男なんて興味ありません!? 【いち】
秋も深まり日増しに寒くなり、学校へ行くのも今までなら億劫になっていたが、今年からはそんな感じにならない。何故なら、私の隣りには恋がピッタリとくっついているからだ。
「恋、歩きにくいのだけど」
「でも嫌じゃないでしょ?」
「そうなんだけど」
「だったら良いじゃない。それに咲に近付く悪い虫も寄って来ないから」
「悪い虫って……でも、それなら恋にだって同じ事言えるよ」
「…………」
あら?黙ってしまった。
何時もなら何か言ってくるのに。もしかして本当に悪い虫が寄って来てるの?
「恋……もしかしてだけど、誰かに告白された?」
「……うん。でも恋人居るからって断った」
「それなら大丈夫だね」
「それがそうでも無い。相手は諦めて無いらしくて、振り向いてくれるまでアプローチしてくるらしい」
「そ、そうなんだ」
まさか恋、私置いてその人の所へ行かないよね?
「大丈夫。私は咲一筋だから、浮気なんてしないし、そもそも咲以外に興味なんて無い」
「心配はしてないよ」
「顔に出てた」
バレてたか。でも恋が私以外に興味無いと言うのは何時もの事。二人きりの時を邪魔しようなら、冷徹にさえなってしまう。
そんな事を話していたら学校に着いた。
下駄箱で上履きに履き替えていたら、恋の居る所から男子生徒の声が聞こえて来た。
「恋さん、おはようございます」
「…………」
「恋さん?」
「咲、行きましょう」
「うん!」
私達は何時も通りに恋人繋ぎをして、教室のある方へと歩き出した。
さっき恋に声掛けてた男子生徒が告白してきた人なのだろう。ただ、恋は一度振ったのだから二度と相手にはしない。
ただ相手の男子生徒は、この先も恋に絡んでくるのかと思うと嫌な気分になった。
「咲、彼の事は気にしなくていいから。私だけを見てれば良いの」
「うん、それは分かっているけどね」
「咲に不快な思いさせたくないから、さっさと手を打たねば」
「れ、恋? 穏便にね」
「勿論!それよりも昼休みまで咲と離れ離れになるのが寂しい」
「はいはい。じゃあ、何時もの所へ寄っていく?」
「勿論寄って行く」
私達は自分達のクラスを通り過ぎると、誰にも使われていない空き教室の中へ……入って早々にドアの鍵を掛けておく。これで誰にも邪魔されない。
「咲」
「もう、恋ったら……」
恋が後ろからぎゅっと私を抱き締めてきて、耳元で囁く様に名前を呼ばれた。
私は振り返り正面から恋を抱き締めると、唇へ軽いキスを何度も繰り返した。
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「恋さん!」
俺の存在に気付いているハズなのに無視するなんて、振ったからとはいえ挨拶くらいは普通するよな……
「田崎、お前ここで何やってるんだ?」
「あ、先輩。おはようございます」
「ん? もしかしてお前、秋雨に告ったのか?」
「え!? ど、どうして分かったのですか?」
「お前以外にも同じ事やってた奴知ってるから。でも、まぁ……どんなに吹っ切れて無くても相手が悪過ぎる。秋雨は諦めろ」
「先輩、そこは普通応援するとこじゃないですか?」
「普通はな。だが秋雨なら別。お前は一年だから知らないだろうけど、二、三年の間では『秋雨姉妹に手を出すな(告白するな)』と言う暗黙のルールがあるんだよ。三年間、平和に過ごしたいのなら、素直に聞いておけ。あとHRに遅れるなよ」
「そんな……なんですか!? その暗黙のルール……って、先輩!」
「兎に角、素直に従っておけ。それでも、諦めず彼女に近付くのなら、どうなっても知らないから。忠告だけはしておくぞ!」
先輩からの一言で衝撃を受けた俺は、チャイムが鳴っても動く事が出来ず、立ち直ったのは一限目が始まる頃だった。
初めましての方もそうで無い方も、お久し振りです。
新作の連載と言うわけですが、初っ端からイチャイチャが少ない!
あれー? 百合百合するハズなのに、それすらも無い。
うーん、早く百合百合しい話にしなくては:( ;´꒳`;)
それでは皆さん、これからも宜しくお願いします!
…………処で登場人物紹介とかいるかな?