表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

美味しいウソ

「なんて不味いんだ……」


もちろん口には出さなかった。

初めて彼女の家に招かれて、手料理をふるまってもらっているのだから。


「わたし、料理ヘタだから」


まさか謙遜じゃなかったとは。


彼女と結婚する男性は災難だな。

そう思いながら前を向くと、当の本人は期待と不安の入り交じった眼でボクの言葉をまっている。


「とっても美味しいよ」


自慢の笑顔で応えてやる。とたんに彼女はほっとした表情になった。


ボクは彼女の手をにぎりしめて言った。

「君のような女性を探し求めていた。結婚してください」


あれから2年がすぎた。

妻の料理の腕前は相変わらずひどいものだ。だがそれでいいのだ。それでこそボクはがんばれるのだから。


今日もボクは心の底から叫ぶ。


「うっま!! なんスか、これ!? どんな魔法使ってんスか?! うっわ、マジで感動……。ボク、今日まで生きててよかったっス! はうう、ずっと味わってたい。もうこの店で住み込みで働かせてくださいっス!!」


ボクがグルメリポーターとして人気ナンバーワンの座をキープできているのは、すべて妻のおかげだ。


ありがとう、妻よ。


それにしても……家に帰りたくない。


(おわり)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