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迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


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第69話 力尽きる傭兵

 雷撃を浴びたゴルドンは、呆然と突っ立っていた。

 全身から湯気を昇らせている。

 高圧電流に晒されて肉体が焼けたが、兜から覗く目は未だに狂気を宿していた。


 ゴルドンが一歩踏み出す。

 全身を深刻なレベルで焼かれながら、尚も俺を殺そうとしている。

 掲げられたハンマーが血を滴らせていた。


「食らいやがれ、この野郎」


 俺は無事な手を腰に動かし、拳銃を引き抜く。

 そして振り下ろされるハンマーを見ながら発砲した。


 直後、ハンマーが顔のすぐ横に叩き付けられる。

 炸裂音で鼓膜が痛いが、頭部が潰されるより何百倍もマシだった。


(どうだ……?)


 俺は銃口からくゆる硝煙を睨む。


 ゴルドンはハンマーを振り下ろした姿勢で硬直していた。

 兜のスリットから血を垂らしている。

 弾丸がそこに飛び込んだのである。


 ゴルドンが膝から崩れ落ちた。

 ハンマーを手放して倒れて痙攣する。


 俺は片肘をついて匍匐前進し、倒れたゴルドンの身体に寄りかかった。

 兜のスリットに銃口を押し付けると、弾倉が空になるまで連射する。

 そのたびに兜が振動し、内部で金属音が連続して反響した。

 兜の隙間から、肉や骨や脳漿がミキサーされた液体がこぼれていく。


 やがて銃の弾切れが訪れた。

 ゴルドンは完全に沈黙している。

 頭部が蜂の巣になって死亡したのだ。

 異世界の騎士でも、さすがに蘇ることはできないらしい。


「ったく、畜生め……」


 脱力した俺は、ゴルドンの死体を枕にする。

 天井を仰いでため息を洩らした。


 視界の端に、ミアナとイーサンが駆け寄ってくるのが映った。

 俺の姿を見て血相を変えている。


 そりゃそうだろう。

 四肢のうち無事なのは片腕のみで、他は酷使によって破損している。

 ほとんどが義体部分なので痛みは大したものではないが、まともに動けないのは確かだった。


 各所からの出血だってそれなりにある。

 意識が朦朧としてきたのは、たぶんそのせいだろう。

 実に情けない姿である。

 他人に見せられたものではないが、生憎と強がる余裕もない。


「やれやれ……」


 俺は力無く苦笑する。

 協力者を庇って瀕死に陥るとは、我ながらヘマをしたものである。

 感覚的に死なないのは分かっているが、これでは足手まといそのものだった。


 自らの現状を自嘲しつつ、俺は辛うじて保っていた意識を手放した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさしく「危機一髪」な、 『"破砕"の騎士』との死闘の描写。 [気になる点] 前々話から引き続いて、トニーの義体を速やかに修理できるか否か。 [一言] 今回も続きを気にしながら待ちます。
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