想華と自作ゲーム
どもども~。天雨 貴樹です。
今回で遂に七作目ですが、今回はこの物語のメインの内容に入るので是非読んでみてください!
僕はゲームを完成させ、早速プレイしようとパソコンの電源を付けて、自作ギャルゲーのソフトを開いていた。まさかの一週間で完成だったので、僕は色々諦めていた。例えば、グラフィック、キャラデザはあまりにも我慢しがたいものだった。もしも一般に公開されでもしたら国を滅ぼしに行くほどだ。
「期待なんてしてないんだ…僕はただゲームがしたかっただけ!」
自分に言い聞かせてゲーム画面を恐る恐る覗いた。あっ!そういえば後ろにいる想華キャラとして使ってないの伝えていないのを忘れていた…やばい…
僕は体中に変な汗をかいていた。なぜなら、後ろに自分は使われていると思っている想華がいるのだ…
「あ…えと…やっぱりこのゲームは明日やろうかな~…」
後ろを向き直りバレバレであろう演技をしながら、必死に祈っていた。僕は学校を休みゲームを作っていたし、明日も休もうなんて全く思っていなかったのだがこの状況じゃ仕方がない。今やったら、絶対に殺されかねない。全く素性を知らないからだ。
「どうかしたの虎荒?」
やっぱりバレバレだろ…もう正直に言うしか…そう思っていると想華が信じられない事を言い出した。
「すごく絵が綺麗だね。私がメインなんて思ってなかった」
はぇ!?僕は想華をこのゲームに使っていなかったし、綺麗な絵など見た覚えも描いた覚えもなかった。だが、後ろを振り向きパソコンの画面を見ると、僕の作ったゲームとは全く違う物が写っていた。
「そ、そうだね…やっぱり今日やろうか…」
「間違ったの?だって私がメインなんておかしいよね?」
「間違って…ない」
僕はこのゲームに何があったのか分からないが、一度プレイしてみることにした。
なぜなんだ…僕の心配していたグラフィック、キャラデザはもちろん他の細かいミスを放置していた部分までもが治っていた。そして、とんでもないことに気が付いた。このギャルゲーは僕が作ったものだ…ストーリーの選択肢などが、僕の考えたものだったのだ。
「一つ質問してもいいか?」
「なにかな?虎荒」
「このゲームをいじったりした?」
「全くしてないよ?」
そうだよな…ついこの前まで全くプログラムの方法どころかパソコンもまともに使えていなかったんだ。
そんな事を考えていた時に僕はある重大なことを思い出して、想華に質問をした。
「そっか…そういえば最初も聞いたけれどここにどうやって来たの?」
そう、僕はこの子がどこから来たのか聞いていなかったのだ。
「え~と…話さないとダメだよね…」
ゴクリと唾を飲み込み、想華に視線を向けて話を聞いた。
「私もあまり分からないんだけど、虎荒のパソコンから出てきたの。そして…私はあなたの双子の妹なの…」
全く言っていることが分からない。パソコンから出てきた?出てこれるのはゲームのヒロインだけなんじゃないのか?遂に意味の分からない事を言い出す人まで出てこれるワープゲートにでもなったのか?
