3 錬金ギルド職員
3 錬金ギルド職員
「異世界から来たのかい?」
「えッ?」
「えッ?ってトボけても無駄だよ!
ただのヒューマンでない事は
鑑定スキルでわかるんだから!
あんただって、
今、あたしが鑑定して寒気がしたんだろ?」
(鑑定されると寒気が走るのか?)
と思いながら、俺も慌てて鑑定すると
トシコ・シンクス(1534)レベル248
ハイエルフ ホッパー錬金ギルド長
HP3000/3000
MP6000/6000
スキル
弓技 風魔法 水魔法 光魔法 闇魔法 狩人
空間魔法 鑑定眼など
レアスキル
錬金術
「な、な、・・・」とあまりの高レベルに
なんて言っていいかわからないでいると
「見たかい?じゃあ、もういいね!」
と婆さんが右手の小指に小さな指輪をはめると
(えッ?名前以外表示が隠匿中ってなった・・・)
「さてっあんた!ウチで働かないかい?」
「えッ?は、働く?」
「そうさね!
まっ急な話でついて来れないだろうがね・・・
追いてきな!」
と婆さんはカウンターの奥にある
縦横3メートルは余裕である大きな地図が
掛かってる所の前に俺を連れてきた。
「これがこの世界さね」
「・・・これが・・・」
その地図には
見たこともないような形の大きな陸地に半島!
それを取り囲むようにたくさんの島々、
そして、所々に描かれる村や町、
ヨーロッパの城ようなのも描かれている。
だが、それだけではない!
「こ、これって・・・ほんとにいるんですか?」
と地図の上、北の火山の方を指さした。
「ドラゴンかい?いるよ!
300年位前に素材取りに行ったからね」
「そ、そうですか・・・という事は・・・」と
俺は他の所にも目をやった。
西の森には木よりも高い熊、
東の谷には牛をワシ掴んでいる鷹、
そして南の海には
船に絡みつく巨大ヘビが描かれている。
しかも
「あ、あの~さっきから気になってたんですけど、
この地図・・・動いてません?」
そう先ほど見ていた魔物は勿論だが、
雲に太陽、月も少しずつ動いているのだ!
「そりゃ、そうだろ!
マジックマップなんだからね!
両手を地図のココに置いて
こうして開いてごらん!」
と言われたので素直に両手を
ホッパーと書かれている町の所に置き
スマホの地図のように開いてみると
グワンっ!
「うおっ!」
なんと町がアップで表示された。
「な、なんです?」
俺は慌てて、
少し地図から距離を取ると、
町の中の小さな店の中で
緑の点と黄色い点が
並んでいるのに気がついた。
(点滅してる?)
すると、婆さんが
「その点滅してるのが、あたしらだよ!」
「えッ?こ、これが・・・」
よく見るとほかにも
大小さまざまな黒点が動いている。
「なんで・・・他は黒点で僕らは色が・・・」
「そりゃ、持ち主緑があたしで、
瀕死のあんたが黄色さね」
「瀕死?」
慌てて自分を鑑定すると
セキネ・タダシ(35)オス レベル1
ハイヒューマン
HP30/150
MP100/100
スキル
鑑定眼 空間魔法
ポーション(どんなポーションもMP消費なしに作れる)
「ホントだ!えッ?えっ?
どうしよう?死ぬのか?俺死ぬのか?」
とただでさえ、異世界でパニックだってのに、
もう眠いのと疲れ空腹で頭が回らない!
そんな俺に
スっ!
と婆さんが
俺が渡したポーションを俺の目の先に出してきた。
「タダじゃないよ!」
と言われたが、そんなのカマってられなかったので
「ありがとうございます!」
グビ!グビ!グビ!と一ビン飲み干した。
セキネ・タダシ(35)オス レベル1
ハイヒューマン
HP150/150
MP100/100
スキル
鑑定眼 空間魔法
ポーション(どんなポーションもMP消費なしに作れる)
超回復
体力が全回復した上に、スキルが一つ増えた。
すると
ブルっ!
「うおっ!寒っ!」
寒気が走り
「うん!いいね!
そのポーションなら中毒性も表示されてないね!
それで・・・味は?」
「味?」
「ポーションの味だよ!不味かったのかい?」
「い、いえ・・・み、水みたいでしたけど・・・」
「よし!じゃあ、ウチで働きな!」
「えッ?
い、いや・・・急にそんな事言われても・・・」
と俺がどう言っていいか困っていると
「あんたはさっきあのポーションを
言い値で売ると言ったね?」
「はい!い、言いましたよ」
「それで、その後タダじゃないポーションを
あたしから貰って、あんたどうした?」
「は、はい・・・の、飲んじゃいました・・・」
「そう!飲んだ!だから、働いて返しな!」
「そ、そんな・・・」
俺は余りの傍若無人な振る舞いに驚いていると
婆さんが
「今なら、3食メシ付き日雇いで
ギルド職員用の部屋で寝れるよ!」
「よろしくお願いしま――――――す!」