カネと気分次第で時には人を救う
コレに関しては滅茶苦茶戦々恐々でしめやかに失禁してションベン漏らしそうな件(真顔
「あぁ……温かいお風呂はやっぱ気持ち良いわぁ……」
汗と血で穢れたその身を石鹸で洗った後。
マリィはテルマエの広々とした浴槽に満たされた湯に浸かるなり、心の底からから気持ち良さそうに漏らしていた。
そんなマリィの隣で湯に浸かるウルスラは呆れ混じりにボヤく。
「オッサンじゃん」
呆れるウルスラにマリィは気持ち良く湯に浸かりながら返した。
「だってー、10日振りの風呂なんだもんマジで気持ち良いんだから仕方無いじゃん」
ドラゴンの番を仕留める。
そんなデカいヤマは往復の移動も含め、終わるまでに10日も掛かった。
その10日の間、マリィは風呂に入れなかった。
それ故、10日振りの風呂は最高に気持ち良く感じてしまうのは無理も無い事であろう。
気持ち良さそうに浸かるマリィにウルスラは尋ねる。
「で?デカいヤマを踏んだ後はどうする訳?当分は居るんでしょ?」
ウルスラの問いにマリィは顔を両手に掬った湯で顔を洗うと、思案しながら答える。
「そうね……先ず、何日かは休むわ。流石に疲れたし……で、休んだ後はチンケなヤマを細々と片付けて糊口を凌ぐわ」
マリィが遠回しに予定が無い。
そう答えれば、ウルスラは提案と言う形で御願いして来た。
「ならさぁ……ウチの用心棒してくんない?最近、たちの悪い客が来て困ってんのよ」
ウルスラの御願いに対し、マリィは拒否で返した。
「冗談。あの"因業クソババア"の用心棒なんて御断りよ」
ウルスラの勤めてる娼館の主である"因業クソババア"とマリィの仲はハッキリ言って悪い。
まぁ、ソレを差し引いても……
「あの"因業クソババア"は滅茶苦茶ケチだし、給金も安いからどっちにしろ嫌よ」
用心棒代をケチって来る事が目に見えてるが故に、マリィがウルスラの御願いを聴く事は無かった。
そんなマリィに対し、ウルスラは呆れ混じりに返す。
「相変わらずカネにガメついわね。まぁ、マーイがケチで用心棒代をケチって来るのは目に見えてるから仕方無いか……」
マーイと言うのは、ウルスラが勤めてる娼館の主である老婆の名だ。
そんなマーイがケチなのをウルスラも知るが故に、マリィが拒否するのは予想の範疇とも言えた。
「そう言う事。だから、用心棒を御願いするのは辞めてよね」
「一応、マーイからアンタに用心棒する様に頼めって言われけど、コレで頼んだ事になるわよね?」
「えぇ、頼んだ事になるわね」
そんな遣り取りが終わると、マリィとウルスラは気持ち良さそうに湯に浸かっていく。
周りにはウルスラの同業者とも言える娼婦が何人か居り、マリィとウルスラと同じ様に気持ち良さそうに湯に浸かって居た。
意外と思われるが、バンリューと言うクソな地区であってもテルマエはある。
其処では娼婦やマリィの様な冒険者やヤクザも含めた労働者が身体を洗って湯に浸かり、仕事の疲れを癒していく。
それ故、バンリュー内のヤクザ達の間ではテルマエ内での揉め事は勿論、殺し合いは言語道断として暗黙の了解と言う形で聖域に指定されている。
無論、盗みも無しだ。
やったバカはバンリュー内のヤクザによって制裁され、吊るされる。
テルマエはバンリューに於ける数少ない安全な癒しの場と言えた。
話が逸れた。
湯船から出たマリィとウルスラは石鹸とタオルで再び身体と髪を洗っていく。
頭を洗い終えたマリィにウルスラは言う。
「アンタ、前よりもガタイ良くなった?」
ウルスラの目から見たマリィの身体は靭やかなれど、所々に筋肉が付いてガッシリとしていた。
