白銀の神狼
木漏れ日のさす森の中を進む
最初は歩いていたが、どうやら飛ぶことが出来るらしく
横になっていても進むことが出来た、質量がないからだからだと思う
そのとき森の奥から、巨大な狼が2匹の狼を引き連れて歩いてきた
全く気づいた様子なく目の前を通り過ぎて行く
その巨大な狼を鑑定してみる
「鑑定」
〈Rank〉3 〈巨狼・グルル〉 Lv 48
なんとこれだけだった
〈巨狼〉のグルルという名前らしい
技能や能力値が表示されない理由はおそらく鑑定のレベルが低いからだと思う
とりあえず【憑依】してみよう
「【憑依】」
《〈巨狼・グルル〉に【憑依】しました。》
《〈巨狼・グルル〉の霊力を上回りました、支配権を奪う事が可能です。》
すると突然、視点が変わり話声が聞こえてくろ
「父さん?どうかしました?敵ですか?」
「あ? なんか…いやなんでもない、敵もいないぞ」
(なんだ?何か変な違和感が一瞬あったが、まあ気のせいだろう)
「そうですか 父さんがいきなり止まるからおどろきました」
どうやら喋ってるのはこの〈巨狼〉らしい
【憑依】するとどうやら色々出来ることがわかる
乗っ取ること以外にも
霊力で勝たなくても思考の誘導や記憶を自由に見る事が出来たり、
頭に話かけたり出来るようだ
どこに向かってるか記憶を確認してからでないと〈巨狼〉を乗っ取ることは
あまりよくないだろう、ボロが出て怪しまれても困るし
今は支配権を奪わない方がいいな
記憶をあさるとどうやらこの〈巨狼〉はこの森の狼の神に会いに
向かっているところらしい
その狼の神とやらに是非【憑依】したいな
記憶をあさり狼の神について情報を集めていく
どうやらその狼の神は戦い傷つき隠れて回復しているらしい
しばらくすると開けた巨大な洞窟が見えてきた
高さ20メートルはある
その前に〈巨狼〉よりもひと回り大きい狼が2匹門番のように座っていた
「東の森の群れの長〈巨狼〉グルルです。回復術師を連れてきました。」
「うむ、ついて来い我らが偉大なる神がお待ちだ」
「はい」
門番の狼が1匹先導し、そのあとについて行く
進んで行くと巨大な空間がありその真ん中に白銀の狼が寝そべっていた
大きさは10メートルを超していると思う
鑑定してみる
「鑑定」
〈Rank〉8 〈神狼・ガルヴィ〉 Lv 99
《鑑定がLv 2になりました。》
え、ランク8?
いきなり大当たりだし鑑定もレベルアップしたし大満足
『よく来たな
東の長、早速回復魔法を頼む』
「はい、我らが偉大なる神よ
ガレレ、回復魔法を」
「はい、父さん
では失礼します。」
〈神狼〉の体が光り出す
おそらくこれが回復魔法なのだろう
この回復魔法が終わったら【憑依】しよう
しばらくすると〈神狼〉の体から光が消えた
『ガレレよ、よくやった
完全回復とはいかなかったが8割回復した
魔力が回復したらまた頼むぞ』
「はい、喜んでやらせていただきます。」
どうやら回復が終わり
洞窟内から出て行こうとしているみたいだ
〈巨狼〉の体から出て〈神狼〉に【憑依】しようと思う
〈巨狼〉短い間だったがお世話になった
「【憑依】」
《〈神狼・ガルヴィ〉に【憑依】しました。》
《〈神狼・ガルヴィ〉の霊力を上回りました、支配権を奪う事が可能です。》
よし、上手くいったようだ
まずはこの〈神狼〉支配権を奪おう
《〈神狼・ガルヴィ〉の支配権を奪いました。》
《〈神狼・ガルヴィ〉の霊魂を【霊装】で吸収しました。》
《〈名もなき霊魂〉がLv73になりました》
《【霊装】の使用回数が上限に達しました》
《【霊装】がLv 2になりました。》
まるで水の中から引き上げられるように
五感がクリアになっていくと同時に今までの記憶が流れ込んでくる
支配権を奪うとこうなるのか
