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双子になった私たち  作者: 四月三日
9/10

第九話 まずは自己紹介

とても久しぶりの投稿となりました。

「っいよし! いっちょ始めっかー!」


 放課後の教室。教卓にいる女子生徒が気合い高らかに宣言した。この教室には私を含めて10人の生徒がいる。なぜ私がここにいるのかというと、じゃんけんに負けたから。ことの発端は数日前。





 委員会。それはどこの学校でもあるごくごく普通にありふれたものである。そしてこの私立星小鹿学園にも委員会があるが、生徒全員が所属するわけではない。バイトがある人、部活がある人は希望があればで、それ以外の生徒が優先的に選ばれる。クラス毎に。だから私も例に漏れずに候補に選ばれ、じゃんけんに負けて委員会に所属したというわけ。なんてことだ。

 そしてその委員会の第一回目の活動が始まったというわけ。





「じゃあまずは自己紹介からかね。あたしは、三年の館花(たちばな)ゆずり。よろしくなー後輩」

「俺は新谷(にいや)裕翔(ひろと)だ。こいつガラわりぃから気をつけろ」

「おい」


 教卓にいた女子生徒とその隣の男子生徒があいさつする。男子生徒の指摘に女子生徒が反応する。ぱっちり二重の大きな瞳に艶のある茶色の髪の美人な人なのに、確かにちょっと怖い感じ。


「次、二年から自己紹介。俺こいつ抑えとくから、近衛頼む」

「はいはーい、任されましたー」


 男子生徒、新谷先輩から指摘された見覚えのよくある女子生徒が元気よく返事をする。


「はい! どうも二年の近衛柊でーす! よろしくねー……って、光璃じゃん!」


 振り返って敬礼しながら自己紹介する女子生徒、柊姉ちゃんが私を見つけて寄ってくる。できれば今は来ないでほしい。抱きつかれるよりはマシだけど。


「この子私の従妹で皐月光璃っていうの。どうぞよろしくー。ぎゅー」


 柊姉ちゃん、抱きついたまま紹介するのやめてほしい。恥ずかしいので。


「ちょ、柊姉ちゃん、まだ自己紹介終わってないから。離して」

「あ、ごめんごめん。ティアー次よろしくー」

「!?」

「私、光璃愛でとくから」


 愛でとくから、じゃないよ柊姉ちゃん。呼ばれた人慌ててるじゃん。


「え、えっと……わ、わたしはティテューリア・アクセリナ……です。よ、よろしく……おねがい……します」

「俺は夜咲(よざき)柊一(しゅういち)だ。よろしく頼む」

「ドイツ出身のニール・ハインツという。日本に来てまだ長くはないが、気軽に話しかけてほしい」


 慌ててた女子生徒に続き、近くにいた男子生徒二人も自己紹介をした。

 あれ? 二年生二分の一が外国人? どんな確率なの? しかも日本語上手だし。


「二年は終わったな。じゃあ、最後一年。近衛はセクハラしとらんで離れろ」


 ふくれっ面の館花先輩を引き連れた新谷先輩がこっち見て言う。


「えー。ヒロ先輩、この子私の従妹なんでいいじゃないですかー」

「よくねえよっ。館花引っ剥がせ」

「おうさっ」


 館花先輩に連れていかれる柊姉ちゃん。はーなーしーてーとかもがいているけど効果がなかった。館花先輩は良い人だね。


「近衛従妹から順番な」

「それ名前じゃないですからね? えっと、私は皐月光璃です。よろしくお願いします」

「俺は永妻悠平です。よろしくお願いします」


 私の後に同じくじゃんけんに負けた永妻君が自己紹介する。


小春(こはる)由紀(ゆき)です。こんな名前ですが見た目通りちゃんと男です」

「私は八塚(やつか)はじめです。私は見た目通りの女の子です」


 なんとも特徴的な挨拶だった。


「さて、俺たち広報委員会の仕事だが、毎日、毎週定期的にあるわけじゃねえんだ。必要な時に一気に仕事が来る感じだな」


 そう。私の入った委員会は広報委員会だったりする。正直具体的な活動内容はわからない。友達の少ない(いないわけじゃない)私としてはちゃんとできるか不安だったけど、同じクラスから永妻君が、なぜか偶然だけど柊姉ちゃんも一緒だったから少しは安心した。先輩もいい人達っぽいし。


「広報委員会はね、各委員会や先生たち、学校からの生徒や学校外に向けての連絡事項があるときに活動するの。掲示板管理や掲示物の作成。行事等の学校外配布資料なんかも生徒会と合同で作ったりするね」


 館花先輩がさらに詳しく説明してくれる。

 なるほど。裏方仕事の方が多いんだ。それなら私でもなんとかなりそうな気がする。


「すいません。配布資料とかっていわゆるパンフレットとかですか?」

「そうだが?」

「いえ、そういった物って学校側が作るんじゃ……」

「ああ、私立だからか、結構生徒にいろんなことやらせんだよ。もちろん先生たちも協力はしてくれるし、最終チェックや刷り出しなんかは学校側がしてくれる。俺たちはいわば原稿を作るって感じだ」

「そういうことですか。納得しました」


 八塚さんから質問が出たけど、新谷先輩がしっかり答えた。

 こういう風に他の人の質問に丁寧に答えてくれると嬉しいよね。


「でも今日は顔合わせと活動説明とかだけだったよな? ならこれで解散でよくねーかい?」

「そうだな。先生は今日は来れないって聞いてたしな」

「よーし。じゃあ今日は解散。また連絡すっから、おつかれー」


 館花先輩が解散を宣言する。そしてそのまま教室を出ていった。


「おうっと、カバンとヒロ忘れていた」


 戻ってきた。


「俺は物じゃないんだけどな。おい、襟首を引っ張るな」


 館花先輩は新谷先輩を引っ張りながら、再度教室を出ていった。新谷先輩はカバンを慌てて掴んだため、バランスを崩してそのまま引きずられていった。


「光璃ぃー、私たちも帰ろー。ぎゅー」


 さすが柊姉ちゃん、行動が速い。私を逃がさないように捕まえてきた。でも、口でぎゅーって言う必要ないんじゃない?

 でも、言っても聞いてくれないので言わないことにした。


「じゃあ皆ぁー、おっ先ー!」


 柊姉ちゃんは大きな声で挨拶すると、私を引っ張って教室を出た。でも私は挨拶しそびれちゃった。

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