男なんて興味ありません!? 【さん】
広瀬に任せておけば大丈夫だろう。
あまり私が何かすると咲に怒られるから、それだけは絶対に避けたい。
「恋。今日は解散だって」
「ある程度までは進められたから、後は自分達でやるよ」
「そう、分かった」
それぞれ机の上に広げていた教科書とノートを片付けると、咲と私を残して二人は先に帰って行った。
「恋……あの後輩君、もう来ないよね?」
「私達の前には二度と来ないよ。咲には心配させちゃったね」
上目遣いで私を見てくる咲の表情は不安げで、また私達の前に来るのでは無いのかと気にしている様だった。気にする様にさせてしまった事は申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、それだけ私の事を好きだという証だ。
そんな咲をぎゅっと抱き締めて、暫くそのままで居ると、安心したのか咲も私に抱き返してきてくれた。
「大丈夫だと思っていても、心の何処かで恋が私を置いていっちゃうかも?と不安だった」
「馬鹿ね。咲の事を誰よりも好きで愛してるのに、他の誰かの所へ行くなんて有り得ないよ。私は咲が大好きだし、離したくないし離さない」
「うん……私も恋が大好き。ずっと一緒に居たいよ」
「じゃあ、私から離れないでね」
「うん」
誓いをするかの様に二人の唇が何度も重なった。
「この続きは家に帰ってからにしよ?」
「そうだね。家なら誰にも邪魔されないもんね」
「そういう意味じゃないけどね」
「違うの?」
「違わないけど、時間的にもそろそろ帰らないとヤバいよ。………本音はこのまま続けると恋が暴走しそう(ボソッ)」
「それなら仕方無い、先生に怒られたくないからね」
私達は手を繋いで(勿論、恋人繋ぎ)教室を後にした。
「二人だけにしちゃったけど大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。それに今は二人きりにさせた方が良いじゃない?」
「それもそうだね」
「桜、この後って暇?」
「ごめんなさい、今日はこれから稽古に行かなきゃいけない」
「そっか、それなら仕方無いね。稽古頑張ってね」
「……うん」
「そんな寂しそうな顔しないの」
「美優ちゃんと一緒に居られる時間が少ないの嫌だなぁ」
「私だって桜と会える時間が少ないのは嫌だよ。でも私達の関係は親には内緒にしておきたいのでしょ」
「うん。女の子同士で付き合ってると言ったら、別れさせられちゃって知らない男の人と結婚させられちゃうから。それだけは嫌なんだ」
「桜の家も旧家なだけあって大変だよね。うちの方は何も言われないし、気にしないと思う」
「美優ちゃんには迷惑かけたくないから、我慢するしかないよね」
「その分、一緒に居られる時はいっぱいイチャイチャしようね」
「もちろん!」
繋いでいる手にぎゅっと力を込めて、今だけの二人きりの時間を大切にしたいと改めて思った。
ここで宣伝しても良いのか迷ったのですが書きます。
ダメだったら削除します。
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この度、百合アンソロジー本「INNOSENCE」が主催者様より電子書籍化決定した事が報告ありました。
既に1巻、2巻、7巻の3冊が電子書籍化されています。
残りの巻も後々電子書籍化される予定です。
以上、宣伝でした。
今後も、この作品を含め宜しくお願いします<(_ _*)>