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新メンバー

悠と由香は、社長室で話し込んでいた。

その時に、珍しい来客が来た。


「悠、今日から働かせてもらうぜ」


その男は、以前入社を確約してくれた拓海であった。彼は、A級認定を受けて、魔法士としては引退を考える歳ながらも、まだまだ実力が衰えていないことを証明してくれた。


「あれ、由香ちゃんじゃん。」


彼は、もとロジックのメンバーだから由香とは長い付き合いであった。


「お久しぶりです、拓海さん。 お元気でしたか?」


「バリバリ元気よ。 毎日が退屈すぎて、悠と一緒にまた働くことにした。」


彼は常に笑顔であった。再び自分が必要とされることが本当に喜ばしかったのだろう。


「拓海、由香がロジックを辞めて、ここに入りたいと言っているがどう思う?」


「ロジック辞めちゃうの?」


拓海は驚きのあまり大きな声を出してしまった。ロジックは、入団希望者が毎年殺到するほど入団が難しい。さらに、ロジックを辞めるということは、日本一の会社という肩書きを捨てる事になってしまう。ロジックを辞めて他の企業に移るということは異例だった。

それは、全てにおいてロジックが優遇されており、全て一番良い状態だからであった。


「はい。悠さんがいるZionに入るつもりです。」


「由香は、昔から《悠さん、悠さん》って付いて回っていたよな。 本当に悠のことが好きだな。」


ロジックで実力のある由香がどうしてS級のライセンスを取得した後も悠の付き人をしていたかというと、そのまま悠とともに行動することを由香の方から頼んでいたらしい。悠は、由香が付き人だった事でかなり楽をさせてもらっていた。


「悠さんは私の中で一番尊敬できる人です。 だからこそ一緒に居たいと思うのは当然です。」


彼女のこの強気の姿勢は何処から来ているのかまだルイは知る由もなかった。


「まあ、良いんじゃねえか。」


拓実は、あんまり深く考え込まずに返答した。元ロジックの者がこのように言うとは思っていなかった。拓海は円満に引退しているからこそ、ロジックとのイザコザは余り受け入れないと思っていた。


「お前が良いというとは。 ロジックと対立関係になってもいいのか?」


「悠、ロジックにいる奴らは、皆お前の教え子だ。お前への恩はみんなが持っている。こんなことで奴らと対立になりはしねえよ。」


悠は、そこまで教え子たちに信頼されていたことを初めて気づき少し照れ臭くなっていた。


改めて、由香の方を見るとこちらに深く頷いて拓海に賛同していた。悠は覚悟を決め彼女を受け入れる事にした。


「由香いいよ。 Zionは君を快く受け入れよう。」


「それと違約金は、この会社持ちではなく、俺が払おう。」


悠は、ここまで自分を信頼してくれている由香に少しでもカッコよく見せたかった。


「本当ですか。」


「やった。 Zionに入れる。」

由香は、突然立ち上がり、とても嬉しそうな様子だった。

悠と拓実は、お互い顔を見合わせこれから彼女を支えていく事に決めた。


「悠さん違約金は待ってください。私のけじめでもあります。 違約金は自分で払います。」


「由香ちゃん、違約金がどのくらいになるのか知っている?」


悠は、彼女が違約金のことを勘違いしていると思っていた。流石に、30億近くを払えるような魔法士は、ほとんど存在しない。


「2億ぐらいですか?」


由香は、悠がそこまで強く言っている理由が、あまり分かっていない様子だった。


「Sに昇格して、契約更新したの?」


「提示されたものをそのまま受け入れました。」


だとすると悠の想像通り、違約金は15億以上になる可能性が高かった。さらにS級の上位下位でも大きく差が開く。由香は、先の戦いを見るに上位と言っても遜色はないくらいだった。下手すると、40億近くになってしまうかもしれなかった。


「いいよ。 違約金は20億以上になると思うから、俺が出そう。」


由香は唖然としていた。今回が初めての転職のため違約金制度などは頭に無かったのだろう。


「悠さん」


由香は、悠の傍まで行き、悠をそっと抱きしめた。これは、由香なりの感謝の意味を込めているのだろうと悠は勝手に勘違いをしていた。


「ありがとうございます。」



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