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狼少年の憂鬱  作者: 澤群キョウ
ミュージック・アワー
9/85

斥力ゼロ時空 / 玲二

 帰ってきた俺を迎えてくれたのは、母さんの「ちょっと話があるから来てちょうだい」という台詞だった。

 先に着替えてくるとだけ答えて、階段を登っていく。二階の自分の部屋に入って制服を脱ぎ捨てながら頭をフル回転させてたくさんの言い訳を考えてみたけれど、最終的には全部、泡のように弾けて消えた。


 だって仕方ない。好きになってしまったんだから。

 好きになっただけで、なんにもしていないんだから。夢の中ですら触れていないんだから。今日はたまたまヘンなヤツに絡まれてショックを受けたせいでよろめいたから、それを受け止めたりはしたけれど、下心はなし。ラッキーなんて思ったりもしていない。


 要するに俺は、なにも悪いことはしていない。母さんのいいつけを破ったりもしていない。だから、言い訳を考える必要なんか、ない!


 着替えを終えてリビングへ戻ると、テーブルの上にはアイスティーが二つ並んで待っていた。

「話ってなに?」

「帰省の日程よ。終業式の日に行くからね。なるべく早く帰りたいけど、いつ戻るかは行ってみないとまだわからないから、連絡するわ」


 肩すかしをくらった気分で、そう、とだけ答えた。

「でも、八月五日までには必ず帰るから」

「五日って? なにかあるの」


 問いかけに対し母さんはしばらく黙っていたけれど、お茶を一口飲むと「飛行機代が高くなるから」と答えた。


「できればあまり出歩いて欲しくはないけど、ずっと家にいるのも息が詰まるでしょう」

「まあね」

「だから、少しくらいはいいわ。葉山君と、園田さん。あの二人となら一緒に行動してもいいわよ」


 この台詞には、ものすごい力があった。

 胸の中身を全部掴まれたような気がして、言葉に詰まってしまう。


「子孫は駄目よ。覚えているわよね、玲二」

「覚えてるよ」


 なんだろうこの会話。

 母さんは良太郎も園田も知っていて、それぞれが俺とどういう関係なのかもわかっているのかな。

 いや、良太郎は別にいい。ただの気のいい友達で済む。


「なんでその二人の名前が出て来るの?」

「仲がいいみたいだから」

「母さんって俺の行動をどこかで監視してるわけ?」

「するわけないでしょう。気持ち悪い」


 気持ち悪いって……。


「あの約束を守ってくれればいいのよ、少しくらいは。あなたは十五歳で、今は普通の高校生なんだから」


 話はこれでおしまいだった。

 母さんは台所へ戻っていき、俺は汗をかいたグラスと向かい合っている。



 どうにも母さんのスタンスがわからない。

 でもそれについて、深く考えられない。

 今日散々な目にあった園田が、最後に見せてくれたあの顔。俺に向けた目の中に浮かんでいた輝きに、ずっと気を取られ続けている。


 俺だって、死んじゃいそうなくらい嬉しいよ。

 あんなに可愛い園田が、俺を好きだって言ってくれるのが。


 今すぐ走って行って、インターフォンを押して、出てきた園田を抱きしめたい。

 俺も好きだよって耳元で囁きたい。


 そんなことばっかり考えているから、今日あった色んなできごとを忘れかけている。

 相原の強気なアプローチと、突然やって来た蔵元先輩と、もう一人の謎の付き添いについて。


 あの人、なんだったんだろう。友達だよと言っていたけど、一緒にアルバイトをする予定もないとか。

 

 人のよさそうなくりくりした目の謎の付き添い。来平(らいへい)と名乗っていた。珍しい名前だ。別に覚える必要もないだろうけど。


 図書館でのアルバイトは二日間だけで、いい話だと思った。


 母さんから許可が下りたんだから、良太郎たちと出掛ければいい。

 家にいても悶々とするばかりだし。自分だけのために冷房を効かせるのもなんだか、虚しい気がするし。

 

 今日の帰り道は暑かった。

 梅雨はもう明けたのかな。


 アイスティーを飲み干して、ため息をついた。

 結局なにを考えても、全部園田で上書きされてしまう。

 頭の中はすっかり暖色に染まって、初めての苦しさと幸福感に圧倒されるだけ。


 俺はどうなったら、大手を振って恋人を作れるようになるんだろう。

 力が目覚めたら?

 それとも、隠された力なんて実はなにもなくて、ただの人間だってわかったら?


