T.settlorの記憶装置(《A》Milと共用)
:LFV Legged Fighting Vehicle 装脚戦闘車両
LFVは宇宙進出戦争以前、対テロ戦闘などの小規模戦闘の増加に伴い開発された、次世代戦闘兵器である。
その名前から分かるように、歩行を行うための脚部を有した上で、高速走行(整地100km/h以上)を可能とする装輪、重機関銃の直撃に耐えうる防御力、そして敵装甲車やLFVに対し、十分な破壊力と命中精度を備える中口径砲もしくは30〜37mm程度の機関砲を装備している。現在では技術進歩により、MBTの主砲も条件や装備(反応装甲など)によっては防御が可能なレベルになっている。
《M3セントール》
宇宙進出戦争時、GFSで運用されていた四脚LFV。ユニット化され、作戦に応じて最適化が可能な砲塔を持つセントール・シリーズの三代目であり、正面装甲に複合装甲を用いるなど、当時としては画期的なLFVだった。現在では後継のM5に完全に置き換えられ、モスポール保管された車両や、そこから武装や装甲を取り外すなどして、民間用として販売されている車両も存在する。
無政府状態の地域での自衛用として、本機を模したLV(Legged Vehicle 戦闘用でなく、民間で使用される非武装モデル)がGFS・RosTech問わず生産されているが、これは本機に限ったことではない。
コクピットは非常に狭い。
《M1レッドストーン》
GFSの革新的ADV開発計画の副産物として開発された、単座の四脚LFV。固定武装は12.7mm機銃、60mm迫撃砲のみであるが、これはADVと同様の武装把持システム《AUU-グリッパー》により、用途に応じて搭載武装を換装することを前提としているためであり、無人砲塔両側面にこのグリッパーを有し、一部を除くADV用兵装の運用を行える。
単機での運用性を考慮した、次世代の標準機として着々と配備が進められている。
:ADV Advanced LFV 発展型装脚戦闘車両
ADVは、宇宙進出戦争のさなか、主力兵器にLFVを越える遊撃戦適性と、MBT、ひいては航空兵器に直接対抗しうる性能の両立を求めたGFSが開発したLFVの発展型である。基本的には二脚型が多い。
最大の特徴である腕(Universal Usable Manipulator UU-Manipulator)を有したことで、装備換装の簡素化と高い汎用性を獲得。機体の大型化、前方投影面積の拡大と共にリスクの高まった被弾を減らす為、各所にスラスタを設けることで、既存兵器にはなし得なかった機動が可能となった。無論、積層装甲の採用などで防御も考慮されているものの、「避ける」戦闘を行うのがADVの特徴である。
のちにGFSに次ぐ勢力を誇ったRosTechも、来るべき領地の拡大を見越し開発を始めたが、ユーラシア統合コングロマリットの設立と共に戦略を物量戦へと移行した為、LFVの開発が優先された。その結果、正式採用された機種はわずかに絞られている。
コングロマリット崩壊後は、Rostechに流れ込んだ西欧企業連合体の技術者が新機種の開発にこぞって乗り出ているが、そちらよりも新機種売り込みの口実として、副次的に開発されたMBTに匹敵する性能を備えた新型LFVの方が正式採用されたという事例が存在し、運用面での高い負担を強いるADVは、LFV含む通常兵器の大量投入を主たる戦略とするRostechではあまり重要視されていないことがわかる。
ADVは軽量化のため、積層装甲は胴体周りや肩部、大腿部などにのみ使用され、被弾率の低い四肢は宇宙進出戦争のさなか確立された繊維強化金属複合マテリアル(FRM)が用いられることが多い。
《G00ADV エプシロン》
GFSの最新型二脚ADV。型番はGFSで100番目に開発された装脚兵器を表している。
本機はG90以降の革新的ADV開発計画で用いられた基本設計を踏襲しており、モジュール化された装甲から独立されたフレームに、水素を直接吸蔵させる構造をとっている。このフレーム自体はG97で確立されたものを小改良するにとどまっているが、本機はG99(詳細は後述)用に開発された新型の水素スラスタの改良型を2発搭載し、燃費と出力は他の追随を許さない。
