進路希望調査票と将来の夢 【に】
何処で切れば良いか分からなくなって、何時もより長めなのと中途半端な所で切れてます。(多分)
教室で葉月が委員会から戻って来るのを待っていたら、廊下から話し声が聞こえひょっこりと顔を出してみれば、秋雨恋と一緒だった。
間近で見るのは初めてだけど、彼女のスタイル本当に良い。葉月もスタイル良いけど、それ以上だと思ってしまった。
そんな風に思っている事がバレな無いように、葉月と話をしていたら、秋雨さんが待ち人が居るからと去って行った。
待ち人はやっぱり咲さんなんだろうな。
秋雨さんの後ろ姿を見ていたら、葉月からトゲを含んだ様な言い方で、
「ねえ由希、さっき秋雨さんに見惚れて無かった?」
「え? そんな事無いよ?」
「そんな事あるよ。秋雨さんを見た時の顔が、物語ってた」
「顔って……葉月と並んでいたから、秋雨さん見てたと勘違いしてるだけだよ。私は葉月しか見てない」
「そんな事言って、私の気を引こうとしてるの?」
「…………もしかして葉月、ヤキモチ妬いてる?」
「なっ! や、ヤキモチなんて妬いてない」
プイっと顔を真っ赤にしながら背けられても、ヤキモチ妬いてると是正しているとしか言いようが無い。
「顔赤くしながら動揺してたら、説得力無いよ。でも、葉月がヤキモチ妬く様に感じたのなら私が悪いね。ごめんヤキモチ妬かせて」
「由希は悪くない……」
ぎゅっと握る手に力が込められて、それでもヤキモチ妬いてる事は違うと言い続ける。
そんな葉月が愛おしくて、まだ校内で何処に生徒や先生が居るか分からないのに、つい葉月にぎゅっと抱き着いた。
「ここ学校……誰かに見られたらどうするの!?」
「見られたっていいよ。葉月は私のモノだ!って宣言するだけだし」
「それは嬉しいけど、でも……」
「葉月は皆に知られたくないんだよね」
「そう……なんだけど……」
「葉月がしたい様にすればいいよ」
「うん……」
葉月から離れ何も無かった様にして、鞄を取りに教室へ戻ろうとしたら、私達の横を猛ダッシュで誰かが走り去って行き、その後を追う様にもう一人も走り抜いて行った。
「今のって……」
「声が聞こえるから、多分逃げてるのがB組の吉岡さん。追い掛けてるのが部活の後輩じゃないかな?」
「ほっといても大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。あの二人の事は皆知ってるから。ほっといても大丈夫だよ」
話しながら鞄を取りに教室へ戻ったあと、そのまま二人並んで帰っていた。
「由希ってホント私の知らない人の事でも知ってるよね」
「あはは。クラスの皆と仲良くしてると、自然と色んな話題が出てくるんだよ。あの二人の事は、同じ部活に入ってる友達が教えてくれたというのもあるけどね」
「由希が羨ましいな。クラスの皆と仲良くて、誰とでも喋れるから」
「多分、私の見た目でしょ。皆、話し掛けやすいとでも思ったんじゃない?ギャルぽいし、遊んでそうと思われてるのは確かだよ」
「そんなんで良いの?」
「何が?」
「由希は皆から遊んでそうに見られても平気なの?」
「ん~? 今のままでもいいんじゃない?特別困ってるとか無いし。それに皆と仲良くしておけば、卒業してからでも会いに来てくれるでしょ」
「レストランの店員だっけ?」
「そ、ホールスタッフね。バイトで行ってた時にオーナーに気に入られて、卒業したらウチで働いて欲しいと言われたからね。それに何れは中の仕事も覚えるつもりだよ」
「あの時は由希と擦れ違いで、会えなかったから寂しかった。それがこれから先も続くとなると、由希と離れるの寂しいなぁ」
「何言ってるの。葉月と離れるなんて無いよ?
そりゃ三年生になったらクラスが別々になるだろうけど、卒業したらずっと一緒に居るつもりだよ?」
「え?」
「葉月は大学近くのアパートに引っ越すのでしょ? 私も一緒に行くから、叔母さんにも頼まれたし」
「え? そんな話聞いて無いよ」
「あれ?叔母さん、まだ言ってなかったの?」
「聞いて無いよ!」
叔母さんが言ってたのは冗談だったのかなぁ……
葉月と一緒に居られるって喜んだのに。
少し落ち込みかけた私だったが、葉月の家に近付いて来た所で、件の叔母さんが家から出て来た。
「あんた達お帰り~」
「叔母さん、ただいまー」
「ただいま。お母さん、今から何処か出掛けるの?」
「ちょっと直ぐそこのスーパーまでね。ああ、そうだ!葉月、貴女大学生になったら一人暮らしすると言ってよね? その事なんだけど、貴女一人だと心配だから、由希ちゃんにお願いして一緒に住んで貰う事にしたから。由希ちゃんのご両親にも了解得てるから心配しなくていいよ」
「えっ? ちょ、ちょっと」
言いたい事だけ言って、叔母さんは出掛けてしまった。