 なければいい。俺に、狼の血なんかなければいい。

 永遠の現状維持、ただの高校生からただの大学生になって、仕事をして、何十年かしたら自然に土に還る、ありふれた存在になれたらいい。

 それで、ずっと一緒にいるんだ。

 浮気はしない。園田もしない。園田と一緒に何十年かのささやかな人生を最後の瞬間まで過ごせれば、それ以上に幸せなことなんて多分ないと思うから。



 部屋に戻ると、電話のランプが緑色に瞬いていた。

 慌てて駆け寄ったけど、メールを寄越していたのは良太郎だ。




 玲二、多分気が付いてないだろうから教えておくよ。

 園田ちゃんからもらった写真は、ちゃんとアドレス帳に登録しておくんだぞ。

 そうしたら、連絡がくるたびにサイコーに可愛い顔が見られるからな。

 

 俺のも送るから登録しておけよ!




 画面の一番下に、画像の切れ端がまた覗いている。

 スクロールしてみると、人の好さそうな笑顔が現れて、思わず笑ってしまった。

 そしてとりあえず園田の写真だけを、アドレス帳に登録した。





 心配していた相原の襲撃は、結局なかった。

 一学期の最終日。登校する意味があるのかわからないくらいの短縮時程が済んだら、もう夏休みの始まりだ。

 

「玲二、今日うちに寄れよ。ばあちゃんが採寸の用意して待ってるってさ」

「浴衣の話?」


 わざわざ作るなんて、冗談で言っていると思っていたのに。

 悪いよと断りを入れてみたけれど、良太郎は肩をすくめてこう答えた。


「いや、こっちこそ悪いんだけどさ。書道教室の片付け手伝って欲しいんだよね。掃除をしたいんだけど、俺んちのメンバーはみんな小柄だから、高いところを手伝ってくれたら助かるんだけど」


 両親はもう、今朝早くに旅立っていった。

 だから家に帰っても誰もいないし、むしろこの申し出はありがたい。


「玲二くん、葉山君のところに寄るの?」

「よしわかった。園田ちゃんは玲二と一緒がいいよね。じゃあおいで。まとめて俺が面倒みるよ」

「なにそれ」


 朗らかな園田の笑い声に癒される。


 この二人ならいいよと母さんが言ったのは、どうしてなんだろう。もしかして人柄が良さそうだから、とか。確かにこの二人なら、いきなり悪の道に引きずり込んでくることはないだろうけど。ドラッグだのいかがわしいパーティだのとは無縁の、清潔極まりない組み合わせだ。


