進路希望調査票と将来の夢 【よん】
『また何かやらかしたのかい? 佳奈なら鞄を取りに来て帰ってたよ』
部長から受け取ったメールをみて、私は急いで部室まで鞄を取りに来て先輩の後を追った。
本来なら部長に直接一言言うべきなのだが、察しの良い部長は何も言わず、他の部員の元へと戻って行った。
「全く先輩は私の事信じて無いのだから」
どんなに告白されても、私は先輩以外の人を好きになるなんて有り得ない。その事は何度も教えてきたのに、やっぱり納得してくれて無かったみたいだ。
「それにしても何処に行ったんだろう」
先輩の行きそうな所へ行ってみるも、その姿は見えない。他にも思い当たる場所はあるが、どれも違う様な気がする。メールを送れば簡単かもしれないが、先輩の事だから絶対に返事は返って来ないだろうし、そもそも既読してくれるかも分からない。
「あーもう! これも全てアイツが悪い」
先輩を見付ける事が出来ないのと、告白してきたあの子を思い出してイライラが募る。
「一条さん?」
こんな時に声を掛けてくるヤツは誰だ!?
イラついてたから、声を掛けてきた人物に怒りをぶつける感じで返事を返した。
「んん?」
「あ、やっぱりそうだ」
「秋雨先輩」
振り返ってみたら、そこに居たのは機嫌悪そうな秋雨恋先輩と声を掛けてきた本人である秋雨咲先輩が居た。
「佳奈を捜してるなら、家に行ってみるといいよ。きっと居るから。……早く仲直り出来るといいね」
「えっ? あ、有難うございます?」
「咲……」
「じゃあ、私達はこれで」
急に現れた秋雨先輩が、佳奈先輩の居場所を教えてくれたけど、どうして私達の事を知っているのだ? そういえば部長も知ってたぽい。
考えるより先に先輩の家に行って、ちゃんと話し合いしないと。
秋雨先輩に言われ、佳奈先輩の家に来たは良いものの、素直に会ってくれるだろうか?
取り敢えずインターホンを押してみるか。
「はい! どちら様?」
ドアを開けて出て来たのは先輩のお母さん。
「あら? 一条さん。どうしたの? 佳奈に用事かしら? あの子なら部屋に居るから上がって」
「すみません、お邪魔します」
あっさりと家に上がれた。
そして本当に秋雨先輩が言ったとおり、先輩は家に居るらしい。
「ここで話すより佳奈の部屋の方が良いだろうから、部屋まで行ってあげてくれる? 開けてくれなくても勝手に入っちゃっていいから」
「すみません、有難うございます」
何かを察してるのか、それとも何も知らないのか。いくら数回会っただけの私を、直接部屋へと通してくれるのは、それだけ信頼されているのか?
許可を貰った事だし、取り敢えず先輩の部屋へ行こう。
「先輩? 入りますね」
部屋のドアを開けて一歩中に入れば、先輩はベッドの上で布団にくるまって埋もれていた。
鍵付きのドアなのに鍵を掛けて無いなんて、私がここに来るのを期待していたのかな?
部屋に入りドアを閉めると同時に鍵も掛けておく。ベッドで布団にくるまってる先輩に向かって、そのまま喋り出す。
「先輩、どうして逃げたりしたのですか?」
「…………」
「私が先輩以外の人と付き合うと思ったのですか?」
「…………」
「返事して下さい」
「…………」
「先輩? 返事してくれないのなら……仕方無いですね」
少し強引だけど私は、ベッドでくるまってる先輩の上に乗ると、無理矢理に布団を引っペがして隠れられない様にした。
「先輩……」
「…………」
これでも拒否するの?
顔を背けたまま、全く目を合わせてくれない。
それなら、こっちだって考えはある。
「先輩。何で私から逃げたのですか? そんなにも私の事信用して無いのですか? 分かりました。私がどれだけ先輩の事が好きなのか教えてあげます」
馬乗りになってる状態のまま、私は強引に先輩の唇に自身の唇を重ねた。
何度も繰り返すうちに観念したのか、それとも他の理由があってなのか、先輩は私に抱き着いてきた。
「一条ちゃん」
「やっと見てくれましたね」
「ごめんなさい」
「もう二度と逃げたりしませんか?」
「うん」
「じゃあ先輩からキスして下さい」
抱き合ったままで居たから直ぐに先輩からキスしてくれた。
「一条ちゃん、好き。他の子の所行かないで」
「行きませんよ。私もせ……佳奈先輩が好きです」
そのうち今話のみのR18バージョン上げるかも?上がらないかも?
もし書いたら、お知らせします。