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第04話 1か月

 俺がこの世界に来て大体1か月が過ぎた。

 この間には様々なことがあった。

 まずは、街に来ていきなり捕まったことだろう、あの後助けてくれた騎士たちに聞いたが、どうやら、俺を捕まえていた連中は非合法の奴隷商だったようだ。そう、この世界には奴隷制度がある。といっても、合法の奴隷商だったら、商品である奴隷に対しては結構手厚く扱うらしい、衣服こそ簡素なものではあるが栄養のある食事を与え、病気になれば看病もする。しかし、世の中正規の商人ばかりではない、俺を捕まえていた連中はよりひどかったようで、俺は捕まって間もなかったからよかったが、中にはかなり衰弱している者もいたと聞いた。

 そう考えると運がよかったんだろうと思う。

 それでそのあと、時刻はすでに夕方本来なら冒険者に登録して仕事をこなして、その報酬で宿に泊まるという計画だったこともあるが、奴隷商に持ち物をすべて奪われていたこともあり、どうしようかと途方に暮れていた。

 それを見かねた騎士、まぁ俺を助けてくれた美少女騎士が名前をミレニアというそうで、他のやつが姫様と呼んでいた通り、本当にこの国の姫様だそうだ。彼女が宿代としてお金を貸してくれた。

 最初はさすがに遠慮したが、2度目に差し出されてことで俺は感謝を述べつつそれを受け取った。

 おかげで異世界生活初日において何とか宿に泊まることができた。

 ちなみに、衣服も姫様が用意してくれたようで、本当に感謝しかない。

 それから、次の日、冒険者に登録して、仕事を探した。

 最初のころは、仕事といっても、掃除などが多かった。ゲームなどだったらここで薬草採取や討伐を受けるものだが、現実問題として、その時の俺のレベルは1、戦いにおいても素人ではあっという間に魔物に殺されてしまう。そもそも、装備も何もないしな。

 ということでまずは街の中での仕事をしつつお金を貯める必要があった。

 それである程度余裕が出てきたところでまずは姫様にお金を返すために兵舎に赴き返却、向こうは帰ってくるとは思っていなかったようで驚かれたのは愛嬌だろう。

 そして、さらにお金をためて装備を整えたのが冒険者になって大体1週間ぐらいたったころだった。

 それから、ようやく街の外に出て薬草採取の仕事を受けたりしていた。

 そんな日々を過ごしていると、不意にスライムに襲われることがある。

 スライムというのは、前世でも創作の世界で最弱の魔物として知られる魔物であったが、この世界でもスライムは最弱の魔物だ。しかし、いくら最弱といっても、物理攻撃が全く通用しない。通用するのは基本魔法のみとなる。しかも、進化したものになると、魔法属性が付き、例えば赤い色をしたレッドスライムは炎耐性があり、炎系の魔法が通用しない、しかし、その反対属性である水が弱点となっている。

 という風に色を見極めれば対処は実に簡単だ。

 とはいえ、これは俺のように魔導士スキルという全属性魔法を使える場合だけとなるだろう。普通はそれぞれ得意な魔法属性があり、それの魔法スキルを取得する。っで俺の魔導士スキルというのは、この属性魔法を全部取得し極めたものだけが会得する幻ともいえるスキルだったりする。

 そんなもの俺が持っていてもいいのかと思ったが、神様は軽い感じで『いいよいいよ』といっていた。

 まぁ、一応隠しておいて、普段は何かの属性魔法を中心に使っておいた方がいいだろう。

 でも、複数の属性を取得することは特に珍しいことではないので、臨機応変でいいだろう。

 そんなこんなで、スライムを倒していたら、いつの間にかレベルが10を超えていた。そうなると、もうここらに出る魔物では俺の相手は務まらなくなる。

 そこで、討伐系の依頼をどんどんと受けていたら、俺の名声が次々に上がっていき、ついには、先日冒険者ランクがDにまで上がった。

 この冒険者ランクというのは、文字通り冒険者のランクを現したもので、Fから始まり特Sまでとなる。Fというのは、見習いで街中での掃除や、薬草採取、討伐でもスライムやゴブリンしかできない。ちなみに、魔法が使えないやつは基本スライム討伐すら受けることができないそうだ。

