6 二束三文
6 二束三文
カツーン!カツーン!
コン!コン!
ギルマスの靴と俺の革靴が錬金ギルドの地下に
向かう長く狭い石階段の中で響いている。
「あ、あの~、ギルマス?
さっきの・・・その闇魔法の奴隷契約っていうのは
つまり・・・魔法の契約で人が物にされ、
なんでも言われた事には逆らえず、
主人にも危害が加えられないと
・・・で・・・その人権とか・・・そういうのは・・・」
「ない!!
水やパンに人権なんてないだろ?
一旦、奴隷落ちしたら最後、待遇はスライム以下さ」
「そ、そうですか・・・」
(怖え~)
「着いたよ!」
階段が終わり
、明かりがする方へとギルマスの後を追いていくと
「こ、ここは・・・」
そこには広い研究所のような空間が広がっていた。
まず、入ってすぐ目に入ってくるのは
天井からはシャンデリアの変わりなのか、キラキラ光る
馬鹿みたいにデカい鳥の頭蓋骨がぶら下がっている。
(あんなデカい鳥がいんの?頭だけでも家一件分じゃん!)
壁際には、棚がズラっと並び、
魔導書に何かの薬品、人の顔をした草など素材が
ビッシリと詰め込まれるように置かれ
(ぐ、グロい
・・・なんだ?あの体中に目があるヤギのホルマリン漬け?)
中央には、長いテーブルに何かは分からないが
歯車が付いた機械、装置が回り続け、
その一番奥には、俺が10人は入るような大きな鍋
が緑色の煙を上げながら、グツグツと何かを煮込んでいる。
チラっと見てみると
俺を昨日森で追い回した緑の猿の頭が山積みにされてる
(あれが、何を煮込んでいるかは、聞かないようにしよう)
俺は目が引きつりながら、研究所の中を見回していると
「これだよ!」
とギルマスが
シャ―――っ!と部屋の隅にあった牢屋のカーテンを開けた。
「うわっ!」
中には頭は丸焦げ、両手、と下あご、片脚に乳房がない何かが
「ヒー・・・ヒー・・・」とかろうじて息をしている。
「これが、例の・・・」
「そうだ!二束三文の欠損奴隷だよ!」