「立花君」


 かすかに聞こえた声に振り返ると、教室の入り口から蔵元先輩の顔がのぞいていた。

「ごめん、ちょっと行ってくる」

 二人に断りを入れて先輩のもとへ向かうと、今日もいた。謎の付き添い、来平先輩が。


「図書館のアルバイトの話なんだけど」

 忘れていた。母さんに確認して、行くかどうか返事をすると言ったはずなのに。

「すみません」

「ううん、僕、勝手に立花君もやるって登録しちゃったんだ。立花君なら図書館の仕事、楽しめるかなって思っちゃって」


 細い眉毛を申し訳なさそうに八の字にした蔵元先輩の隣で、来平先輩はにこにこ笑っている。

「駄目なら俺が行くから、大丈夫なんだ」

「そうなんですか。色々あって、すっかり忘れていてすみません」

「ううん、いいんだよ。来平君はあんまり本には興味ないんだけどね。予定は空いてるんだって」


 俺は、すごく恵まれているんだなと、この瞬間思った。

 良太郎も、蔵元先輩も、本当に親切な人たちだ。


 図書館のアルバイトの話は、引き受けたかった。

 一応母さんに話をしてからと思っていたけど、二日くらい問題ないだろう。


「いえ、是非やりたいと思っていたんです」

「良かった! お給料は全然たいしたことないんだけど、いいかな」


 改めて日程を確認してから、連絡先の交換をした。

 これでアドレス帳は四件目。隣の来平先輩は謎の微笑みを浮かべたまま、無言だった。



「図書委員の先輩だっけ?」

「うん。アルバイトの話の確認をしに来てくれた」

「図書館でアルバイトって、玲二に似合うな。ね、園田ちゃん」

「うん。いいな、私も一緒に出来たらいいのに」

「冬休みからはずっと一緒のシフトで働いたりするんでしょ? いや、今年のクリスマスが楽しみだね、園田ちゃん!」


 恥ずかしそうに俯く園田と、いつも通りの良太郎。

 俺もつい一緒に笑っていたけれど、気が付いてしまった。教室の隅から放たれている鋭い視線に。


「じゃあ、行こう」


 相原に絡まれないようにガードしながら、教室を出る。

 何度も後ろを振り返ったけれど、さすがについて来たりはしないようだ。



 三人で一緒になって、葉山家の大掃除を手伝って、そうめんをすすって、なんだかんだで夕方まで笑いあった。

 普通の高校生らしい、夏休みの初日。いいスタートだと思う。

 心配なことは色々あるのに、全部隅に追いやられている。


 見ないようにしている自分が卑怯な気もするし、でも現状できることもないんだから、それなら普通に過ごせばいいじゃないかとも思うし。

 ひょっとしたら、ずっとこのままでいられる可能性だって、なくはないんだろう。

 母さんが「いいのよ」と言ったのは、そのせいじゃないのかな。

 俺にはなにかがあるらしいけど、それが全然たいしたものじゃなくて、人生に及ぼす影響なんて本当に些細で、どうにもならないと考えているからじゃないのかな。


 だとしたら、俺は俺の人生を、生まれた時から続けてきたこの路線のまま、歩んでいけばいいのかもしれない。

 良太郎が言ったように、いつか男同士の友情が役に立つ日も来るだろう。




 夏休みの課題は早めに終わらせる。

 小学生の時からずっとそうしてきたので、今年も同じようにさっさと片付けていく。

 誰もいない家は静かだけど、母さんがいても大抵は静かだから、気にならない。

 いつもと違うのは、いつまで経っても料理のにおいがしてこないことだけ。

 

 来週は園田と水族館。

 その後、花火大会があって、その前に良太郎の家によって浴衣を合わせる予定になっている。

 その次の日から、図書館でのアルバイトが二日。

 いまのところ夏休みの予定はそれだけ。たかだか二週間の間にぎゅっと詰まっている。


 この予定が全部終わったら、すぐに八月五日がやってくる。


 父さんと母さんの帰ってくる日。

 

 あのおかしな俺の人生の裏事情について、最初は別に問題ないと思っていた。

 今まで、そこまで深く付き合ってきた誰かなんていなかったから。

 長い休みの間も、イベント三昧な日々を送った覚えがない。

 どこかに出かける時には、父さんか母さんが一緒だった。

 訪ねる故郷もない、誘いに来る友達もいない。それが当たり前だったから、誰かと深い仲になるだとか、記憶に強く残ることなんかないだろうと思っていた。


 だけど今年は、全然違う。

 園田がいて、良太郎がいて、ついでにアルバイトにも誘われた。

 少し強引なくらいの誘いを受けているけれど、全然嫌じゃなくて、むしろ楽しい。

 園田絡みだと最高に嬉しい。


 これが「普通」なのかな。

 それとも、「特別」なのかな。

 親しい誰かがいて、一緒に笑い合えるのは、どれくらいスペシャルな状況なんだろう。



 課題の大半を終わらせ、ついでに部屋の片付けをして、少し伸びてきた髪も切りにいって。

 七月最後の金曜日。午前九時四十五分、駅前のロータリーに立つ。


 水族館へは、まずはバスで二十分くらい。

 更に、停留所から海の見える道を五分ほど歩くんだとか。


 異性とどころか、誰かと二人きりで出掛けるなんて初めてのことだった。

 どうやって行動したらいいのか、よくわからないけど。

 デートの作法なんて誰も教えてくれないし、気の利いた言葉の用意も出来ていない。


 だから、緊張していた。

 全身がそわそわとして落ち着かなくて、眠りも浅かった。

 服装も髪型もいつもどおりで、自分としては特におかしいところはないと思うけれど、こういう場合はもっと、なんというか、バージョンアップした姿じゃなきゃいけなかったんだろうか。考え出すとキリがなくて、そもそも普段の自分がどんなものなのか、意識がこんがらがっていく。


 園田がいつも見ている俺は、ほとんど制服姿のはずだ。

 ああいう感じの方が良かったのかな。

 白いシャツに、ネクタイの組み合わせが、もしかしたら好きだったりするのかもしれない。ネクタイオフの普段の俺だと、見た目の評価は何割減になってしまうのか。でも今更、今の装いにネクタイを締めるのもおかしい気がするし。


「玲二くん、お待たせ」


 悩みの沼で溺れていた俺は、園田の声で一気に地上へ引き上げられていた。

 でも、恋愛初心者の貧弱な魚は、いきなりの地上で息が出来ない。


「早く来てるかなって思ったんだけど、やっぱりそうだったね」


 薄いブルーのワンピースに、真っ白いカーディガンが眩しい。

 それに、髪をおろしている。いつもはポニーテールにしていて、それもすごく似合っていて可愛いんだけど、初めてのさらさらのロングヘアに、窒息してしまいそうなほど衝撃を受けている。


「うん」

「バスはまだだよね。日陰に行こうか」


 雨の日に本屋で会った時、どんな格好をしていただろう。

 園田がいると思ったら緊張してしまって、釣り野郎マガジンにしか目がいかなかったんだけど。あの時もこんなに魅力的な姿をしていただろうか。

 

 足元は涼しげなサンダルで、小さなカバンを斜め掛けにしている。

 ああいう斜めにかけるタイプのカバンは、良くない。これでもかというほど胸が強調されてしまうのだと、今気が付いた。思ったよりもボリュームがあるという自分の思考を慌てて黒マジックで塗りつぶして、ひたすらにワンピースの裾を目で追う。