それこそ、名工が打った名剣さながらに。
そんな肉体のマリィは身体を洗いながらさも当然の様に返す。
「そりゃあ、暴力で飯食ってるからね。鍛えとかないと死ぬし……」
そう返されると、ウルスラは茶化す様に言う。
「その割には客受け悪そうな貧相なパイオツね」
ウルスラの言葉にマリィはムッとしながら返した。
「そりゃ、アンタみたいなデカパイじゃないし、男に股開いて商売もしてないからね」
「酷い言い草ね。まぁ、事実だから仕方無いけど……」
酷い言葉の応酬であるが、マリィとウルスラは古くからの付き合い。
共にクソな路上で育った孤児であるからこそ、酷い言葉の応酬が許されるだけの親愛がある。
そんな遣り取りをしながら浴室を後にすると、マリィとウルスラは身体をバスタオルで拭っていく。
暫くして身体中の雫を拭い去ると、用意していた下着を纏い始めた。
程無くして着替えを済ませた2人はテルマエを後にすると、別れた。
「じゃあね。マリィ」
「またねウルスラ」
もう一度会える事を願って互いに別れを告げると、マリィは歩みを進めていく。
10分ほど歩いて見えてきた寂れた食堂の戸を開けて中に入ると、薄暗い店内の奥で年配の店主が暇そうに欠伸をしているのが見えた。
年配の店主はマリィに気付くと気さくに声を掛ける。
「よぉ、マリィ。くたばってなかったんだな」
「ハァイ、トニー。相変わらず客が居ないわね」
「おめーが来ない時に客が来てんだよ」
「嘘だぁ。アンタの料理不味いじゃん」
皮肉の応酬が終わると、トニーと呼ばれた年配の店主は一番奥の席へ歩みを進めるマリィに尋ねる。
「何にする?」
「先ずはレモネードとグラッパを1杯頂戴」
レモネードとグラッパと呼ばれるワイン造りの際に出る葡萄の絞り滓から造られる蒸留酒を注文すれば、トニーは大小異なる2つのグラスを手に取り始めた。
大きなグラスにレモネードを注ぎ、小さなグラスにはグラッパを注いだトニーは2つのグラスをトレーに置くと、マリィの方に赴いていく。
「ほらよ」
大小異なる2つのグラスをマリィの前に置けば、トニーは告げる。
「昼前だから簡単なのしか出せねぇぞ」
つっけんどんに告げたトニーにマリィは「ソレで構わない」そう返すと、トニーは空のトレーを手に立ち去っていく。
独り残されたマリィはレモネードを一口飲んで身体の渇きを癒していく。
「ふぅぅ……生き返るわ」
レモンの仄かな酸味と蜂蜜の甘味が疲れを癒してくれる事に喜びを見せたマリィはレモネードのグラスを置くと、グラッパのグラスへ手を伸ばした。
グラッパの注がれたグラスを傾けたマリィは仄かな葡萄の香りを楽しんでから口に含むと、口内でまろやかな甘みの混じるグラッパの強いアルコールを堪能していく。
因みにアルコール度数は47と、地味に高かったりする。
「やっぱ、ヤマ踏んだ後の1杯って最高だわ」
グラッパのグラスを一息で空けたマリィは愉しそうに独り言ちると、煙草を咥えて火を点した。
煙草を燻らせて紫煙を吐き出して暢気に平穏に満ちた至福の時を過ごしていると、外から微かながらにも慌ただしく走る音が聞こえて来た。
マリィは我関せず。
そう言わんばかりに煙草を燻らせ、レモネードを飲んでいると、慌ただしく駆ける足音がトニーの店の前で止まると同時に扉が喧しい音を立てて開いた。
「マリィ居るか!!?」
扉を蹴り開け、マリィを呼んだのはマリィと同年代ぐらいであろう顔や腕等に傷のある若い男であった。
そんな若い男の姿から面倒事を察したマリィは彼が言う前に告げる。
「トリー。悪いんだけど、今日は休みたい気分なのよね」
面倒臭そうに関わりたくない。
