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邪悪な狩りの作法

サブタイ通りの一話目


少しだけショッキングかもしれないシーンがあります


 バンリューの()()()()()()()()()()私には()()()()()()()()()()()

 前世の私はこの記憶が確かなら、膨大な魔導の知識と技術を持った魔女だった。

 それが理由なのか?

 解らないけど、私には魔法の才があった。

 その上、私の前世たる魔女は私には素晴らしい才がある。

 そう夢の中で私に告げて来た。

 同時に、その素晴らしい才が人々に知れた時。

 私の人生が大きく変わる。

 それから、とても面倒臭い事にもなる。

 2つの予言にも似た言葉も告げて来た。

 だとしても、私の人生をどう生きるか?

 ソレは私自身の意思で決めたい。

 そんな私は日々の糧と()()()()()()、冒険者としてヤマを踏んでいる。






 目の前に深紅の肌を持つドラゴンが全身を覆い隠す様にローブに身を包む少女と言うチッポケな獲物にして、敵を睨み付ける。

 深紅の肌を持つドラゴンはクリムゾンドラゴンと人々から呼ばれており、恐れられていた。

 そんなドラゴンから睨み付けられる少女は臆する事無く睨み返すと、クリムゾンドラゴンに向けて吐き捨てた。


 「ガン付けんなクソトカゲ」


 吐き捨てたと同時。

 少女は右の掌を翳すや、魔力弾をクリムゾンドラゴンの顔目掛けて放った。

 クリムゾンドラゴンはチッポケな獲物の魔弾に対し、巨体にも関わらず軽やかに右横に跳んで回避する。


 「チッ!」


 己が放った魔弾が虚空を通り過ぎた事に少女が舌打ちすると、クリムゾンドラゴンが先程まで居た所の背後にある岩壁を粉砕するに終わった。

 少女の初撃を躱したクリムゾンドラゴンは息を大きく吸い込むや、必殺とも言える炎のブレスを放った。

 炎のブレスは部屋全体を業火で覆い尽くし、紅蓮に染めていく。

 だが、少女は無事だった。


 「いきなり部屋全体を焼くとかおっかないわ……」


 クリムゾンドラゴンがブレスを放つ寸前。

 少女は魔法を地面に行使し、己とクリムゾンドラゴンの間に分厚い壁を錬成した。

 その結果。

 業火によって灰燼に帰す事を回避に成功し、軽口を叩く事が出来たのであった。

 そんな少女は掌に魔力を込めると、地面に流し込む。

 すると、分厚い壁の左側に少女と同じぐらいの大きさの土塊が現れた。

 そんな土塊に気付き一瞥したクリムゾンドラゴンであったが、何故か己の巨体を壁に向けて突っ込ませる。


 「やっぱ、引っ掛かってくんないか!」


 魔力を全身に通して身体強化していた少女が地面を蹴って錬成したばかりの土塊の方へ飛び出す。

 すると、一瞬後に錬成した分厚い壁が粉砕されて粉々になると共に少女が居た所が蹂躙されていく。

 炎の中を駆け、土塊の背後に廻って矢先。

 クリムゾンドラゴンが再びブレスを放たんと大きく息を吸い始めた。

 そんなクリムゾンドラゴンに対し、少女は右手を翳すと再び魔力弾を放った。

 土塊をブチ抜いて飛んでいく魔力弾はブレスを放たんと、大きな顎を開けていたクリムゾンドラゴンの口内へと吸い込まれる様にして飛んでいく。

 ブレスが再び吐き出されようとした瞬間。

 クリムゾンドラゴンの口内で大きな爆発が起き、業火に包まれる室内を大きく揺らさんばかりの轟音が轟いた。

 爆煙が止むと口内からもうもうと煙を挙げるクリムゾンドラゴンの無事な姿が露わとなる。

 クリムゾンドラゴンは油断ならざる小さな敵を捜さんと、耳目に意識を集中させて周囲を睥睨していく。

 少女の気配は既に砕け散った土塊の背後には無かった。

 無謀にも、矮小なる人間を瞬く間に灰燼へと己帰す業火の中へ逃げたのか?

