入社
「Zionへの入社希望の者は、今すぐ応募出来ます。」という張り紙を見て、来訪してくれてくれた者が多くいた。一応、個別に来られても対応に困るので、面接日を指定しておいた。
等級関係なしという記載をしておいたため、総勢400名以上の入社希望者が資料を送ってくれた。
7割近くC級であった。C級は不遇の扱いを受けやすく、C級以上のゲートへの派遣が出来ないため、下働きが多くなる。しかも、大手の会社以外は、C級を雇っていないところも多い。そのため、C級が多く押し寄せることは容易に想像できた。
魔法士は、C級が一番下の位である。魔法士に憧れていたがC級を与えられたものは、出世は厳しいし、危険で短命の仕事である割に給与は他の等級よりかなり落ちてしまう。しかも、C級の採用は殆ど大手の会社となり、C級の内定倍率は150倍近くになることもある。そのため、魔法士の資格を得ても魔法士としての仕事がない者も多く存在する。 そういう者たちにとって今回の募集は、絶好のチャンスであった。 等級関係なしの採用となれば、日本全国から応募者が集まった。
今回は、自分と拓海と由香による面接。10人ずつの面接で43回の面接を行わなければならない。1回1時間となり43時間の面接が行われる。5日間に分け、同時に、等級の検査を受ける必要があった。そちらは、魔法協会の方々に行ってもらっている。
最初に検査を受けてもらい、その検査結果を踏まえて面接を行っていく。
5日間で日程が組まれており、各々の来訪となるが、Zionにいる者たちは、1日10時間以上の勤務を5日間連続で行ってもらうしかなかった。
1日目が始まった。
1日目の面接者はC級が9割を占めていた。特殊能力を持っている者はいなかったため、誠意を見せて仕事に励んでくれそうな者の採用を行っていった。
悠は、C級の中から異例とはなる60名の採用を考えていた。そのため、倍率は4倍以上だが、他の会社と比べると圧倒的に入りやすいこととなる。
1日目の面接の中でも、S級が1人、A級が5人いたことが驚きだった。S級の1人は、悠もあったことがある人で会社を辞めているとは思わなかった。丁度契約満了したから新たな場所を探しているというタイミングが完璧だった。
A級の中には、会社で問題を起こし強制的に辞めさせられた。という者もいた。犯罪歴や他の会社からの評判が良くなかった者、特にA級以上は噂が流れやすい。そのため、彼のことは、由香も悠も知っていた。ランクがすべてではなく、組織に入り協力していく必要があるため、自分勝手な行動をするものは受け入れられなかった。
B級は、チラホラ現れており、悠が知っている元A級で引退した者たちも多く参加をしてくれた。
2日目を迎え、面接をし続けた。 面接官は皆疲れが出てきていた。
今回もほとんどC級で、S級は見られなかった。2日目は、C級とB級の選出が大変であった。
3日目も同様にほとんどがC級でありながらS級とA級がいた。
A級は現役の者がここに受かったら会社を辞めるという勢いを持っている者がいた。
どこかの女性とそっくりだと思ってしまった。
S級は今の日本で70名以上いる。会社ごとのS級の人数が決まっており由香がS級の実力を持ちながらも、A級に留まっていたのもそういう理由だった。2日目に来てくれた者も、他の会社でS級の充足で溢れてしまったそうだ。そのため、会社を辞めて個人で活動をしていたそうだ。
個人として活動する際は、魔法協会がバックとなり、要請を出した会社に派遣される仕組みとなる。個人にいると派遣された会社との人数的に割られてしまう。さらに、討伐個体の回収は出来ないため、会社に入る時と比べて半減近くになってしまう。
そのため、会社の募集が出次第応募が殺到する。
その後も3日、4日、5日は面接をしていた。
A級以上の結果を急がせ、2日で結果が出るようにした。 B級C級は、面接1回と実力の測定結果を吟味して考える必要があり、人数が多いため長時間必要だった。
結果S級4名。咲奈、楓馬、凛、健吾
A級 12名 B級20名、C級60名の確保が出来た。
さらに同窓会メンバーがいる。 まだまだ足りないが、半分近くの人員確保が出来た。