そう告げれば、若い男はハッキリと大きな声で返した。
「いつもの倍払う!!」
倍の金額を支払う。と、若い男から言われたマリィは仕方無い。
そう言わんばかりに立ち上がると、卓上に銀貨を3枚置いてから店の奥に居るであろうトニーに告げる。
「勘定置いとくわよー」
トニーにそう言い残したマリィは若い男……悲惨な路上で共に生きた友にして兄弟。
そして、ヤクザの幹部でもある彼……トレモアに尋ねる。
「症状は?」
「腹を刺されてる。手下にはヤッパは抜かずに傷口を押さえながらお前のヤサへ運ぶ様に言ってある」
「助からなくても文句は言うな。カネも払えよ」
トリーに告げれば、マリィはトレモアと共にトニーの食堂を後にしてバンリューの街中を全力で駆けて行くのであった。
全力で駆けてから7分後。
自分の住まいのあるアパルトマンに来たマリィとトレモアは中に入ってから廊下を駆け抜けて、1つの部屋へと勢い良く入っていた。
2人の入った部室の中央には粗末なベッドが据えられており、その上には1人のチンピラが横たわって怒声を挙げていた。
「クソ!痛ぇ!あんのクソ野郎ブチ殺してやっからな!!」
そのチンピラの周りには2人のチンピラが居り、1人は血で紅く染まるタオルで刺された傷口を必死に押さえ、もう1人は「もう助かるからな!!」そう必死に声掛けを続けて刺されたチンピラの意識の維持に専念していた。
そんな様子を見たマリィは隣に立つトレモアに指示を下す。
「水汲んで来い!!」
「解った!!」
ヤクザの幹部でありながら下働きの小僧がする様な事を命じられたトレモアであったが、文句を言う事無く即座に水を汲みに外へと駆け出していく。
そんなトレモアを他所にマリィは歩みを進めて部屋の隅に据えられた錠前で固く閉ざされる大きな棚の前に立つと、錠前を外して棚を開けた。
棚に置かれた小瓶と小さな匙を手に取ったマリィは棚から去ると、刺された痛みと刺した相手への怒りに満ちた怒声を上げるチンピラの前へと歩みを進めていく。
「あのクソアマ!ゼッテーブチ殺してやる!!」
チンピラの前に立ったマリィは呆れ混じりにボヤく。
「そんだけ元気なら治療要らなくない?」
そうボヤきながらもマリィは小瓶の蓋を開けると、匙に小瓶の中身である薬品の水溶液を垂らしていく。
一匙分の薬品を匙に満たしたマリィはキレ散らかすチンピラに告げる。
「口開けろ。痛み止めよ」
喚き散らすチンピラが口を素直に開けると、マリィは匙にある薬品の水溶液をチンピラの口内へと垂らした。
すると、チンピラは驚きを露わにした。
「嘘だろ?何で痛みが引いてんだ?」
唐突に激しい痛みが一気に引いた事に困惑するチンピラ。
そんなチンピラを他所にマリィは「流石モルヒネ擬きね」と、独り言ちながらチンピラの様子を注意深く見詰めながら首筋に2本の指を乗せていく。
脈拍は"モルヒネ擬き"で低下した関係で興奮状態で高い筈なのに安定し始めてる。
意識は一応ハッキリしてるし、瞳孔の縮小も見受けられない。
皮膚も冷たくも無い。
ヤバい副作用は今の所は無い。
そう見ても良さそうね……
チンピラの脈拍が安定し始めてる理由の仮説を脳内で立てたマリィは刺されたチンピラの様子を改めて見詰めると、人差し指を立てて未だ困惑してるチンピラに尋ねる。
「この指、何本に見える?」
「い、1本だけど俺に何したんだよ?」
「識別能力はあるし、不安はいきなり激しい痛みが消えたから困惑してるのも大きそうだけど……何か気持ち悪いとか、目がクラクラするとかは?後、怠さとかある?」
「ね、ねーよ……」