 優しい水色は、園田によく似合っている。裾にひらひらと白いレースが揺れていて、それがまた愛らしくてどうしようもなく、いい。普段から相当なレベルで可愛いのに、更に可愛くしてくるっていうのはどういう了見なんだ。


「あ、来たかな?」


 ロータリーの入口に、バスが入ってきて止まった。

 数人の客を降ろして、すぐに停留所へ移動してくる。


「玲二くん、行こう」


 ふんわりと裾を翻して、園田は笑った。

 

「玲二くん?」

「はい」

「どうしたの、具合でも悪い?」


 多分、人生で一番ぼけっとしていたと思う。

 頭が園田が降らせたハートで埋め尽くされてしまって、全然まともに働いていないんだ。


「いや、園田があんまり可愛いから」


 うっかり口走ってしまったこの台詞に、園田は真っ赤になって目を丸くしたけれど、すぐにいつもみたいに微笑んで、首をちょこんと傾げてこう言った。


「本当? なにを着て行こうか悩んだ甲斐があったな」


 制服のスカートよりも長いワンピースの裾はひらひら揺れて、隣を歩くと足にぱたぱたと当たった。足と足が手を繋ごうとしているみたいに思えて、胸が疼く。


「お兄ちゃんには、似合わねえとか、馬子にも衣装とか言われちゃったんだけど」


 なんて贅沢な話だろう。兄弟ならではの台詞だとわかっていても、憤りを感じてしまう。

 いや、むしろ心配かもしれない。普段からこんなに可愛い女の子がすぐそばにいたら、その辺の子なんか話にならないんじゃないか? 目が肥え過ぎて、恋人つくりに苦労しそうだ。


「すごく似合ってる」

「どうしたの、玲二くん。嬉しいけど、そんなに褒められると恥ずかしいよ」


 入口を開けたバスに乗り込んで、後方へ向かう。

 二人掛けの席に並んで座ると、隣からは優しいいい香りが漂ってきて、なんというか、もう、たまらなかった。


 この間、初めて二人で向かい合って座った時。

 園田の顔が可愛くて堪らなかったんだけど。

 横顔もいい。まばたきするたびにパタパタと動くまつ毛も、ピンク色に輝く唇も。

 少し赤く染まった頬も、髪の毛から時折のぞく耳も、全部が愛おしい。


 これが、恋。

 相手を思うと苦しくなるくらい心を奪われるのに、どうしようもなく幸せな状態。

 母さんの鋭いまなざしを思い出してはなんとか我慢しようとするんだけど、園田の前では駄目だ。意思も理性もどっちも無力で、俺は完全に初恋の奴隷と化している。


「玲二くん、課題どのくらい終わった?」

「大体終わったよ。あとは数学がちょっと残ってるだけ」

「え、そんなに? すごいね」

「園田はバイトがあるんだろ?」

「そうだけど」

「親戚の手伝いって言ってたけど、なにをしてるの?」

「今日行く水族館、叔父さんが館長をしてるって言ったでしょ」

「うん」

「その弟の、もう一人の叔父さんが、動物園の園長をやってるの。そこのレストランで手伝いしてるんだ」


 ウェイトレスかと考える俺に、可愛い制服とかはないんだよ、と園田は答えた。

 普段着の上にエプロンをしているだけだと言うけれど、そんな姿だって見てみたい。


「動物園に水族館って、すごいね」

「うん。うちのお父さんは、経理の仕事をしてるの。だから手伝わなきゃいけないんだよね。お兄ちゃんたちも一緒なんだ」

「お兄ちゃんたち?」

「うちは四人兄弟なの。お兄ちゃんが二人と、弟が一人。男ばっかりでもう、大変」

「そうだったのか」


 うらやましい。こんなに可愛い妹がいて。

 でも、うらやましくない。妹とじゃ、恋はできない。


 すっかり浮かれた気分でバスに揺られながら、ハラハラしていた。

 俺はもう、抑えられない。園田が好きで、目を離せない。


 こんなにも熱く見つめていたら、気が付かれてしまう。

 俺も園田が好きなんだって。俺のことが好きだと言ってくれた園田に、気が付かれてしまう。


 たとえ無駄だとわかっていても想いを伝える。

 物語でよく出てきた、そんな決意やシチュエーション。

 既に恋人や配偶者がいる人や、振り返ってくれないとわかっている相手に好意を伝えるなんて、自分勝手な振る舞いだと思っていたけれど。


 どうしようもなく好きだったら、伝えたいと思うのは当然だったんだな。

 

 客の少ないバスに揺られて二十分。

 俺は結局、園田から目を離すことができなかった。


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