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末期の引きこもりが魔王のペットになって全力で愛でられます。  作者: 雪野ゆきの


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ペットなのでお仕事しません!






「キティ、今日は情報管理部隊(保育所)で遊んでいてくれ」

「らじゃらじゃ」



 ジークは今日お仕事で外に行くらしい。

 忙しいジークの代わりにキティは室内でお菓子をむさぼってよ。




「たいちょーさんこんにちは~」

「お~、キティちゃんいらしゃい」


 ソファーに座ると、即座にクッションと安心毛布が手渡される。


「キティちゃんは何飲みたい?」

「お酒」

「ホットミルクか~」

「……アルコール」

「ホットミルクか~」

「…………」


 聞く気ないなら尋ねてくんなよ。

 ホットミルクも好きだけど。


 隊長さんが出してくれたホットミルクをふぅふぅして冷ます。


「キティちゃん、今日は開発局からここにお客さんがくるから大人しくしててね」

「……あばれろってフリ?」

「言葉の通りだよ」






「――? ――」

「……ん」


 ソファーの上で丸まって寝ていたら、いつのまにかお客さんが来たみたいだ。


「キティちゃん、ごめんね。お客さん来たからちょっと移動しようか」

「ん~……」


 隊長さんに包まっていた毛布ごと抱き上げられた。


「んん? そちらの子はもしかして噂の魔王様のペットですか?」

「そうですよ」

「ほんとにちっこいですね~」

「とてもマヌケかわいいんですよ」


 誰がマヌケじゃ。


「魔王様が羨ましいです。俺にも癒しがいたんですが最近連絡もなしに失踪しちゃって……。ゲームのランキングには載っているので生きてはいると思うのですが」

「それは心配ですね……」



 それから二人は少し雑談をして、仕事の話に移った。


 私はもう一回寝た。







「ん……」


 口が開いてたのか、喉の渇きで目が覚めた。

 短い手を伸ばしてテーブルのコップを取ろうとするが――とどかない。


「にゅむむむ……」


 コップが取れないけど毛布から出たくない。


「こらキティちゃん、危ないでしょう。ちゃんと起きなさい。めっ」

「んにゃ~」


 隊長さんに毛布をはがれた。

 ……まぶしい。


 仕方なく顔を上げると、お客さんと初めて目が合う。


「「あ」」


 私とお客さん……いや、開発バカの声が重なった。


「てっ…………天才ちゃん!!」

「むぎゅわ!」


 開発バカに毛布ごと抱き上げられ両手で締め付けられる。

 開発局のお客さんてこいつだったのか。


「はなせっ! くるしい……」


 バカの腕をぺちぺち叩く。


「相変わらず天才ちゃんはかわいいねぇ~。いつの間に魔王様のペットになってたんだい?」

「この前」

「簡潔な答えだね」


 バカに残念な子を見る目を向けられた。げせぬ。


「えっと、二人は知り合いで?」

「そー。ただの知り合い。お互いに知ってるだけ。なかよくない。びじねすらいく」

「天才ちゃんってばツンデレだなぁ」


 バカが私の頭に頬ずりしてくる。

 そして状況がのみ込めていない隊長さんの前にズイっと私を押し出した。


「カインさん! この天才ちゃんはですね、魔石板を開発した張本人なんですよ!」


 目を見開いた隊長さんの眼前には、ぷらーんとぶら下げられているキティちゃん。

 

「……それは、本当ですか!?」

「もちろんです」


 自信満々に頷く開発バカ。


「大体300年くらい前でしたかね~、魔石板のアイデアを聞いた時はしびれましたよ」


 なんか語りだした。


「それからは次々に魔道具の開発に貢献してくれましてね~。カインさんも知っての通り、もはや伝説的な存在ですよ。……まあ実態はただの引きこもりなんで、確かな情報は容姿くらいであとは噂が一人歩きしてるけど」

「そうですね。魔石板の開発者は天才だが人格は破綻してるとか聞いたことあります」

「しつれいな」


 好き勝手言いおって。


「実際自分じゃ滅多に外に出ないから必要物資を定期的に俺に買ってこさせてたくせに、何の知らせもなく行方をくらませたんだから人格は破綻してるかもねぇ」


 好き勝手言ってください。

 よく考えたらひどいことしたな。


「でも開発バカも私の頭脳目当てだったから、ぎぶあんどていく」

「う~ん、確かに天才ちゃんはかわいいし癒されるけど俺にとっては頭脳のほうが魅力的なんだよねぇ」



「キティは世界一可愛い」


「うをっ!!」

「あ、ジーク」

「ただいまキティ」


 いつの間にかジークがいた。

 私は流れるようにジークの腕の中に移される。そしておでこにちゅーを受けた。


 ジークが開発バカの方を向く。


「まっ、魔王様!?」

「キティは世界一可愛い」

「え?」

「キティは世界一可愛い」

「あ、はい」

「分かればいい」


 それでジークは満足したのか私の頭を撫でる作業に集中し始めた。


 開発バカが驚いた顔をしている。


「噂では聞いてたけど、魔王様がここまで親バカになってるなんて……」

「もうキティの魅力にめろめろよ。フェロモンがむんむんだから」

「何? フットがむちむちだって?」


 頭をはたいてやった。





「あ、そういえば、天才ちゃんはキティって名前を付けてもらったんだねぇ」

「いいでしょ。これからはキティって呼んでいいよ」

「え~じゃあ俺もそろそろナルって名前で呼んでよ~」

「わかったナルシスト」

「三文字余計かな」

「スト」

「後半三文字を消してほしかったよキティ」






 そうこうしているうちにナルが帰る時間になった。



「そうだキティ、拠点を移しただけで今まで通り魔道具の開発には協力してくれるんだよね?」



「え、やだよ。キティはペットだからもう働かないの」



「え!?」

「お外に出なくても稼げるから開発に協力してただけだもん。もうジークに養われるし。お金も貯まってて、これからも自動で入ってくるし」

「その才能を活かさないなんてもったいない!! 魔王様はどう思われますか!?」

「キティがやりたくないことをやらせる気はない」

「まあ親バカ!!」


 おお。いなかった間の話の内容も把握してるジークさすが。


「道具を作るの自体はそんなに嫌じゃないけど、期間内になにかをしなきゃいけないのが嫌。だからなにかアイディアが浮かんだら伝えるよ」

「!? ほんとかい!! ありがとうキティ!!」



 ナルはホッとした顔で帰っていった。







 隊長さんにバイバイして部屋に戻ると、ジークにギュウウウと抱き締められる。



「どうしたの?」

「キティ、浮気は駄目だぞ……」

「うわきなんかしないよ!! キティのおしりは軽いけど尻軽じゃないし! ジークだけのかわいいペットだもん!」

「そうか……」


 おお、ジークがちょっと笑った。







 その後は仲直りとして一緒にお昼寝をした。



 まあ喧嘩はしてないけどね。







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