 クリムゾンドラゴンは一瞬だけ困惑する。

 だが、クリムゾンドラゴンは直ぐにその考えを棄てた。

 その矢先。

 己の左目から突如として光が喪われた。

 クリムゾンドラゴンは己の左目があった所から伝わる激痛に悶絶し、咆哮を挙げる。

 咆哮によって室内がビリビリと痺れる中。

 少女はクリムゾンドラゴンの尻尾から伝ってその巨体を登っていた。

 クリムゾンドラゴンの巨大な背を駆け抜け、首を駆け上がって頭頂部へ辿り着いた少女は右手に魔力を最大限込めていく。

 魔力が完全にチャージ完了するや、少女は魔力を最大まで込めた右手で拳を作る。

 そして、拳をクリムゾンドラゴンの頭頂部へと打ち込んだ。

 少女の小さな拳が打ち込まれた瞬間。

 分厚く強固な皮膚と皮膚の下の肉。

 そして、頭蓋骨がブチ抜かれ、頭蓋骨に鎧われた脳味噌が木っ端微塵に粉砕された。

 脳を完全に破壊されたクリムゾンドラゴンは糸の切れた操り人形の如くダランと力を失って地面に崩れ落ち、ピクリとも動かなくなる。

 そんな巨大な骸と化したクリムゾンドラゴンの頭の上では、少女が見事に殺りきった。

 そう言わんばかりに勝利の咆哮を挙げる。


 「()ったどぉぉ!!!」


 見事。

 クリムゾンドラゴンと言う最強の名を欲しいままにしたドラゴンを討ち取った少女は満足そうに骸の頭上で大の字に寝そべると、暢気にボヤキを漏らす。


 「この死体。どうやって持って帰ろうかしら?その前に火を消さないとか……」


 そうボヤいた少女は立ち上がると、魔力から大量の水を産み出して部屋中を焼き尽くさんとする業火の消火を始めた。

 程なくして消火が済めば、少女はクリムゾンドラゴンの骸から飛び降りてマジマジと狩ったばかりの獲物を見上げていく。

 目の前に聳える獲物の骸を見上げる少女は無意識に自然と顔を綻ばせる。

 バカデカい大物を仕留めたのだ。

 顔が無意識の内に達成感と勝利の高揚で綻び、歓喜の笑みが溢れるのは当然。

 何なら、極自然な人間の本能とも言えるだろう。

 歓喜の笑みをローブの内側で浮かべる少女は直ぐに真剣な表情になると、次の支度に取り掛かり始めた。


 コイツ(クリムゾンドラゴン)()()

 ()()()この後、やって来る。


 少女の獲物はクリムゾンドラゴンだけでは無かった。

 このクリムゾンドラゴンは睾丸と陰茎が無く、代わりに膣口がある事から雌と解る。

 そして、このクリムゾンドラゴンには(つがい)

 即ち、夫である雄のドラゴンが居た。

 そう。

 少女は夫たる雄のドラゴンも狩らんとしていた。

 そんな少女は骸と化した雌のクリムゾンドラゴンの傍らに歩み寄り、鳴き声と共に語り掛ける3頭の可愛らしい小さなドラゴンの子供を見下ろすと、邪悪な笑みを浮かべて非道で残虐極まりない狩り支度を始めるのであった。





 少女の狩り支度が済んでから半時。

 約30分が経った頃。

 雌のクリムゾンドラゴンの(つがい)たる雄の漆黒のドラゴン。

 クリムゾンドラゴンよりも強いと謳われ、国すらも焼き尽くすと恐れられるノワールドラゴンが愛する妻と子供達の待つ我が家へ帰って来た。

 帰って来たノワールドラゴンは目の前に広がる光景に対し、部屋全体が大きく揺れ動く程に強過ぎる雄叫びを挙げてしまう。

 雄叫びで大きく揺れ動く部屋の中心は、惨たらしく逆さ吊りにされて浮かぶ愛する妻たるクリムゾンドラゴンで飾られていた。

 そればかりか、床は逆さ吊りにされた愛する妻たるクリムゾンドラゴンの血で赤く染め上げられ、更には染め上げられた地面を彩る様に首を撥ねられた子供達の骸が転がっている。

