僕の過去と明日
今回でこの物語は最後です!
初めはもっと沢山続きがあったのですが、だんだんここで終わらせる方が面白いんじゃないかと思い、今作で最後にすることにしました。是非弟主人公のギャルゲーメモリーを見てみてください!
忘れていた過去の事を知った僕は、家に帰りギャルゲーの仕上げをしていた。本当は全て終わっていたのだが、想華の事を思い出していなくても、聞いたときにやると決めていた事をやった。僕のゲームに足りなかったものを入れる仕上げだった。
「よし…これでいいな…さて、ゲームを始めるか」
想華は、ゲーム画面に戻ってからこっちに戻ってきていなかった。どんな理由があろうと、僕は最後に言いたいことがあった。ただ貪欲にその言葉を伝えるために、僕はゲームを始めた。
初めは亜衣紗、音夢、咲花にもう一度会いたい気持ちと、菊ちゃんに言われた告白のような言葉から始まったが、今では妹に伝えておきたい言葉の為だとか、虫が良すぎるよな…ギャルゲーを開き僕が最初に選んだルートは、亜衣紗、音夢、咲花、想華の四人の中からではなく、最後の仕上げで急いで作り上げたルートのみんなを選択した。よくゲームの中にある裏ルート的な扱いだ。僕はなん迷いもなくこのルートを選び、一瞬でラストシーンまで飛んだ。ストーリーやゲーム内容は自分で作ったし知ってるじゃないか!と、思い最後にこのルートをプラスしたのだ。すると音の入れていないはずのソフトからみんなの声が聞こえた。
「そんなルート嬉しいに決まってるじゃない」「嬉しくなんか…」「虎荒さんらしいです」
「ここまで仕上げるなんてさすがにぃだね…」
にぃ…なんだかその呼び名が懐かしいと思った直後に、沢山の思い出が蘇ってきた。妹、兄さん、菊ちゃんとの記憶だ。僕が事故で失った記憶だった。
「なんで…こんな事忘れるんだ…」
記憶も戻り、もう一度ゲーム画面へと目を移し選択肢を見た。お馴染みの三択の選択肢。
一「永遠にお前達の事は忘れない」
二「また、会いに来たよ…みんなこれからまたよろしく」
三「僕もそっちの世界にいってもいいかな?」
さてどれを選ぼうかな…選ぶ選択肢は決まっていたが、それは四つ目の選択肢だ。初めは三つの三択だったのだが、仕上げの時に急いで入れた選択肢…
四「みんなは、これから先もずっと僕の大切な家族だよ。だからもし出来るなら僕を見守っていて欲しい」
その選択肢を選択した直後目の前が真っ白になり、気が付くと周りが真っ白な空間にヒロインのみんながいた。もちろん想華もだ。
「みんな…これまでありがとう」
「何言ってるの?虎荒!また今度もし会えたなら今度こそケーキを一緒に食べてあげないこともないよ?」
「虎荒さん私ももし会えたならまた買い物行きましょうね…」
「虎荒っち!もし次球技で遊ぶことがあったら絶対負けないからな!」
みんな僕に最後の挨拶のつもりなのか?本当はやめてほしいのだが、一つ一つの言葉が今の僕には十分すぎるほどの破壊力があった。もう涙が止まらなくなっている…そんな僕に後ろから話しかける声が聞こえた。想華だろう。
「にぃ?大丈夫?また会えたね。少ししか一緒に居られなかったけど楽しかったよ?このゲームは勇也兄さんに消されないようにしてね?私はここにいるみんなと一緒ににぃのこと見守ってるね…最後の選択肢は私もびっくりしたよ。にぃなら…」
最後に何か言おうとしたが首を振って言うのをやめ、手を振っていた。そしてみんなが手を振り始めた瞬間、突然周りが崩壊し始めた。最後に僕は皆に絶対に伝えておきたかった事を叫んだ。
「僕はみんなが大好きです!これまで本当にありがとう!」
周りが完全に真っ暗になりまた気を失った。
虎荒の作ったゲームなかなか面白かったから少しいじちまったが大丈夫かな…俺はいつものように地下に駆け込んでいった弟の虎荒の様子を見に部屋を覗くと、俺が改良したゲーム画面に知らないコマンドが貼ってあった。
「勇也兄さん。にぃが私を思い出してくれたんだ。でも、やっぱり忘れてもらうことにしたの…勇也兄さんならわかってくれるよね?」
虎荒が目を開けたらどうすんだ?そう思いながら、俺はコマンドに文字を打ち直した。
「任せておけ、俺はお前らの兄貴だからな!」
そのコマンドに文字打った後に、急いで初期化し、ハッキングしてバックアップしておいたデータを移し、もう一度虎荒が作ったゲームを始めからにしておいた。
僕が目を覚ますと目の前には身の覚えのない面白そうなギャルゲーがあった。
「んっ?あー寝てたのか。このゲームなんだろう…面白そうだしやってみよっと」
僕は気が付くはずが無かった。データだけでなく、忘れないと言った記憶、ヒロインのみんなとの思い出までもが、僕の中から消されていたのだから。
俺は、虎荒に間違ったことをしたのだろうか…ギャルゲーを買って来た時に驚いたがまさか隠れて作っていた俺のゲームを買ってくるとは、しかもその作者のゲームまたは俺のゲームが出るたんびに発売初日に買いに行くほどまでになるとは…
「なぁ、想華。お前と約束した、虎荒を守るってのはこういうことなのか?これまでこいつがやってたゲームは全部俺が創っていることも知らずに楽しんでいる姿を見るのは作者冥利に尽きるのだが、記憶を消しても守っていることになるのか?一体どうすれば俺はお前たちの事をまもってやれていることになるんだ?」
読者の皆様本当にお疲れ様でした。弟主人公という物語はどうでしたか?まだまだ足りない所もたくさんあるので、また次の機会に書きたくなったら投稿したいと思うのでそのときはよろしくお願いします!
これまでありがとうございました。