【閑話】 あなたと私
今回は少し?だけ、由希の友達である仙道千晶編になります。
変な形で切れてるけど、それはそのままで。
「今日もハズレか……」
放課後クラスメイト達と遊ぶ駅前に一人で来たけど、中々良い男は見付からなかった。
逆ナンも考えたけど柄じゃない。じゃあナンパ待ちなのかって? まぁ、そんなトコ。でも最近ナンパされなくなった。由希と一緒に居た頃は、日に何度かナンパされたっけ。やっぱり男ってヤツはエロい子のが好きなんだなぁ。
私もそれなりにあるけど、由希のソレは大きい。同性の私でさえ触ってみたくなる程だ。
それに加えてあの服装はヤバい、誘ってるのかと思う様な格好ばかりしてくる。でも、そんな由希も一途に好きな人と居る事を選んだ。最初は親友を差し置いている事に腹立ったけど今は応援してる。
「………帰ろっと」
のろのろと駅前を離れて家へと帰る。どうせ家に帰っても誰も居ない。
「ただいま〜」
誰も居ない我が家。両親は仕事が忙しく何時も帰りが遅い。妹の雅は何やってるか分からない。
「てか居たの?」
「居て悪い?」
リビングに顔を出したら雅が居た。
何か物凄く不機嫌だ。関わりたくないから、さっさと自分の部屋へ行ってしまおう。
「男漁り?」
「だったら何?」
珍しく声を掛けてきたから、つい返してしまった。それにしても不機嫌なら話し掛けて来なくてもいいのに。
まだ何か言いたそうな雅を無視して、今度こそ自分の部屋へと向かった。
机の上に鞄を置くとベッドへダイブした。
制服が皺になろうが構わない。どうせ見向きするヤツなんて居ない。
何時の間にか寝ていたらしく、メールを受信したランプが点滅していた。
『暇だったら電話くれ』
メールを送って来たのは友達の広瀬からだ。
「もしもし?」
『仙道、あのさ。今度の土曜って暇?』
「何よいきなり」
『暇なら買い物に付き合って欲しい』
「はぁ? 一人で行けば?」
『言い方が悪かった。近々妹の誕生日でな、どんなの贈れば良いか分からないからアドバイスくれ』
「あー、それで買い物に付き合えと。お礼してくれるなら良いよ」
『ホントか? じゃあ決まりだな』
「お礼忘れないでよね」
『了解。 あとはメール送るから』
広瀬からの電話を終えて時計を見たら20時過ぎてた。
両親はまだ帰って来て無いところをみれば、夕飯は自分で用意しなきゃならない。
リビングへ顔を出せば、机の上に夕飯らしき物が並べられていた。台所へ行けば雅が使った食器だけが洗って伏せてあった。
折角用意してくれたのなら、有難く頂戴するとしよう。
テレビを付けながら一人黙々と食べてたら雅が顔を出して来て
「今度の土曜日忘れて無いよね?」
「何かあったっけ?」
「二人で出掛ける言ってたじゃん!」
「あー悪い、忘れてたわ」
「あれだけ忘れないでと言ったじゃん!」
「ごめんごめん」
「さっき話し声聞こえてたけど、土曜日大丈夫だよね?」
「それだけどさ、広瀬と約束しちゃったから今度で良い?」
「~~~~~!!! お姉のバカ! 知らない!」
何か雅のヤツめっちゃ怒ってたな。
忘れてた私も悪いけど、それにしてもあの怒り様は無いでしょ。
普段関わらないくせして、こんな時だけ絡んでくるのは面倒臭い。機嫌直るまでは関わらないでおこう。




