第63話 行き止まり
生存者達と合流した俺達は、ヘリポートを目指して移動を再開した。
あれから三十分ほど待機したが、他にフロアまで下りてくる生存者はいなかった。
残らず植物騎士の餌食になってしまったらしい。
連中の習性を考えると追いかけてはこない。
それでもこれ以上待ったところで、新たな生存者は現れないだろう。
残念ながら犠牲になったのだ。
具体的には二十人くらいが死んだのではないか。
沈痛な面持ちの生存者と共に、俺達はフロアを進んでいく。
俺達三人は、再びグループの最後尾を歩く。
さっきみたいに取り残されるリスクがあるものの、後ろに誰かいるよりマシだ。
錯乱した生存者に背中を撃たれるのは避けたい。
モンスターよりよほど厄介だと思う。
それに、現状はどこからモンスターが奇襲を仕掛けてくるか分からなかった。
常に内部構造が変動する特性のせいで、事前の探索があまり意味を為していない。
ようするにどこにいようとリスクは高いのである。
先頭集団には元警官のジョシュアもいた。
植物騎士との戦いで軽傷を負っていたが、イーサンが速やかに治療しているので問題ない。
彼は銃の扱いもなかなか上手く、判断力も悪くない。
個人的な予想では、それなりにヘビーな状況でも生き残るのではないかと思っている。
性格も善人なので生き延びてほしいものであった。
そういった状況でもモンスターは不定期に出没する。
生存者達は死者を出さずに対応していた。
突発的に現れた植物騎士が異常に強かっただけで、大半のモンスターは銃火器で殺傷可能なのだ。
物理攻撃が効きにくい個体でも、魔術師がいれば安全である。
遠距離から瞬時に処理していた。
植物騎士のせいで下がり気味だった士気は、徐々に復活しつつあった。
俺なんて何もせずに楽をしていた。
他の生存者が張り切るおかげで弾薬の温存ができている。
ただ眺めているだけで勝手にモンスターが倒されるのだから素晴らしい。
やはりグループ行動は重要である。
移動ペースは上昇し、破綻しかけた脱出計画は軌道修正を成功した。
誰もがこのまま順調にヘリポートへ辿り着けるかと思ったろう。
ところが現実はそう甘くない。
新たな問題が生じたのは、植物騎士との遭遇からおよそ六時間後のことだった。
階段を下る最中、先頭集団が立ち止まり、何やら騒ぐ声が聞こえてきたのがきっかけである。
そして階段を皆が引き返そうと上がってきた。
(行き止まりだったのか?)
普通に考えるとそういった事態だった。
階段の先の扉が消えたところで別に不思議でもない。
この迷宮では、もっと悪辣なリフォームが常に行われているのだから。
しかし、今回はどうにも違う気がする。
とりあえず何が起きたか確かめておくべきだろう。
そう考えた俺は、生存者達の動きに逆流して先頭集団のもとへ向かうのであった。




