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進路希望調査票と将来の夢 【さん】

『大学生になったら一人暮らしすると言ってよね? その事なんだけど、貴女一人だと心配だから、由希ちゃんにお願いして一緒に住んで貰う事にしたから。由希ちゃんのご両親にも了解得てるから心配しなくていいよ』


叔母さんの言葉を聞いて、放心状態になっている葉月。と言うか、叔母さん! 今いきなり言う事なの!?


「は、葉月?」

「……え? あ、ああ……だ、大丈夫。ちょっと混乱してるけど」

「それ、大丈夫とは言わないよ」

「あ、うん……由希が言ってた事は本当だったのね」

「まぁ、まだ一年以上先の話だけどね」

「そっか……今から大学生活が楽しみだよ」

「うん。でも、私と違って葉月は大学受験とかあるから大変だと思うよ?」

「由希とずっと一緒に居られるなら頑張れる」

「そう言ってくれると嬉しいな」

「そう言うワケだから、早速ウチで勉強しよう」

「えー!」

「期末テストも近いから、今から復習しておくの」

「………はーい」


葉月に腕を掴まれると、私を引き摺る様に家へと歩き出した。





**************


「せんぱい!! やっと追い付いた!」

「一条ちゃん!! 何で追い掛けてくるのー」

「だって先輩が逃げるから」

「別に逃げたわけじゃ……」

「はいはい。部活戻りますよー」

「うぅ……」

「それとも私と二人きりになりたかったのですか?」

「そ、それは……」

「素直じゃないですね」

「ちょっ……んッ……まッ……」


私が何か喋るよりも先に、一条ちゃんの唇で塞がれてしまった。

と言うか……し、舌! ここ学校!

一条ちゃんの舌が私の口内を蹂躙してきて、その良さに体の力が抜けていった。

幸いにも、この事は誰にも気付かれなくてホッとしていた。


「先輩、今度こそ部活戻りましょう」

「う、うん」


離さないとばかりにぎゅっと手を繋いで、その横顔は私とキスをしたからか、一条ちゃんは嬉しそうな顔をしていた。


「一条さん。ちょっと良いかな?」


部活に戻る途中、何処かの教室から一条ちゃんに声を掛けてきた生徒を見て、私は嫌な予感がした。


「何か用?」

「私と付き合って」

「「え!?」」


思わず聞き返したくなるほど驚いたが、嫌な予感は見事に的中してしまった。


「だから私と付き合って。一条さんの隣には私が相応しいと思うの。だから付き合って」

「何で?」


一条ちゃんの返事に対して告白してきた子は、私の方を一瞥すると、私の存在を無視するかの様に一条ちゃんに抱き付いてきた。

いきなりの事だったからか、一条ちゃんと繋いでいた手が離れた。その瞬間を見逃さないとばかりに、抱き付いてきた子は一条ちゃんにキスを迫った。私はキスする瞬間を見たくなくて、咄嗟にその場から逃げてしまった。



「せんぱ──」

「あんな人なんてほっといて私と一緒に居よ?」

「離れろ!」

「え?」

「いいから今直ぐ離れろ!」

「う、うん」


先輩を侮辱する様なやつは、例え先生と言えども赦さない。


「私の気持ち受け取ってくれるよね?」


私の態度を見ても、まだそんな事言えるなんて馬鹿としか言い様がない。


「私の大切な人を侮辱する様な人とは顔も見たくない」

「え?」

「その面、二度と私に見せるな! 私に近付くな。さっさと消えろ」

「…………」

「聞こえなかったのか?」


私が怒っている事にやっと気付いたのか、慌てて逃げて行った。


「ふぅ~」


さてと、先輩は何処へ行ったのやら。

私が先輩と別れて、他の子の所へ行くなんて有り得ないのに。取り敢えず部長に連絡するかな。


『先輩逃げてしまったので、今日はこのまま帰ります』


これで部活へは戻らなくても大丈夫かな。


『また何かやらかしたのかい? 佳奈なら鞄取りに来て帰ってたよ』


え?帰った……?


『部長。それ本当ですか!?』


暫く待つと部長からの返事が


『さっき来たから、今から追い掛ければ間に合うかも?』


部長から来た返事を見てソッコーで戻り、私も帰る旨を改めて伝えた。


「早く仲直り出来るといいね」


部長からそんな一言を貰い、私は急いで先輩の後を追った。











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