 次のEとなると、ようやく半人前の冒険者ということで、討伐できる魔物が少し強くなったり、少し遠くまでの採取が可能となる。

 そして、現在の俺のランクであるDとなると、同様に範囲が広がるほか、指名依頼も出るようになる。

 とはいえ、Dランクとなると、まだまだそこまで指名依頼が来るわけではないらしい。まぁ、当然といえば当然だろう、Dランクというのは、ようやく一人前の冒険者らしくなったというレベルで、そこまで信用を勝ち取っているわけではないからな。

 ちなみに、俺はこの1か月の間、誰ともパーティーを組んではいない。その理由はやはり前世からの人見知りと過去のちょっとしたトラウマにより人づきあいができないコミュ障だったことが原因だ。実際、このコミュ障が原因で前世ではオンラインゲームをやってもソロで遊んでいた。

 まぁ、それは置いておいて、今日は、いつもと同じように朝から冒険者ギルドに赴き依頼が貼られている掲示板を眺めようとしていた。

「ああ、マリスさん、ちょっといいですか」

 そういって声をかけてきたのは、俺が所属するシンドーリラ王国タラリス冒険者ギルドの受付、キュリアだ。

 キュリアは俺が冒険者登録をした時の担当で、それ以来俺の担当のような感じだ。

 それというのも、俺が登録をしようとギルドに入った時、受付の前には多くの人が並んでいた。しかし、彼女のところだけはなぜか誰も並んでいない。不思議に思いつつもその前に立ち登録したいと告げると、キュリアは嬉しそうに手続きを始めてくれた。

 これはのちになってわかったことだが、キュリアの前に誰も並んでいなかった理由は、彼女が獣人族だからだった。

 実は、獣人族はかつてある事情から差別を受けていた。

 そんな彼らは奴隷として扱われていた、しかもその扱いには奴隷法が適用されておらず、ひどい扱いも当然のようにあったそうだ。しかし、数十年前にこのシンドーリラ王国の先代国王が即位した直後、獣人族に対する扱いを人族のそれと同じくするようにという法律を打ち立てた。それというのも、先代国王は幼少期に森の中で迷子になり、魔獣に襲われそうになったそうだ。その時近くにいた獣人族の男性に救われたという。

 しかし、その当時はまだ差別が行われていた時代、王子を助けたことで感謝されるはずのその獣人族は王子を襲撃した犯人として扱われその人物もその家族も一族すべてが処刑されるという痛ましい事件があったそうだ。

 先代の国王はそのことを悔やみ、この法律を即位後すぐに打ち立てることを心に決めていた。

 そうして、出された法律、当然当時は反対するものが多かった。しかし、先代国王が生涯をかけて奮闘したことで最近ではようやく獣人族がこうして街で不通に暮らし仕事をすることができるようになった。

 とはいえ、やはり差別意識というものはそう簡単に抜けるものではなく、今でも獣人族に対しては差別することが多いらしい。

 まぁ、言われてみれば、前世の地球でも黒人が長年奴隷として差別されて、奴隷解放から100年以上たっても、ごく一部の白人が黒人を差別したというニュースを聞いたことがある。ただ肌の色が違うだけで、ここまで根強く残っているんだから、その姿が違う獣人族ではおそらくもっと時間がかかるのかもしれないな。

 まぁ、俺はそんな意識ないし、そもそも日本のアニメ好きとしては獣耳にはロマンがあると思う。

 というわけで、空いているならとキュリアに登録を頼んだというわけだ。

 そのあともキュリアの前だけ空いているし、やはり人見知りの俺としては決まった相手だと徐々に話せるようになるから、彼女にお願いしているというわけだ。

 ちなみに、この1か月見ていて、キュリアはギルド職員の間では差別を受けてはおらず、むしろ一番の後輩としてかわいがられているようで、俺としては少し安心している。

 そんなキュリアに声をかけられて俺としても無視はできない、彼女の前に向かった。

「なんだ?」

 この1か月、ギルドではほとんどキュリアとしか話していないが、まだ慣れていないので俺の返事は短くなってしまう。

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