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転生するには試験が必要です。  作者: 勝羅 勝斗


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13/20

13話

ドームの会場には俺と明里を含む八人が立っている。


転生神レナトゥスの説明によると、ここにいる俺を含めた八人はそれぞれ森林、鉱山、市街地、砂漠の各ステージを生き抜いてきた人たちらしい。


ふと、横にいる明里の頭上を見ると、減っていたHPが復活して、満タンの状態に戻っていた。


決勝トーナメントを戦うにあたって、HPをリセットして最初からにしてくれるのは正直ありがたいと思う。


HPが減った状態で試合なんてしたら、勝てる試合も勝てなくなってしまうかもしれない。


転生するのに試験を用意するような神様たちでも、さすがにそこまでは鬼じゃなかったらしい。


それにしてもここにいる連中はみんな強い能力者ってことだよな・・・


「孝さん。聞いてますか?」


「ん?どうしたの?」


そんなことを考えていると、明里に横から声をかけられた。


「どうしたの?じゃありませんよ!なんでぼーっとしてるんですか?」


気がつくとレナトゥスがさっそく決勝トーナメントの説明をはじめていた。


「ちゃんと聞いてるんですか?今回は聞き逃さないでくださいね」


「あぁ、うん。気をつけるよ。ありがとう・・・」


「もうっ!」


どうやら、明里は立ち尽くしている俺を見て、ちゃんと話を聞いているか心配になって声をかけてきたらしい。


明里の頬が膨らんで、少し赤くなっていた。


正直、とても可愛いと思う。


いやいや、こういうことを考えているから大事な話を聞き逃すんじゃないか!


よし、落ち着いて話を聞こう・・・


「決勝トーナメントはここにいる八人で行う。対戦は各ステージの時と同じく二人一組で行う。優勝して転生の権利を獲得してくれたまえ。諸君らの健闘を祈る」


レナトゥスの説明が終わると、会場にいる全員の顔が引き締まったように感じた。


「ではこれより決勝戦の組み分けを始める」


レナトゥスはそう言って手に持っていた杖を振り上げる。


すると、ドーム会場の中心に大きな魔法の壁が現れて二つに分断された。


それと同時に俺の目の前には二人組の男女が立っていた。


一瞬で組み分けが終わったようだ。


「おっ今度は可愛い女子じゃん!やったね、この前はオバサン相手だったからな〜今回は最初から本気だそう」


相手の男はそう言って明里を見た。


対する明里の方は、男の発言を聞いて若干引いている。


そして相手の女性の方も男の方を睨んでいる。


一瞬この場が凍りついたように感じた。


男の外見は茶髪のツーブロックで首にネックレスをつけていて、少しチャラそうな見た目をしている。


なんとなく雰囲気が京也に似ている気がする・・・


「あっ俺、蓮っていうんだよろしく」


「ああ、孝だよろしく」


俺は軽く自己紹介をする。


「孝さん今回こそは私が女性の相手をします。もし戦うことになっても変に遠慮しないでくださいね。容赦は入りませんから」


「ああ、うん。わかったそうするよ」


なんだか心に釘を刺された気分だ。


前回のことがよっぽど気になっているらしい。


「仁美と言います」


「明里です」


女性陣も軽くではあるが自己紹介が終わった。


仁美という女性は白いワンピースに麦わら帽子を被った格好をしている。


なんだかとても涼しそうだ。


さて、ここからは決勝トーナメントだ。


今までの相手とは違い、ここにいる全員が強力な能力を持っているだろう。


これまで以上に気を引き締めなければいけないと思う。


ふと明里の方へ視線を移すと、とても真剣な表情をしていた。


いや、明里だけじゃない。


ここにいる全員が真剣だ。


そしてしばらくの間沈黙が続く。


この無言の空気やっぱり慣れないな・・・


目の前にいる蓮がニヤリと笑う。


く、来る!・・・


「がはっ」


「うぐっ!」


そう思った瞬間、俺と明里は体全体にに重い衝撃を受けた。


な、何だこれ!?立てない・・・


何かに押し潰されるような衝撃を受けながら、力を振り絞って明里の方へと視線を向ける。


明里も俺と同じように、地面に張り付くように倒れている。


「うっ・・・」


「あ・か・り・・・」


俺は押し潰されそうなのを必死に耐えながら、ゆっくりと明里へ手を伸ばす。


明里も必死に俺の手を握ろうと、ゆっくりと手を伸ばしてくる。


俺が明里に触れることができれば、明里だけでもこの正体不明の衝撃から解放できるかもしれない。


俺と明里の手があと1センチぐらいまで近づいた。


あ、あと、もう少し・・・


「させねーよ」


蓮がそう言った瞬間、俺と明里は二人ともそれぞれ反対方向に謎の力によって、飛ばされてあと一歩のところで引き離されてしまった。


「うわっーうぐっ・・・」


俺はものすごい勢いでドームの壁に激突して地面に転がった。


それと同時に再び体全体が強い衝撃を受けて、身動きが取れなくなった。


明里は飛ばされたのを利用して、体制を立て直してから、瞬間移動で俺のすぐ側まで来てくれた。


「孝さん!今た・・・きゃっー」


だが、すぐに謎の力によって再び俺とは反対方向に飛ばされてしまった。


「いぎゃぁぁぁぁぁっー」


飛ばされてすぐに足を何かに撃たれたのか、足を押さえながら大きな悲鳴をあげた。


俺は謎の衝撃に耐えながら、ゆっくりと顔を動かして周りを見渡して確認する。


すると、仁美さんの指先から煙が出ているのがわかった。


どうやら彼女は遠距離系の能力者らしい。


明里ははいつくばるように、穴の空いた足を引きずるながら、少しずつ体を動かしている状態だ。


「はがっ」


さらに、明里にも再び謎の衝撃が加わったようで、押し潰されそうなのを必死に耐えている。


「明里さんでしたっけ?あなたは移動系の能力のようですね。しかしこれでしばらくは動けないでしょう。あなたたちはこのままゆっくりと自分のHPが減っていき、脱落するのを眺めてなさい」


「くっ!・・・」


明里は足の痛みをこらえながら仁美さんを睨んでいた。


仁美さんの言う通り、戦闘が始まってから俺と明里のHPはお互いに残り5割を切っていた。


このままじゃまずい・・・


俺たちは文字通りの絶対絶命の危機を迎えていた。

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