センサ類も大幅に改良され、高速機動下での確実な照準を可能とする、新型のスリットタイプ光学センサを搭載している。これは従来品と比べてもかなりの小型化が達成されており、被弾にも強い。また、精密機器の詰まった頭部の装甲増強にも一役買っている。
従来機に求められた「ドライバーの感覚による姿勢維持」をほとんど必要としない高い操作性も、本機の特徴の一つである。
GFS機の特徴である高い汎用性も持ち合わせており、GFSの誇る膨大なADV拡張装備群はその殆どが使用可能。
また、アクティブ防護システムは標準装備となっているほか、直接防御に関しても、その軽量を保ちつつ、より塑性変形を起こしにくくなった新型FRMが、複合装甲以外の部位に使用されている。
《G99ADV ラムダ》
本機は主力機となるべく開発された二脚ADV・G97で浮き彫りになった、重量増加による運動性能の低下を装甲削減と推進器増設という形で半ば強引に解決した特殊機である。
防御力を犠牲に、高い機動力で敵の攻撃を完全に避けるという「無茶」なコンセプトの元、脚部は完全新規設計となり、大出力スラスタの搭載や、より自由度の高い機動を実現する減速用ノズルの設置によって、原型機G97の7割増しと評される圧倒的な機動性を確保している。
また、この副産物としてノンオプションでの空挺降下・短時間の自力飛行が可能となっているが、代償として操作性と燃費が犠牲となり、献身的な補給が必要不可欠である。
これらの大改装の結果、G97とは別機種扱いとなっている。
《G99ADV改 アウトバーン》
フェリナの好みでチューンされたG99の特別仕様。スラスタ全力稼働時は最大10Gの加速が可能。
《Ro-74 サリュート》
Rostechの二脚ADV。全高7m。
極めて堅実かつ整備性を考慮した設計となっており、満足な補給が行き届きづらい最前線でも安定した性能を発揮することが可能。
「あらゆる状況下で稼働するADV」という、Rostechの開発方針が明確に現れた機体であり、同時に量産性も高い。
背部にハードポイントを備えるが、積載量はさほど多くないため、基本的に軽量な予備弾倉などが搭載されることが多い。無論、背部兵装の搭載自体は可能である為、任務に応じて適切な取捨選択が必要となる。
ADVの象徴たるスラスタは、出力応答性に重きを置き、混ぜるだけで推力を生む自己着火推進剤を用いた2液式スラスタ、いわゆるハイパーゴリックエンジンを搭載している。毒性の強い推薬を運用することを考慮した着脱式のバックパックに、燃料タンク含め独立配置される。これは出力応答性が極めて高く、構造の単純な水素スラスタや、その燃料貯蔵機構が開発できなかった時代の名残である。
強化繊維を用いた複合装甲はコクピットのある胸部鋳造装甲内部に封入されるのみに留まり、それ以外の装甲はRHA(均質圧延鋼板)である。このため重く、運動性はGFSの新系列機には劣る。
現行主力のサリュートB3には、異常なまでに出力の高いヒドラジン系推進器が搭載されているが、これはヒドラジンをこよなく愛する設計者が手がけたもの。なお、本体は謎の天才設計者「同志チーフデザイナー」が手がけており、仲が悪いのでバックパックは完全に独立となっている。
脚部はLFVのような装輪式であり、スラスタ不使用時でもある程度の加速性能を付与している。
モチーフは旧ソ連の主力戦車である。オブイェークト。
《コラム 推進系》
普段は戦闘車両並みの速度でありながら、瞬間的な加速を断続的に行うADVでは、根本的に航空機用ジェットエンジンのような機構は利用できなかった。
そこで、まず使用されたのがロケットエンジンである。これは地上運用でありながら酸化剤を携帯するという、極めて非効率なものだったが、「瞬間的な加速」を実現するには相応しい推進装置だった。
極低温燃料は貯蔵の観点から採用されず、常温での保管が可能なハイパーゴリック推薬を使用するスラスタが初期のADVには搭載されていた。背部に1~2発のノズルを持ち、加速センサによる三軸検知と連動したTVCで非接地時の機体安定を確保しているが、運動性能を重視した機体では、腰部や機体前面に姿勢制御スラスタが配置されるケースもある。