患者であるチンピラがハッキリと自分の口で答えれば、マリィはチンピラの額に手を軽く添える。
すると、仄かな紫色の光がマリィの手から放たれ、チンピラは静かに小さなイビキをかいて眠り始めた。
そんなチンピラの様子に2人のチンピラが困惑するが、マリィは気にする事無くそう傷口を押さえるチンピラに尋ねる。
「コイツは何時刺されたの?」
「つ、ついさっき女に刺されたんだ」
チンピラが困惑しながらも何時刺されたのか?答えると、マリィは「多分助かるわよ」と、暢気に返した。
それから程無くして桶に水を汲んで来たトレモアが戻ってくると、マリィは「其処の手水盥に水注いで」そう指示を下していく。
その後。
手水盥に満たされた水と石鹸で両手を入念に洗ったマリィは、両手から仄かな白い光を輝かせ始めた。
浄化完了。
さて、始めますか……
心の中で独り言ちたマリィはトレモアとチンピラ2人に命じる。
「部屋から出ろ!!」
マリィの怒鳴り声にも思える指示にトレモアと2人のチンピラは直ぐに部屋の外へと出た。
コレから行う人命救助の為の手術をマリィは他人に見られたくなかった。
教会にバレた場合、下手しなくても異端認定されて焚刑にされる方法であるが故に。
まぁ、ソレ以前に芥子を許可無く扱った事がバレても不味いのだが……
自分と患者だけである事を確認すると、マリィは改めて患者が呼吸している事を確認してから茶色く変色したタオルを退かして床に捨てる。
チンピラの腹から生える刃物。
もとい、包丁を確認したマリィは指先から魔力で作った薄く斬れ味鋭い刃を放つと、紅く染まっている服を切り裂いていく。
程無くして服を切り裂き終えて刺された傷口が露わになると、マリィは傷口を観察し始めた。
傷口は広がってない。と、言う事は刺された後に捻られて無い訳か……
そうなると、刺した奴は素人かしら?
ヤクザ絡みなら刺した後、捻って傷を広げるし……
本気で誰かを刺し殺したいならば、刺した後に柄を思い切り捻って傷口を広げる。
その方が、確実に耐え難い激痛を与えられると共に殺せる可能性も一気に増す。
だが、目の前で横たわる患者の刺し傷は捻られた形跡が無い。
それ故にマリィは刺した犯人は素人なのではないか?
そう考えながら包丁刺さるチンピラの腹を見詰め、体内を透視していく。
マジか……刃先がハラワタに届いてるし、2つの重要な血管にも損傷与えてる。
包丁抜いたら確実に死ぬ。
でも、他の臓器が無事なのは幸いと見るべきかしら?
腹に刺さる包丁は腹部に収まる大腸まで達していた。
それ故、抜いたら死ぬ。
そう判断したマリィは腹部の傷口から少し離れた箇所を仄かな白い光で照らして表面を浄化すると、指先の魔力刃で切り開いていく。
腹部を切り開き終えると、切り開いたばかりの腹の中に手を入れて体内を両手から発したのと同じ仄かな白光で照らしていく。
白光の効力によってチンピラの体内を浄化するマリィは、同時並行で損傷のある2つの血管を魔法によるサイコキネシスで圧迫して止血していく。
2つの血管の圧迫によって一時的な止血を成功させたマリィは刺さっている包丁をサイコキネシスで触れる事無く床へ抜き捨てると、白光で傷口からの腸内に内包される糞便による汚染を除染しながら魔力の糸と針で腸の傷を縫合し始めた。
包丁の刃先が刺さっていた腸の傷を的確に素早く縫合し、腸の傷を繋ぎ合わせる事に成功したマリィは大きな溜息を漏らして一息入れると、次の作業。
腹部にある損傷のある2つの重要な血管。
もとい、上腸間膜動脈と左腎動脈の縫合に着手していく。
幸いにも魔法によるサイコキネシスで止血が上手くいっているのか?
