有紗、また来よう。」


「ほんと?」


悠は、有紗と約束の指切りをした。

―ゆびきりげんまん・・・


4人は、車で銀座のお店に向かった。

今日は、日本食を堪能できるお店で、ゆったりとした有紗との家族の時間を取れた。

だいぶ遅くなってしまったが、ホテルに戻ると酔っぱらいのメンバーたちがホテルのフロントの椅子に腰を掛けていた。

顔を真っ赤にしている時点で、各々東京観光を楽しんできたようだった。


「明日は早いからゆっくり休め。」


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