8納品へ
8 納品へ
カチャっ!カチャっ!
朝、例のごとく、
食堂でギルマスの出してくれた朝メシを
食べているが
(くっ!き、気まずい・・・)
俺のすぐ横で
「でさー、ばあちゃん、聞いてよ!
凄かったんだぜー!ご主人様たらさー!
もうアタイが堪忍して~って
言ってるのに全然、終わんないんだよ!
アタイだよ!アタイ!
あの、屈強なオスの冒険者5人を一人で
2晩も相手にしたアタイがだよ!」
とギルマスに昨夜の俺のことをすべて話している。
それはもうすべてだ!
洗いざらいだ!
(大きさまで言わなくてもいいじゃないか・・・)
そんな俺の思いを無視してギルマスが
「確かにそう言ってたね!
でも、タダシの方は最初はビビッてたけどね!」
「そうなんだよ!あははははっ!」
(いや、あんた聞いてたんかい?!)
「いやー、だけどアレだね!
確かにご主人様のスタミナは凄かったけど・・・」
とラムがギルマスに振るとがお互いニヤっとして
「「早い!」」
「あはははははははっ!」
「くくっ!」
と二人で笑っている。
「・・・・・・」
と俺は何も言わず顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
錬金ギルド 裏庭
ガシャ!ガシャ! パンパン!
「これで終わりかい?ご主人様?」
とラムが昨日俺が失敗して作りすぎたポーションの整理
と今日納品する予定のポーションを分けまとめるのを
手伝ってくれていたが
「・・・・・」
「ご主人様?」
「・・・・・・」
さっき馬鹿にされ少し、ふてくされていると
ガバっ!
「ご主人様~!何?何?怒ってんの?」
と昨晩、
散々、お世話になった柔らかい物を
俺の背中に押し付け、抱きついてきた。
「ちょっと位いいじゃん!ね~!ね~!」
と尻尾を振り振りしながら、スリスリしてくる。
し、しかし、俺の怒り氷塊はその程度では溶けない!
プイっ!
するとラムが耳元で
「・・・今夜、何しても良いからさ(小声)・・・」
と俺の耳元でささやいた。
「お願いします!」
氷塊はあっと言う間に溶けた。
そこへ
ガタッ!
裏庭に通じるドアが開き
「タダシ!ポーションの仕分けは終わったかい?」
とギルマスが入ってきた。
俺はバっ!とラムを背に乗せたまま、立ち上がると
「はい!終わりました!(大声)」
「そ、そうかい!
じゃ、じゃあ、仲直りも済んだらしいから、
納品に行ってきな!」
とギルマスが一枚紙を渡してきた。
「はい!わかりました!(良い返事)」
「いい返事だね!そんなに今夜が楽しみなのかい?」
「はい!!(気持ちの良い返事)」
「お、おぉ・・・凄いね・・・
まあ、いいか!納品先は製作ギルドと冒険者ギルドだよ
ポーションをそれぞれ100本ずつだ!
地図はそれに書いてある・・・んっ?どうした?」
「い、いや、冒険者ギルドか~と思いまして・・・」
「ラムに行って貰えばいいだろ?」
「あっそうですね!そうします!」
「じゃあ、空間魔法に納品分を入れな!見ててやるから」
と朝、渡された小さな指輪をはめた
魔力泉の指輪:魔力を貯めておける(隠匿効果 有)
この方法はギルマスが考えてくれた。
説明しよう!
レベルが低く空間魔法が使えない
そこで
俺のためにギルマスが俺ピッタリのアイテムをくれた
まず、これをつけてポーションを作ろうとする。
すると
ポーションは作れないが、
その分、指輪に魔力が貯まる!
ポーションを作る際、俺は魔力がいらない
ため全然疲れない!
そして、その指輪の魔力で空間魔法を使うのだ!
ブオン!
「おお!コレが空間魔法の収納・・・」
「そうだね!大体・・・
MPを1000位かね・・・」
「1000?
でも、レベルが上がればMPも上がるから
自前のMPでもできるようになるんですよね?」
「あぁ、魔物を倒せればね・・・」
「ま、魔物か~・・・」
と俺が軽く落ち込むとラムが
「アタイとチームで狩ればいいだろ?
側にいればお互い経験値を積んでレベルが
上がるんだからさ」
「そうなの?」
と聞くと
ギルマスとラムが静かに頷いた。
「それと、これをラム用のマジックバックにしてやんな」
とギルマスが布でできたバックを渡してきた。
布のバック:布でできているバック
「・・・これをどうするんです?・・・」
「この付与された魔石を入れて空間魔法を
使うとマジックバックになるんだよ!やってみな!」
俺はさっきの流れでやってみると
ボオン
「・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ラムと俺でバックの中を覗いて見ると
「うわっ!なんだこれ?
バックの中が黒い渦になってる!」
「すっげー!作ったの初めて見たよ!ばあちゃん!」
「それで製作ギルドと冒険者ギルドに納品してきな!
どうやるかはタダシに任せる!
あ~それとタダシ!」
「はい?」
「今日は町の中だけど、
その内、外にも仕事や納品に行って貰うから準備しときな!」
「あっ!やっぱりそういうのあるんですね?」
「あるさ!当たり前だろ?
あ~それとアンタが作って売った物の権利と売上金の90%はだ!
売った時点で売上金は自動的に
その錬金ギルドのライセンスカードに登録されるから、
後は自由にしな!」
この世界ギルドのライセンスカードでも
支払いや入金ができるらしい!
「えっ?
じゃ、じゃあ、ギルドの取り分は10%でいいんですか?」
「あぁ!そうだよ!」
「あ、ありがとうございます。じゃあ、行ってきます。」
「じゃあね!ばあちゃん!アタイもご主人様と行ってくるよ!」
「あぁ!行っといで!」