男なんて興味ありません!? 【に】
放課後。
何時も通り教室の隅で、私、恋、美優、桜ちゃんの四人で勉強をしていた。佳奈は後輩ちゃんに捕まって、そのまま部活へと行ったみたいだ。
恋のクラスの串本さんは、従姉妹に勉強を教えるとかで、HRが終わったらさっさと帰ってしまったらしい。
串本さんとは、修学旅行の時から仲良くなり、たまに皆と一緒に遊んだりしている。
そんな中、不意に廊下の方から誰かが私達を呼んでいた。
「秋雨先輩!」
「???」
「咲、知ってる人?」
「れ、恋さん……?」
「恋に告白してきた一年生の子」
美優に小声でそう伝えた。
「また来たんだ……」
「またって、昼間も来てたの?」
「うん」
答えてくれたのは桜ちゃんだった。
やはり今朝、下駄箱の所で会った男子生徒だった。
「やはり早々に手を打つべきね」
「恋、穏便にね?」
仕方無いと言わんばかりの表情を浮かべた恋は、廊下に居る男子生徒の元へと向かった。
「やっと来てくれた。一度フラれたくらいじゃ諦めない! 俺を見てくれるまでは何度だって会いに来る」
「それで?」
「最終的には俺と付き合って欲しい」
「ウザい。 そのツラ二度と私の前に晒すな。分かったならさっさと消えろ」
「な、何でだよ! ちょっとは俺の事見てくれても良いだろう!」
「まだ分からないのか?」
教室内から様子を伺ってる私達でも分かるほど、恋が放つオーラが冷えきっているのに、その事には全く気付かない男子生徒。それどころか、更に恋を煽る様な事ばかり言っている。
暫くして、周りの視線に気付いたのか男子生徒の顔色がだんだんと青白くなっていき、逃げる様にその場から離れようとするが、恋が呼び止める。
「おい。先程の返事まだ聞いて無いが?」
「え?」
「二度とそのツラ見せるなと言った返事が返されてない」
「そ、それは……」
「男ならハッキリしろ」
「こんな所に居たのか! 田崎、お前何やってる」
「せ、先輩! 助けて下さい!」
「バカ! お前自身が撒いたタネだろ。自分で責任持てや。俺は忠告してやったぞ、秋雨に関わるなと」
「広瀬。コイツはお前の後輩なのか?」
「あ、ああ……」
「そうか、ならコイツの責任はお前に任す。二度と私達の邪魔はさせるな」
「ああ、分かった」
「せんぱい……?」
「行くぞ田崎!」
「えっ? ちょ! せ、先輩……引き摺らないで下さい」
「お前、自分で何やったか分かってるのか? 周りの視線にも気付かないうえ、秋雨が放つオーラにも気付かないとはな。男なら一度フラれたのならキッパリと諦めろ」
「な、何でですか!? 」
「未練がましい男はモテ無いぞ。周りの視線はそんなイタいお前を軽蔑してただけだ。これから先、お前は未練がましい男というレッテルを背負っていく事になった」
「でも、知ってるのは教室に居た秋雨先輩の友達と数人の生徒だけだから、全員に知られたわけじゃないですよね?」
「お前、何も分かって無いな。取り敢えず、秋雨に任されたからには処遇を決めないとな」
「え?」
「二年、三年の教室へは二度と出入り禁止な」
「そ、それはいくら何んでも先輩の権限では出来ないでしょ」
「先生、それで良いですかね?」
「妥当な所だね。田崎、ウチの学校は共学なだけじゃない。色々な生徒が通っているのだ、それに答えるのが我々教師なんだよ」
「…………分かりました」
その後、俺が知ったのは、同性同士の恋愛が盛んな事。異性同士での恋愛は一部でしか無いと言う事実。その理由は詳しくは分からなかったが、つまりそう言う事だ。
因みに先輩は、他校に彼女が居て毎日一緒に登下校していた。
おまけ。
広瀬「田崎、お前フェードアウトな」
田崎「え?」
広瀬「俺も出れないらしいから」
田崎「え?え?」
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恋「男なんて不要」
咲「まぁまぁ」
美優 「あの1年ウザかったね」
桜 「美優ちゃん…」