Zionは、S級 現在7名(代表を除く) 目標10名 A級 26名 目標 50名 B級60名 目標 80名 C級 110名 目標 200名
(同窓会と公式応募の結果)
ここに居るS級は、悠と由香が上位ランク。それ以外はS級下位ランクとなる。ただ、ロジックのSランクは全員S級上位となるため、圧倒的に力負けしてしまっている。
派遣
入社が決まったものには、担当部署を決定しており、各地への移動をお願いしていた。
一度本社であるZionに来てもらい、入社説明会を行った後各部署への配属となる。特に、A級下位、B級、C級 は、地方の支店担当となるため現地で家を借りてもらった。
今回この人数が集まり北海道の小樽、室蘭、苫小牧、ニセコ、函館、という札幌を中心とした各地の支店を担当してもらう。
特に、函館は支店の中でも大きく守備範囲が広いためS級2名とA級4名、B級10名C級20名の派遣が必要になる。本社の方には、自分を含めたS級4名とA級上位8名全員とB級10名C級40名を残すこととなった。さらに支店の中でも比較的大規模な小樽と函館には、ヘリの隊員の派遣も必要となる。ヘリの隊員は80名以上いる中20名を小樽と函館の勤務をお願いしている。本社には、40名の隊員を置き、常時20機ものヘリが動かせる状態になっている。
他の室蘭、苫小牧、ニセコはA級2人とB級10名前後とC級10名前後を1支部へ配置することとなった。元々その地に住んでいたものも多く、B級やC級などでZionの衰退前から所属していた者達がそのまま地方に残ってくれていた。
基本的に、S級と上位A級は門の対応によって様々な場所を駆け回るが、B級C級はその地を任された以上、希望がない限りその地で働き続けることとなる。
ただ、Zionに所属したからには、死ぬまでに様々な場所に行って欲しいという思いがあるため、積極的な移動の申し出を受け入れている。
5支店の派遣依頼終了で、1日5億もの金額を支払わなくてよくなった。トータル28支店の本社も含めてトータル1日30億で他社に依頼をしていた。計2か月のため180億もの支払いをしなくてはならない。
Zionは、2000億以上の余剰資金があったので100以上の支払いでも耐えることが出来ていた。
入社した者の契約は5年契約を基本としているが、給与は1年単位の支払いとした。先払いを望むものは先払いを月単位で行うことを可能とし、B級C級隊員は皆、先払いを望んでいるためその月C級隊員に5億弱B級隊員に4億弱の支払いとなった。
社員が入社してZionにも活気が戻ってきた。 朝から任務についての講習が行われ、どのようにゲート対応をしていくのかをリモートで各支部の全員と共有した。
基本的に魔法協会が定めている物と同じルールである。
Zionとしての門の対応は、支店も本社も基本的には同じとなっている。
S級ゲートには、S級隊員が3名と処理班であるB級隊員が3名。
A級ゲートには、A級隊員が4名と処理班であるC級隊員が3名。
B級ゲートには、B級隊員が5名と処理班であるB級隊員が3名。
C級ゲートには、C級隊員が5名。というのが基準となっている。ただ、B級ゲートの対応をA級隊員1名と処理班2名。C級ゲートの対応をB級隊員2名と処理班という形で、等級が一つ下のゲート対応に緊急で入ることがある。ただ、S級がB級ゲートに行ったりA級がC級ゲートに行ったりすること基本的にはない。それは、突如上級のゲートが出現した時の対応ができなくなってしまうからである。ただ、ゲートに異常が発生した時だけは別である。
何故、苫小牧やニセコにS級を置かないかというと、「等級」が高いゲートの出現は時間がある。そのため、魔力値がS級なことを感知してから出向くことにしている。一番の理由は、そこに置く、人材が不足しているため全支店に置くことが出来ないのだ。
A級以下のゲート発生は、魔力値を感知してから30分から1時間以内に発生する。
S級ゲートは、1時間以上から2時間以内に基本的には発生する。
そのため、札幌と小樽と函館の中で、ゲート発生に近い方から現地へ向かうようになる。
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