エンジンの構造も簡素化され、高圧ガスを充填したタンクを用意し、推薬を燃焼室に送る圧送式サイクルが使用された。ロケットエンジンというデリケートなシステムでありながら、かねてより熟成されてきた高い技術によりこれらは高い信頼性があったが、ハイパーゴリック推薬の欠点である強い毒性は、運用時の負担となった。
RosTechはADVをそれ専門の部隊にのみ配備することで、それに特化した支援人員を用意したが、ADVを主力兵器として運用するGFSは、現用機全てに水素を推薬とするスラスタを搭載することで解決を見た。
水素貯蔵機構は、被弾損傷による漏洩や喪失が考えられるタンク式ではなく、フレームの構成素材に直接吸蔵させる構造になっている。
酸化剤に関しては、電動圧縮機により圧縮された空気を一時貯蔵タンクに送り込み、スラスタ使用時にのみ燃焼室内に供給する構造をとっている。これらの機構は「パワーパック」としてユニット化され、損傷時はまるごと交換できる構造となっている。
また、水素は燃料電池や脚部ホイールを駆動するための小型水素タービンエンジンの燃料としても使われる。
:従来兵器
戦闘車両、航空兵器はこちらに統一する。
V-33 マレット
ティルトローターをもつ多目的輸送機。高い搭載量はADVの輸送にも重宝されている。
ADVを搭載する場合は機体後方のハッチを取り外す。
:軍産複合体
壊滅した国家に変わり、新たな支配者として君臨する組織。
GFS
アメリカに本社を置く複合体。厳密には「GFS技術共同体」に属する企業の集合体である。戦争の過程で他企業を吸収し続けた結果、このような構造となっている。本社はカリフォルニアに存在し、南北アメリカおよびオセアニア・東南アジアの一部を領地とする。日本も統治下にある。
現状、領地の住人は契約兵士(軍隊で言うところの下士官及び兵卒にあたる。士官・将校は企業兵士と呼ばれる)として戦場に出るか、GFS管理下の生産法人での活動に従事するかの選択を強いられる。
また、これら各地に技術共同体傘下の企業が存在しており、互いの保有技術は基本的に共有される。これらは生産においても重要な役割を果たし、要塞化された本社は一種の戦略拠点としての意味合いを持つ。その為、これらを守るために極めて厚い防衛網が組まれ、本社を囲むように、数百キロ間隔で戦術拠点となる第○号(○には数字が入る)要塞が配置され、前線基地も多数が存在する。
現在でこそ「超」軍産複合体の一つになるまでの規模を誇っているが、その源流は「個人的なサークル」であったと言われている。
RosTech
宇宙進出戦争の発端にして、かつて存在した「ユーラシア統合コングロマリット」の成れの果てである。
現在の本社はモスクワに存在しているが、支配地域はユーラシア大陸全土とアフリカ北部と、極めて広大である。これはコングロマリット時代、欧州企業連合体が保有していた領地を実質的に受け継いでいる為であり、現在は本社を中心として同心円状に戦区が設定されている。戦区内の基地群は通信衛星を介し、極めて高度な連携を可能としている。
共産主義である。また、領地では独自の宗教が蔓延しているらしい。
西欧企業連合体
RosTechの西欧侵攻に伴い結成された企業連合。GFS技術共同体と似ているが、その実態は国家の代替的な側面が強く、構成企業の代表による極度の中央集権体制がとられていた。
戦争半ばのRosTechの核攻撃により首脳陣が一挙に壊滅した後は、同社と「同盟」を結ぶという名目で吸収され、ユーラシア統合コングロマリットが誕生することになる。
バイオテクノロジーなどの独特な技術体系が特徴であり、コングロマリット崩壊に伴う実質的な崩壊後は、ロストテクノロジーとなってしまったような技術も存在していたと言われている。
完全な余談であるが、ADVには所謂「腹部」がなく(代わりにあるのはディスク状の旋回テーブル)、砲身を無くした戦車砲塔から手足と頭が生えている、文字通りの「人型戦車」と言えるものである。「○ァン○ァー」や所謂「ノーマルA○」を思い浮かべて頂くとそれらしい…かもしれない。