プロローグ
「ふざけんな!何かどうなってる。」
年は10代中半の少年が、背後から追いかけてくる緑色の小人たちから全力で逃走をしていた。緑色の小人は、一般的にゲームやアニメの世界に出てくるゴブリンと呼ばれるモンスターに酷似しており手に持ったショートソードで少年を殺そうと追いかけている。
「今日は何時も通りに学校で授業を受けようとしただけなのに俺が何か悪いことしましたかね神様!」
少年はこのまま逃げ続けても、いづれ追いつかれると判断したのか足を止めてゴブリンに向きなおる。
そのまま、ゴブリンに向けて足元にあった石をなげつける。しかし、ゴブリンは向かってきた石を避けて少年に向かって剣を振り落とす。
「はっ。」
ゴブリンが振った剣の速度は到底少年か避ける事が出来るものではなかったが、霊視により少し先の未来が見えていたので事前に動くことで回避していた。更に、回避された事で体勢を崩したゴブリンに対して拳を食らわせぶっ飛ばした。
「えっ?何で俺はこんな事ができるんだ。」
少年は自分ができた事に対して疑問を抱きつつゴブリンから逃げ出した。
少年がなぜゴブリンから追われているのかと言うと、時間をおおよそ半日ぐらい前から遡る必要がある。
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「今日も、学校かよ憂鬱だなぁ。」
俺、天田 陸は天童高校の二年生で家から学校へと登校途中だったがあまり気に乗らずだるそうに歩いていた。
身長は平均位で顔も普通、部活動に所属していおらず運動神経も同年代の平均レベル。何か特技かあるわけでもない。
何故、そんな俺が学校に行くの嫌がるのかと言うと別にいじめられているわけでもポッチというわけでも勉強ができないっていうわけでもない。
ただ、俺が在籍するクラスにおいて学校で一番のイケメンである高木峻と一番の美少女である森羅雫が所属しており、この二人がクラスの中心となっており どうしても俺は馴染むことができないでいた。
「クラスの皆も、なんであの二人がいるって言うだけであんなに 喜んだり騒いだりするんだろうか。」
俺は、どちらかと言うと静かな方が好きでクラスのみんなが学校で一番の美男美女がいるというだけでお祭り騒ぎしているので その騒ぎを馴染めないので何時も遠くから眺めていた。
「今日くらいは静かに過ごしたいよ。」
俺はまず叶わないであろう願いを口にしながら教室の扉を開けた。
「あら、今日も憂鬱そうな顔をしているわね」
教室に入った俺に話をかけて来たのは荻原可憐。 このクラスにおいて、森羅雫と同レベルの美少女だ。
彼女の容姿は、黒く艶やかな髪は腰まで伸びて極上の手触りを感じさせる。
胸は日本人にもかかわらず規格外に豊満。
整った目鼻立ちに雪のような白い肌。
育ちの良さを感じさせる立ち振る舞いは高値の花を感じさせる。
総じて、超のつくレベルの美少女だと言える。
しかも、成績は常に学年トップて親は大企業の社長を勤めておりお金持ちの家の子だ。
はっきりいって、俺みたいな平凡な人間がお知り合いになるどころか声をかけることすらできないような奴なんだが同じクラスになってからよく会話するようになっていた。
彼女も、俺と同じく騒がしいところより静かな方が好きな人種だ。
何より話しかけてくる人間を無視したり毒舌を吐いたりなどするので 誰も近寄らせず孤高を貫いていた。
そんなことをしていたら、クラスに馴染めるわけがなく俺と同じくクラスの騒ぎを遠巻きに眺めていることが多く席も近かったため話すようになった。
荻原可憐が森羅雫と同レベルの美少女なのに学園で一番の美少女じゃないのはこの性格ゆえにだろう。
「仕方がないだろう、あの騒ぎだぜ。」
騒ぎの中心になっているのは、天童学園が誇る美男美女である 高木俊と森羅雫の二人だ。
二人が会話しており、その周りをクラスメイト達が囲っている。二人が会話することで、笑ったり喜んだりするたびに周りのクラスメート達はいちいち反応し歓声をあげたりうなずいたりしておりそれが原因で騒ぎが起きている。
はっきり言って、俺たち2人からすればなんでそんな騒ぎになっているのが良く分からない。
なので 俺たち2人は騒ぎは遠巻きに見ながら会話をしていた。
「はっきりいって何であんなに楽しそうなのかがわからない。」
「しかし、あの2人を囲っているクラスメイトと高木君は楽しそうにしているけど森羅さんの方はそうでもなさそうよ。」
「そうなのか?よく分からないが。」
「彼女は、楽しそうなフリをしながら周りと合わせてるだけよ」
「そんなもんかね。」
クラスの中心である片割れである森羅雫の方をよく見ても楽しげに会話しているふうにしか見えない。
あれで、ふりというのであれば女怖いとしかいいようがない。
俺は荻原と雑談をしながらホームルームまでの時間を潰していった。
「起立、礼、着席。」
日直の号令により授業の終わりが告げられるのと同時に俺は背伸びを行う。
「はあぁぁぁー。ようやく昼飯の時間か。」
俺は3時間目の授業が終わると昼の休憩時間になったので、鞄の中からカロリーメイトを取りだし食べ始める。
「何時も、よくそれだけで足りるはね。」
荻原も自分のカバンから弁当を取り出し昼食をとっていた。
「ご飯なんて栄養補充できればそれでいいじゃないか。俺としては、ご飯なんてすぐに終わらせて本でも読みたいんだよ。」
生粋のインドアである俺の趣味は読書で、主にライトノベルを 読んでいた。荻原の趣味も同じく読書たが小難しい学術書を読んでおり内容はまったくわからない。
趣味が一緒なのと、会話するよりも読書している静かな時間の方が互いに苦にならない所が俺と荻原の仲が長続きしている理由なのかもしれない。
「4限目の授業は、理科の授業で科学室で実験か。教室を移動するのって面倒くさいよな。」
「あいからわずのめんどくさがり屋よね。」
昼の休憩時間が終わったら、俺は荻原と会話をしながらクラスのみんなが教室から出て行くのを待っていた。クラスメート達は、あの二人を中心に一塊になって移動するので全員出て行った後に俺たち2人は科学室に行こうとしていた。
この、クラスメート達と離れた距離が後の俺の運命を決めるとは現時点で俺は全く知らなかった。
「それじゃあ、そろそろ行こうとするか。」
そう言って、教室から荻原と一緒に出ようとした時に突如俺たちの足元から光が立ちゲームやアニメで出てくる魔方陣が現れた。
魔法陣はクラスメイト達を囲むように現れたが少し離れていた荻原はぎりぎり内側にいたが俺は魔法陣の外側にいた。
そして、魔法陣が現れて一瞬俺たちは地球から消えていなくなった。