しかも僕の妹宣言してきたし…僕に妹なんていないはず。いるのは昔から兄さん、菊ちゃんだけだったはずなのだ。
「虎荒…ごめんね?急に意味の分からないことを言って混乱していると思うけど、私もまだよく分からないの。初めは別のゲームにヒロインとして創られたはずなの。でも、気が付いたらここにいたの。信じて…」
「ごめん、少し一人にしてくれないか?想華がもしも本当に画面から出てきたなら戻れるはずだから」
「あ、うん…わかった…」
そう言いながら画面の方に向かって歩きだした想華だったが、本当に画面の中へ入っていった。
僕は自分の作ったギャルゲーのソフトを一旦閉じ、久しぶりに外に出た。兄さんが一度僕を呼び止めたのだが、無視して昔よく行った公園のベンチに腰掛けていた。想華は本当に僕の妹なのか?いやいや、双子の妹なんて全く覚えていないどころか見たとなんてないはずなんだが、本当は…?僕の知らない妹なんていたのか?僕は長い時間一人で自問自答しながら頭を抱えていた。想華は双子の僕の妹、別ゲーのヒロイン?なんなんだ。全く分からない。この公園に来てから一時間ほど経った頃にたまたま通りかかった菊ちゃんが声をかけながら近付いて来た。
「こ…こーちゃんなの?」
今にも泣きそうな顔で訪ねてきたので、笑顔で返事をした。
「そうだよ。心配かけてごめんね?久しぶり、菊ちゃん」
「元気そうで良かった…うぅ~…」
泣いてしまったが、泣き止むまで待つことにした。
菊ちゃんは少し泣いた後に、僕に色々質問していた。
「本当に元気?体調は?」
「お母さんみたいなこと言わなくても大丈夫だよ…」
そう言いながら僕が元気であることをアピールしようと立ち上がろうとしたのだが、足がもつれて豊満な菊ちゃんにの胸に顔が当たってしまった。
「っ!大丈夫?こーちゃん?やっぱりどこか悪いんじゃない?」
僕は急いで立ち上がり、菊ちゃんから離れた。恥ずかしくて顔は真っ赤のため、見せられるはずがない。
「いやっ!別に大した事は無いから。気にしないで?」
「そっか~。無理は絶対にしないんだよ?」
「うん…」
僕も少し落ち着きを取り戻し始めた頃に、昔から一緒にいた菊ちゃんに想華について聞いてみることにした。
「急なんだけど…菊ちゃん。僕に双子の妹っているの?」
すると菊ちゃんは驚いた顔をしていたとともに、悲しい表情をしているようにも見えた。
「あのねこーちゃん、この話はしない方がこれからも楽だと思うんだけど本当に知りたいの…?」
そのセリフを聞いて僕は、ギャルゲーを作る決意をしたときの兄さんと菊ちゃんの言葉を思い出していた。
”やっと明るくなりつつあったのに!” ”俺たちの覚えていることをあいつは覚えていないんだぞ?”
確かに二人がこういっていたのだが、何か関係があるのだろうかと思いながら菊ちゃんに説明を頼んだ。
「ずっと忘れられない記憶になるけれど本当にいいんだよね?」
「もういいんだ。僕は菊ちゃんに思われているような強い兄さんみたいに僕はなれないけど、何があろうと逃げるつもりもないから!」
僕がそう宣言すると、菊ちゃんが顔を赤くしながら僕を見て説明をしてくれた。
「聞いてたの…?まぁいいや。好きなのは変わらないしね。それで、想華ちゃんの事だけれど、こーちゃんには双子の妹がいたの。でもね、昔この公園で、ゆうちゃん、こーちゃん、はなちゃんと私の四人で遊んだ帰りの時に、手を繋いで信号を渡ろうとしていたこーちゃんとはなちゃんにスピード違反の車がぶつかったの。それで、私とゆうちゃんで必死に助けを呼んだんだけど、病院に運ばれた時には、はなちゃんは…でも、こーちゃんは病院の先生に、記憶障害はあるかもしれませんが、奇跡的に命に別状はありませんて言われて…その後からゆうちゃんは変わったの」
そんな…僕の妹…想華は死んでる…それならなんでゲームなんかに出てきたんだ?兄さんが変わった?まだ色々聞きたかったが、菊ちゃんはもう泣きじゃくっていたので、お礼をして家まで送ることにした。
「教えてくれてありがとう。菊ちゃん、家まで送るよ」
「ありがと…」
菊ちゃんを家まで送り、僕も家まで歩きだした。
本当にありがとう菊ちゃん。僕はこの大切な記憶をまた忘れてなんかたまるか!もう絶対に忘れないよ。想華…心の中で言ったのだが、遠くで想華が涙を流しながら笑ってくれている気がした。
今作をご覧いただきありがとうございます。感想アドバイス等お待ちしております。
遂に七作目となり、次回で第八作目。今回に引き続き、妹の想華の存在の核心に迫るストーリーになるので、次回ももしよろしければ、よろしくお願いします。
次回はいつもと同じく二日後の20時に投稿させてもらいます!