今の所、激しい出血は起きなかった。
マリィは激しい出血が起きなかった事に安堵しながらも、気を緩める事無く2つの血管の縫合をしていく。
魔力で作った糸で切断された血管を素早く的確に繋ぎ合わせたマリィは、其処に己が持つ聖女としての癒しの力で縫合箇所の治癒を促進した。
刺突された事で大きな損傷を受けた2つの重要な血管を慎重かつ素早く縫合する事に成功したマリィは、止血の為の血管への圧迫を解除。
その後、傷口全体を完全に縫合して繋ぎ合わせて切り開かれた部分の縫合も完了させたマリィは聖女の持つ癒しの力で患者であるチンピラの治癒と造血機能を促進させた。
最後に脈拍が安定している事を確認してキチンと血管が脈打つ事を確認すれば、安堵に満ちた溜息と共にボヤきを漏らす。
「ハァァ……帰って来て早々こんなのしたくねぇわ。マジでしんどいねん」
盛大にボヤいたマリィは辟易としながらも、手術を成功させた達成感に少しだけホッとすると、胸ポケットから煙草を1本抜き取って咥える。
煙草に火を点して紫煙を吐き出したマリィは部屋を後にすると、扉の前で待っていたトレモア達へ紫煙と共に告げた。
「すぅぅ……ふぅぅ……一応、処置完了したから多分、死なないわよ」
マリィの言葉にチンピラの兄貴分であるトレモアはホッと胸を撫で下ろすと、マリィに感謝の言葉を述べた。
「マジ助かるわ。ありがとうな」
「私に感謝してんなら目に見える形でやれ」
要約すれば、報酬を寄越せ。
そう告げるマリィに応える様にトレモアは6枚の金貨を差し出して来た。
「約束のカネだ」
マリィは差し出された6枚の金貨を見ると、見咎める様に返す。
「2枚多いわよ」
報酬が多い事を見咎めるマリィにトレモアは涼しい顔でさも当然の様に返した。
「ソイツはまた頼むかもしんねぇから、その分の前払いだ」
「ふざけんなアホ。私は稼げる本業の方に力入れてぇんだよ」
遠回しに二度と来るな。
そう返すマリィにトレモアは涼しい顔を保ったまま切り返す。
「なら、倍出すって言った分って事で」
約束の金額。
そう言い張るトレモアに少しだけ呆れたマリィは6枚の金貨を受け取った。
「そう言う事なら貰っとくわ。でも、半年後はマジで此方の仕事は出来なくなるからね」
「そん時は見捨てるさ」
サラッと言ってのけるトレモアにマリィは呆れながらも処置した者の責任として、今直ぐには帰せない事を告げる。
「あ、明日の朝まで経過観察したいからあのバカの着替えとか人手用意しといて」
処置は完了した。
しかし、今直ぐに患者を動かすのは流石に危険であった。
それ故、翌日の朝までは経過観察したい。
そう告げれば、トレモアはマリィに告げる。
「後でウチの者を寄越すわ。ソイツにあのバカの世話させれば良いか?」
「是非そうして。後、私の休みをブチ壊してくれてありがとう」
嫌味を混じえて返せば、トレモアは涼しい顔を保ったまま手下であるチンピラ2人と共にアパルトマンを後にした。
残されたマリィは「面倒な仕事が出来たなぁ……」と、ボヤきながら部屋に戻り、両手を洗ってから煙草を静かに燻らせて紫煙と共に一息吐いた。
「ふぅぅ……」
「3人を殺した後に1人を救うってどんな気分?」
聞き慣れた女の声で問われると、マリィは煙草を燻らせながら声のした方へと視線を向ける。
其処には黒衣とも言える全身を覆い隠す黒いローブに身を包んだ顔の無い。
無貌の女の姿があった。
モルヒネ擬き…一匙飲むと経口モルヒネみたいに痛みを消してくれるオピオイド系鎮痛剤
材料はアヘンとヘロインの原料である芥子の果汁とか
芥子の果汁を魔法の力とかで精製して作った経口摂取式の麻酔薬
本文中にもある様に腹を生きたまま切り裂いても痛みを感じない程度に効果はある
後、呼吸機能への阻害も無いとか言うチート←
魔導と聖女の癒しと浄化の力が無きゃ、この世界でこんな外科手術は無理だと思うよ
縫合に関してはHUNTERXHUNTERの旅団メンバーであるマチの念糸縫合みてぇな感じ
違うのは離れても強度は変わらず、設定した時間が過ぎれば消える点ぐらいかな?
魔力刃や魔法によるサイコキネシスを使うのは外科用手術の器材が手に入らんからよ