ぐるぐる / いつき
「いつき、最近 君とはどうなってるの?」
中間試験も無事に終わって、いつもの女子会。
友香の質問、さっきも同じことを聞いていたような気がするけど、肝心な部分が聞こえてこない。
「なんて?」
「だから、 君とはどうなってるのかって」
「誰?」
この質問、試験勉強中にもされたけど、なんて答えたんだっけな。
葉山君が間に入ってくれた気がするけど、はっきり覚えていない。
「た……な君だよ。いつきの愛しの王子様」
友香だけじゃなくて、千早も怪訝な顔で私を見つめている。
だけど、答えようがない。質問が全然、わからない内容なんだもん。
「た、ち、ば、な、く、ん、だってば」
最後に実乃梨がゆっくり、大声で話しかけてきて、ようやくわかった。
「一路くんなら元気だよ。やっと慣れたのかな、最近は随分落ち着いてるの」
「違うでしょ、それは のお い で ろ んの話じゃないってば」
なんでこんな変な話し方をするのか、全然わからない。
声は聞こえるけど、不明瞭で、ふざけてるのかなって思うくらい。
「どうしたの、いつき。うまくいってると思ってたのに……」
「そんな態度に出なきゃならないほど、酷いことでもあったの?」
「別に、なにもないけど。ごめんね、話すネタがなくて」
「え、なにそれ。別れちゃったの?」
別れるもなにも、別れる人なんていないけど。
私は本当に疑問だし、三人の顔もかなり真剣で、なにがなんだかさっぱりわからない。
「いつき、冗談ならそろそろやめてほしいな」
「冗談なんて言ってないよ」
私の目の前で三人がひそひそと内緒話をし始めて、思わず首をひねった。
私が変なのかな?
なにか問題があるのかな。
別れるってなんだろう。誰と? 私は誰とうまくいってたの?
たちばなくん
たちばなって名前の知り合いは、一路くんしかいない。
家が近いし、日本の生活には不慣れだから、いろいろお手伝いしてたけど。
確かに、素敵なんだよね。背がすらーっと高くて、とっても純粋で。
言葉は大体通じるけど、話し方はぶっきらぼうで少し可愛いくらい。
美形と言って差し支えないビジュアルなんだけど、お菓子が大好きで、よく食べる。
大食漢なんて言葉よりも、食いしん坊の方が似合う男の子。
「葉山君に聞いてみない?」
「あ、それがいいかも」
なにを聞くっていうんだろう。
「別になんにもないよ。確かに、かっこいいなって思うけど」
「誰を?」
「立花くんでしょ」
「そんな程度なの?」
私、一路くんに恋してたんだっけ? そんな話をみんなにしたの?
そんな記憶ないけどなあ。
今日の女子会の会場は私の家で、納得いかなさそうな顔の三人は夕方帰っていってしまった。
夏休みにどこかに行こうとか、そんな話にならなかったな。
みんなでおでかけしたかったのに。
友香は部活でも彼と一緒なんだから、ちょっとくらい友達との時間を作ってもいいと思うけどな。
「おい、いつき」
お菓子のごみを片付けて、お盆にグラスを載せて。部屋から出ると、草兄ちゃんが立っていた。
「なあに?」
「お前、彼氏と別れたの?」
「彼氏なんていないけど」
脇をすり抜けようとした私を、兄ちゃんの右手が制した。
「いや、いたよな。背が高くて半分外国人の男前と、毎日一緒に行き来してただろう」
「一路くんのことなら、違うよ。確かに行きも一緒だし、帰りは送ってくれるけど」
近所だからってだけだから。
行きは自動改札に慣れないからだし、帰りはちょっと薄暗かったから。それだけなんだけど?
「マジで言ってるように見えるけど、冗談だよな?」
「マジで言ってるよ」
「頭でも打ったのか。最近転んだりしなかったか?」
グラスを台所に運んで、洗って、流しながら考える。
なんなのかな。どうしてみんなそんなに言うのかな。
部屋に戻ったあと、空気を入れ替えるために窓辺へ向かった。
だいぶ暑くなってきたし、制服も夏仕様になった。そろそろ本気の衣替えをしなきゃいけない。
カーテンを開けると、終わりかけの橙色がたまらなく眩しかった。
日が長くなってきて、夏の気配がちらほらと感じられる。
そして窓の外のほんの少しの出っ張りに、黄色い小鳥がちょこんと留まっていた。
かわいい。
なんの鳥だろう?