 そんな惨たらしく、悍ましい光景を目の当たりにしたノワールドラゴンは悲痛極まりない咆哮を挙げ続ける。

 一頻り咆哮を挙げ続けて愛する家族の悍ましく惨たらしい骸に対して哀しんだノワールドラゴンは、ピタリと咆哮を辞めた。

 そして、当然の帰結。

 そう言わんばかりに愛する家族を殺した怨敵を殺さんと、憎悪と憤怒と共に固く誓った。

 しかし、ノワールドラゴンは目の前に広がる残虐と非道極まりない飾り付けを施された愛する家族の骸と、愛する家族を殺された悲しみと怒り。

 それから、部屋中に満ち溢れる愛する妻の濃厚な血の臭いで気付かない。

 憎き怨敵が己を殺さんと、息を潜めてタイミングを図っている事を未だ気付かない。

 強過ぎる悲しみと怒りと共に家族の骸を見詰めるノワールドラゴンの頭上へ向けて天井から落ちて来る怨敵に。

 家族の骸を見詰めて復讐を誓うノワールドラゴンの頭上に落着するや、少女はクリムゾンドラゴンを殺した様に魔力を込めた拳を打ち込んだ。

 クリムゾンドラゴンの時と同じ様に硬い皮膚と分厚い肉。

 そして、頭蓋骨を打ち抜かれると共に内部の脳味噌を粉砕され、ノワールドラゴンは地面に崩れ落ちて動かなくなった。

 憎んでも足りぬ怨敵に対し、一太刀浴びせる事も出来ずに死んだのだ。

 そんなノワールドラゴンの骸の頭上に立つクリムゾンドラゴンの血で全身を染める少女は骸を見下ろすと、悪怯れる事無く宣う。


 「マトモに真っ向から戦ったら勝てる気がしなかったから、滅茶苦茶汚い手を使わせて貰ったわ」


 少女がクリムゾンドラゴンと子供達の骸を邪悪極まりない飾り立てしたのは、決して悪趣味な嗜好からではない。

 賢人よりも賢い知恵を持つとされるドラゴンにチャチな策は通じない。

 勿論、嗅覚も犬並みに良くて魔力感知能力も高く、耳と目も良い。

 そんなドラゴンを狩る為、少女はクリムゾンドラゴンを魔法によるサイコキネシスで逆さ吊りに浮かべ、クリムゾンドラゴンの血抜きをした。

 血抜きの際に己自身もクリムゾンドラゴンの血を全身に浴びると共に床を膨大な鮮血で染め上げ、首を撥ねた子供達の骸で飾り立てた。

 勿論、部屋中に魔力を充満させてドラゴンの持つ魔力感知能力に対してジャミングも掛けた。

 その結果。

 ノワールドラゴンは感情を強烈に揺さぶられると共に意識が愛する家族の骸に集中し、天井に潜んでいた少女に気付く事が出来なかった。

 そして、無惨に殺された。

 邪悪極まりない狩りを躊躇う事無くやって退けた少女は真剣な面持ちと共に骸から降りると、その場で跪いて祈りを捧げ始める。


 「偉大にして寛大なる慈悲深き主よ。どうか御身の慈悲でこの者等に安息を齎さん事を……」


 神妙な面持ちと共に己が残虐と非道に満ち溢れた方法で殺害した少女は、ドラゴン一家へ鎮魂の祈りを捧げていく。

 その祈りが神に届くか?解らない。

 実際に確かめた者が居ないのだから当然だろう。

 だが、少女は敬虔な信徒の如く真剣に祈りを捧げ続ける。

 そうして、己が殺した残虐非道極まりない方法で殺したドラゴン一家への祈りが終わると、祈りの締め括りを唱えた。


 「そして、願わくば罪悪深き己に報いを与え給え」


 罪悪深き己に報いを与え給え。

 そう締め括った少女は立ち上がると、早速と言わんばかりにドラゴンの骸の解体を始めるのであった。





やり口がフルメタル・パニックアニオリのゲイツがやった事がありそうだと思うが、アレよりはマシだと思いたい←

因みに前世の魔女さんは師からこの手口を教わって実践した事が数度あるよ(もち、師も実践した事が多々ある

なので、ある意味で受け継がれた卑の意思とも言える←


でも、汚い云々は抜きに滅茶苦茶脅威的な強者相手にする際の意表を突く、強者の思考を一時的にフリーズさせる方法としてはアリだと思わなくもない

主人公がして良い事じゃねぇけどな!!



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