第03話 いきなり捕まった
交通事故で死んだら、神様たちの世界にいた。そこで、異世界転生の提案を受け、これを受諾。
そうして、地球を含む世界の神様であるゼラナギ様と、天照大神ことアマス様と別れを告げて異世界にやって来た。俺が立っているのは森の中、エリスファイ様によると、ここから少し左にあるけば街道に出るらしい。それを左に折れて進んでいくとタラナスという街にたどり着くそうだ。
「ここが、異世界か、思ったより実感はないな」
見たところ、普通の森、まだ異世界に来たという感じがしない。
周囲を確認したところで今度は自身を確認した。
現在の俺の姿は神様が言った通り15歳ぐらいの姿をしている。
その容姿は、黒髪黒目、ではなくダークブラウンに緑かかった目をしており、肌の色も少し日に焼けた色合いではあるが基本は白っぽい。
エリスファイ様によるとこの人種はこの世界では一番多いもので、この国でも多くいるそうだ。
また、身長も前世と違い175cmであり、体形もやせ型ではあるが筋肉がしっかりとついている。
これらは俺の希望に合わせて神様が作ってくれたものだが、何よりうれしいのが前世での身体的な問題であった生まれつきの半月板の損傷が無くなっていることだろう。
この半月板の損傷、前世ではかなり苦労させられた。何せ、幼いころは突然膝がガクっとなって、何もないところで転びそうになるし、しゃがんだらしゃがんだらで膝が引っかかって、そこから伸ばそうとすると『ポキッ』ってなって痛いし、おかげで和式である学校のトレイは使えなかった。
そもそも俺が前世でほとんど運動しなかった原因の1つがこれだったからな。
でも、今回の体にはそれがない、膝に違和感が全くない生活、本当に楽しみだ。
「さてと、いつまでもここにいてもしょうがないし、街まで行ってみるか」
というわけで、エリスファイ様から教わった通り左に進んで街道を見つけ、そこをさらに左進んでいくと、不意に防壁が見えてきた。
「防壁か、こう見ると異世界って感じだよな。少なくとも日本には防壁に囲まれた街なんてないし」
それから少し歩いていると門が見えてきて、その両脇には2人の兵士が立っていた。
「あれが番兵ってやつかな」
「待て」
俺がたどり着くとそういって止められた。
「どこから来た」
「この先の森から」
今の答えはおかしくもなんともない、この国では冒険者などが森に勝手に家を建てて住み着くなんてことはよくあることであり、国もそれを認めているからだった。
「そうか、名前は?」
実際、番兵たちも怪しんではいない。
「マリス」
マリスというのは俺がこの世界で名乗る名前だ。意味は単純で誠人という俺の名前をこの世界の言葉に言い換えたものだ。
「この街に来た目的は?」
「冒険者になろうと思って」
エリスファイ様からも好きなようにしていいといわれていたために俺は冒険者を選ぶことにした。
「そうか、まぁ、頑張れよ」
応援された。どうやら思っていたよりもいい奴だったらしい。
それから通行料として、200トール支払った。
このトールというのはこの国の通貨で、銅貨4枚分となる。
ちなみに、貨幣は、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨とあり、価値はそれぞれ、
銅貨50トール
大銅貨500トール
銀貨5,000トール
大銀貨50,000トール
金貨500,000トール
大金貨5,000,000トール
白金貨50,000,000トール
第白金貨500,000,000トール
となる。
一般市民が使うものは大体大銅貨までで、大商人などになると、銀貨や金貨を使うこともあるそうだ。白金貨となると、もはや国しか使わないものだそうだ。
そして、50トール以下となると、鉄貨というものが使わるようだが、これもほとんどの人間が見ることはないだろう。
そもそも、この世界の価格設定は大体、そんな中途半端となるような設定はない。
こうして、街に入って俺は少し感慨にふけっていた。
なんといっても、この街並み、いかにもファンタジーやアニメなどでよく見かけるような街だったからだ。
「こう見ると異世界って感じだな。さてと、冒険者になるには冒険者ギルドに行って登録しないといけないんだったな」
そんなことを思いながらのんびりと街の中央に向けて歩き出した。
ギルドに向かっている最中、路地の方からわずかな声が聞こえたような気がした。
それが、聞きようによっては悲鳴のような気もしたので、気になりそちらに向かってみた。
後で思ったが、これが日本人の問題だろう、日本には危険な路地なんてものはほとんどないからな。
そう、つまり俺は襲撃を受けた。
路地に入って少ししたところで後ろに何か気配を感じたとき後頭部に痛みを感じ、そのまま気を失ってしまった。
気が付くと、薄暗い部屋にいた。
部屋の内装は、一言でいえば何もない。
そして、俺はというと、鎖で壁につながれほとんど身動きが取れない状態だ。
「まさか、いきなり、これって、はぁ、まったくよ」
俺としては自分のうかつさにあきれてしまっていた。
それと同時に何とか抜け出せないかと体をひねったり手首を回したりしたが、抜け出せそうになかった。
「どうするかなこれ、というか、どういう状況なんだよ」
そう思いながら、自身の体を見下ろすと、何も身に付けていなかった。
「男を裸にして拘束ってどんな趣味だ」
少なくとも俺にはこんな趣味は全くない。
そんなことを考えながら数十分が経った頃だった。
何やら部屋の外が騒がしくなった。
「なんだ」
俺がそう思っていると、ガチャっという音とともに部屋の扉が開いた。
「!!」
「!!!」
扉が開いたそこには、金属の鎧を身に付け剣を携えた騎士、それも美少女だった。
そんな美少女騎士と目が合った。
そして、美少女騎士は目線を下げたところで顔を赤く染めた。
「つ、捕まっているのか」
美少女騎士は目を伏せながら俺にそう聞いてきた。
「見ての通り、街に入ったと思ったらこのざまだよ。できればこれ解いてほしいんだけど」
俺は、とにもかくにも拘束を解いてほしかった。
「ま、待っていろ」
そういって、美少女騎士はなるべく俺の方を見ないようにしながらも時々俺の下半身を見ながら近づいてきて、自身が羽織っていたマントをかけてくれた。
「悪いな」
それから、拘束している鎖を解いてくれた。
「姫様、そちらは大丈夫ですか」
「あ、ああ、問題ない。1人保護した。そっちを頼む」
今、この美少女騎士を姫様って言わなかったか。
これが、この美少女騎士との出会いだった。
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