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迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


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第67話 奈落へ

 一瞬の思考を経て、俺はシャフト内へ飛び込んだ。

 身の安全を考えれば退くのが正解だったが、実際は危険の只中へ進んだのである。

 彼ら二人を失ってはいけないと判断したのだった。


 俺はイーサンの身体を掴むと、部屋と繋がるロープに銃撃を浴びせて切断した。

 さらに視界をずらしてミアナの姿を確かめる。

 彼女はロープを駆使して逃げようとしているが、明らかに間に合いそうになかった。


(仕方ねぇな)


 俺はミアナのロープも切断して引っ張る。

 支えを失った俺達は本格的な落下を始めた。

 一瞬で生存者達の待つフロアを通過する。

 頭上からエレベーターのかごが迫る中、狭い空間を落ちていく。


「クソッタレが」


 身を捻った俺は上に向けてマシンガンを乱射した。

 弾丸がシャフト内のレールを破壊し、ちょうど引っかかりを作る。

 その箇所にかごが接触して轟音を立てた。


 エレベーターのかごは大きく陥没してひしゃげながらも、しかし落下自体は止まらない。

 若干スピードは緩んだものの、迫りくることに変わりはなかった。


 眼下でミアナの身体が壁にぶつかりそうになった。

 俺は寸前で彼女の襟首を掴んで引き寄せる。

 マシンガンは手放したが、この場では大して役に立たない。

 ミアナを失う方が不味かった。


「魔術でなんとかならないのかっ?」


「無理だ! 浮遊魔術は習得していない!」


 頼もしい答えを聞きながら、俺は解決策を探す。

 そして遥か下に閉ざされた扉に気付く。

 あれはどこかのフロアだろう。

 数秒もすれば通過するだろうが、あれを使うしかない。


 俺はミアナに向けて叫んで指示を送る。


「あそこを破壊してくれ!」


「分かった!」


 すぐさまミアナの手元が光り、火球が扉に炸裂した。

 大きな爆発によって扉が粉砕されて、フロアの照明が覗く。

 三人が通り抜けられるだけのスペースが開いていた。


(あそこに着地できれば……ッ)


 俺はイーサンとミアナを片腕で抱えると、残る手を壁に伸ばした。

 指に力を込めて強引にブレーキをかける。


 無論、そこには三人分の落下エネルギーがかかっている。

 過剰な負荷を前に、指が軋んで割れる音がした。

 それはさらに波及して義腕全体へと及ぶ。

 耐え切れず俺の義腕は砕け散った。


「チッ……!」


 人工血液が噴き上がり、部品がバラバラになった。

 生身の部分も混ざっており、肉片と骨も四散した。

 それでも落下速度は軽減した。

 成果としては上出来だろう。


 俺は半壊した腕からワイヤーを射出すると、真横の壁に打ち付けた。

 落下に合わせて内蔵されたワイヤーが延長されて、やがて振り子の要領で身体が引っ張られる。

 その先には、魔術で破壊された扉が待っていた。


「行くぞ! 覚悟しとけッ!」


 俺達は慣性のままにフロア内へ転がり込んだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] トニーの電光石火な判断力と仲間への的確な指示、そして行動力が光る回だと思います。 [気になる点] 二人を救う代償として仕方が無かったとは言え、壊れた義腕。 応急処置はイーサンがいるから大…
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