何故かLv上がってるし〈神狼〉を倒した判定になってるのか
もう一度鑑定してみよう
「鑑定」
〈Rank〉不明 〈神狼・ガルヴィ(状態 :憑依)〉 Lv 99
〈能力値〉
生命力 :2939/3674
魔力 :4708 +〔107〕
力 :7942
速力 :10853
精神力 :89
霊力 :6894 +〔10000〕
〈特殊技能〉 【神狼の系譜】Lv -
全ての狼を支配できる
支配下の狼の能力値を補正
【神威】Lv 3
神気を放って攻撃する
【神速】Lv -
速力に超強補正
【雷神】Lv 5
雷魔術の究極進化系
〈技能〉 操毛 Lv 9
体毛を硬くしたり刃にしたりできる
纏雷 Lv -
雷を纏うことで速力に補正
触れられた場合雷による自動反撃
空歩 Lv8
空を自由に歩く事ができる
制限はない
〈称号〉 〈神狼〉
取得方法 狼族が神格を得る
効果 【神狼の系譜】【神威】を取得
狼族から絶対の忠誠を得る
〈雷神〉
取得方法 雷魔術を極める
効果 神格を得る
【雷神】を取得
〈神速〉
取得方法 速力10000以上
効果 【神速】を取得
〈死の森の旧支配者〉
取得方法 死の森を支配していた事がある
効果 なし
凄い、ステータスに加算されるのか
それに特殊技能がチートすぎる
でも記憶によるとこれでも〈奴〉に負けたのか
〈奴〉とは、ガルヴィが傷つく理由になった〈祖神龍〉のことで
この森の隣の山脈を支配する〈神龍〉で千年以上争ってきたが、
突如進化し〈祖神龍〉になり圧倒的な力で攻撃を受け
森の端に逃げることになり、
その上〈Rank〉の高い配下は全て殺されてしまい
残っているのは、〈Rank〉の低い配下のみ
絶望的な状態で何とか回復し復讐しようと考えている所に
僕に【憑依】されてしまったみたいだ
何というか予想以上に可愛そう
自分でとどめ刺しといてなんだけど
そして僕は間接的にしか関係のない〈祖神龍〉へ復讐したい気持ちがあるのは、
やはり精神が体に引っ張られているんだと思う
どちらにしろ〈祖神龍〉も【霊装】したかったからちょうど良いと考えることにしよう
さて具体的な倒し方だけど、
霊力が僕より低い場合は簡単で【憑依】して【霊装】で良いけど
僕より高い可能性があるからこの体は捨てられない
この体以上に強力な個体はいないし
まず何とか倒すもしくは相打ちに持ち込めるように
進化しなきゃいけない
記憶によると山脈の反対側に沼地があってそこに〈不死者〉が大量にいるから
そこでレベリングをしよう
とりあえず沼地に行くことを生き残りの狼を呼び集めて伝える
しばらく帰ってこないが、
必ず仲間の恨みを晴らすと伝えると集めた狼達が遠吠えをし始めて、
〈祖神龍〉に見つからないか焦った
生き残りの狼達と別れを惜しんだ後
僕は【神速】を使って沼地に向けて走った
『みんな私は今から沼地へ行ってあの憎き〈祖神龍〉を倒せるように進化してくる
こんな危険なところに残してしまってすまないが
なるべく早く帰ってくるから許してほしい』
すると前にいた門番をしていた狼が答えた
「わかりました。
何処へでもついて行きます、どうか私たちを連れて行って下さい」
『だが沼地はここ以上に危険だぞ」
「貴方様の足手まといにはなりたくないのです、
あの日、私は家族を龍どもに殺されました、それは私が弱かったから
二度とあんな思いはしたくないし、群れの皆にもして欲しくないのです
ここにいる者全員はそんな気持ちで日々過ごしております
この強くなる機会をみすみす逃す者はおりません!
どうか、どうかお願い致します。」
『わかった、皆の覚悟受け取った
ついてくる者は家族を失った者のみとする
家族がいる者はここにて待っていろ
必ず戻ってくる
では、いくぞ
これから我らは〈