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転生するには試験が必要です。  作者: 勝羅 勝斗
6/20

6話

俺は思いっきり声を放った後、深く深呼吸をしてその場に立ち尽くしていた。


何だこの能力は・・・俺には何もないってことか?


それに説明が書いてあるって言ってたけど、書いてないじゃん!


そんなことを考えながら、呆然としていると、レナトゥスが声をかけてきた。


「そこ!何事だやかましいぞ!まだ説明は終わっとらん。最後まで黙って聞かんか無礼者。さもなくば即失格にするぞ。何か質問があるなら最後にせい!」


「すみませんでした」


「うむ。では続けよう」


なんかめちゃくちゃ怒られた・・・


直後、レナトゥスはゴホンッと咳払いをして話を再開する。


「この試験は、輪廻転生希望者と異世界転生者の二人一組でペアを組んで、自身の能力を活かして戦ってもらう。能力の詳細は先ほど説明した通りに確認できる」


えっ!もう説明してたの?しまった聞き逃してた・・・それ一番重要なやつ!


とにかく今は話を聞かなきゃダメだよな


「諸君らにはあらじめここに来るとき、星印が刻印されたペンダントを渡されていると思う」


レナトゥスの隣の席に座っていた審査員が、金色と銀色のペンダントを会場にいる全員に見える形で掲げる。


「金色のペンダントを付けている者が輪廻転生希望者。銀色のペンダントを付けている者が異世界転生希望者だ。諸君らはこれを目印にペアを探してくれたまえ」


俺は首に下げたペンダントを持ち上る。


これはそのためだったのか・・・


「そして、今諸君らに与えた能力は転生後の特典としてのものでもある。だが転生できるのは優勝したペアのみ」


つまりペアを組む相手次第で、自分が生き残れるかがほとんど決まるってことだ。


落ち着け・・・俺の能力がどんなものかがわからない以上、ペアを組んでくれる人が居るかどうか・・・


「では次は勝敗についてだ。諸君らには戦闘開始と同時にゲームでよくあるHPゲージが視界に表示される」


なんか急にゲームっぽいな・・・


「相手チームのHPを先に全損させた方の勝ち。敗北者は魂ごと消えてもらうのでそのつもりでいてくれたまえ」


いや、ほんと容赦ないな・・・


ふと視線をミチエルの方へ移すと、彼女は右手で球状の光を造り、不気味な笑みを浮かべながら、俺たち参加者をまるで、収穫間近の果実を眺めるような目で見つめている。


抹消(ヤる)気満々じゃねーか!


「では諸君らにはこれからペアを探してもらう。その後で、森林、鉱山、市街地、砂漠の四つのステージに分かれて戦ってもらい、各エリアで生き残った者達で再びこのドームで決勝戦を行う流れだ。試験の説明はこれで終了する。質問があるものは居るか?」


そう問われて俺はすぐさま手を挙げる。


聞き逃していた能力の説明を確認するためだ。


「あのー能力の詳細についてなんですけど、もう一度教えていただけませんか?よく聞き取れなかったので」


「お主は先ほど私の話を遮った者だな!それは自業自得であろう。ペアを組んだ者に聞くが良い」


冷てぇーなこのおっさん!神様なんだったら、もっと親切にしてくれても良いじゃないか!


まぁ自業自得と言えばそうなんだけどさ・・・


あともう一つ気になることがあるし・・・


「もう一つだけ聞いても良いですか?」


「何事だ?」


「俺の紙には属性『無』と能力名『虚無』と書かれていたんですが、能力って本当に全員に与えられているんですか?」


「能力は全員に与えられている。それは間違いない。そう書いてあったのなら、そういうことであろう」


「なるほど・・・ありがとうございました」


俺が質問を終えると、レナトゥスはもう一度全員に声をかけ質問がないかを確認した後、質問タイムを終了して話を終えた。


結局。俺の能力については何も手がかりを得られなかった。


しばらくして、参加者たちがペアを決める時間になった。


俺は近くにいる人に声をかけたが、能力の確認どころか「得体の知れないヤツをペアにはしたくない」と全て断られてしまった。


当然といば当然かも知れない・・・このペアの選定には、自分の命と転生できるかどうかが賭かっているのだ。


自分の能力も把握できていないヤツと組むより、有力なヤツと組む方が生き残りやすいと考えるのは普通だろう。


そんなことを考えていると、俺以外の全員がペアを決め終わり一人取り残されていた。


「完全にあぶれちまった・・・」


俺がため息をついていると、レナトゥスが声をかけてくる。


「そろそろ決まったか?では各エリアに転送を・・・」


「待ってください!まだ決まっていません」


俺は慌てて声を挙げる。


「またお主か!まだ決まっておらんのか?誰かさっさと組んでやれ」


すると、人混みの中から人をかき分け一人の女性が現れた。


彼女は黒髪ロングで後ろの髪は腰まであり、前髪は肩まである容姿の整った綺麗な女性だ。


そして首から金色のペンダントを下げている。


輪廻転生希望者の証だ。


お互いにペンダントの色を確認して、暖かいため息が溢れる。


「富永 明里です。私でよかったら・・・」


「和泉 孝です。俺からもよろしくお願いします」


「能力の確認方法は後でお伝えしますね」


「ありがとうございます・・・ってなぜそのことを?」


「目立ってましたから・・・」


「あぁ・・・」


明里は苦笑いを浮かべながら微笑んで、俺はため息にも似たような声を漏らしながら、恥ずかしさのあまり顔をそらしてしまった。


めっちゃ恥ずかしんですけど〜


俺そんなに目立ってた?


次の瞬間レナトゥスが咳払いをして、会場全体に声をかける。


「うむ、これで揃ったな。では各エリアに転送を開始する」


こうして俺にも無事にペアが見つかり、各エリアに転送されるのだった。














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