インコとは違う、まあるいフォルム。見覚えがないな。動物園に通っている間に結構な数の生き物の名前を憶えてきたと思うんだけど。
黄色い鳥は私と目が合っても逃げなかった。
誰かに飼われてて、間違って外に出ちゃったのかな?
きれいな色。やわらかそうなふわっとした羽根は、夕日を浴びて金色で縁取られている。
「迷子なの?」
チチチ、と鳥が鳴いて答えた。
私の前で右へ左へ行ったり来たりして、踊りを見せてくれているような感じ。
「素敵だね、あなた」
写真を撮りたいけど、電話を取りに行ってる間に逃げちゃうかな。
それとも、この感じだと待っててくれるかな?
「ちょっと待ってて」
ゆっくり窓から離れて、テーブルの上のスマートフォンへ手を伸ばした。
だけど、もう一度近づいたら飛んで行ってしまって。
風がふわりと吹いてきて、黄色い鳥の落とし物を私のスカートの上へ届ける。
ふわふわの、小さい羽根。
鮮やかな明るい黄色からは、幸せや優しさを感じる。
右手に小さな羽根、左手にはカメラを起動させたスマートフォン。
女子会で少し散らかった部屋が画面の向こうに映し出されていて、思わずため息をついた。
やだよね、こんな部屋じゃ。衣替えついでにちょっと片付けないといけないかも。
羽根を机の上に置いて、ホームボタンを押す。
すると突然すべてのアプリが終了して、待ち受け画面が映し出された。
私と一路くんだ。
どこで撮ったんだっけ、この写真。
一路くんらしからぬ鋭い表情と、笑顔の私。しかも近い。抱き着いてるみたいな近さ。
背景には寒々しい色のブロック塀と、おみくじが大量に結びつけられた枝が見える。
神社だよね。
服装からして、冬みたいなんだけど。
頭が混乱して、痛みが走った。
一路くんが来たのは四月だった。冬の間に会ってるはずがない。
四月に入ってから、神社なんて行ってないし。
これ、誰が撮ったんだっけ。知ってるはずなのに、わからない。
この電話を渡して撮ってもらったんだから、かなり親しい間柄の人だよね。
ちっとも思い出せないまんま夜ごはんの時間になってしまって、モヤモヤのせいか箸は全然進まない。
「いつき、シケた顔するなよ。飯がまずくなるだろ」
うるさいなあ、草兄ちゃんは。
私にだって悩み深い日くらいあるんだもん。
……でも、こんなに思い出せないだらけなんて、変だよね。
友香たちにもおかしい扱いされてたし。
「ねえ草兄ちゃん、私の彼氏って誰?」
「はあ?」
病院行った方がいいんじゃねーの、だって。
半分外国人の立花君っていったら、一路くんしかいないと思うけど。
私、一路くんと付き合ってたのかな?
去年よりも前からいた?
なんでそんな大切な話を忘れて、ただの近所の人なんて勘違いをしてるのかな。
頭を撫でてみたけど、こぶとか傷はないように思った。
え、じゃあなにか体内で起きてしまったとか? うわ、怖い。本当に病院に行った方がいいのかも。
ろくに食べずに夜ご飯を終えて、ベッドでごろごろしながらもう一度待ち受け画面を見つめた。
私と、薄茶色の髪の素敵な男の子。
顔は間違いなく一路くんなんだけどな。なんだか、雰囲気が違うというか。
一路くんとは同じクラスだし、毎日のように一緒に登下校してる。
隣を歩いているだけで、向こうから恋人みたいな扱いはしてこないんだけど。
昔付き合ってて、ケンカでもしちゃって、それがショックで忘れてるとか?
え、じゃあなんなの。四月に海外からやって来たって設定は誰が作ったの?
わからない!
ばふんと枕に顔を突っ込ませると、風で舞い上がったのか、黄色い鳥の羽根が机の上から落ちて、床へひらひらと落ちて行ってしまった。
可愛かったな、あの小鳥。
のろのろと起き上がって、羽根を拾った。
少し古くなってきた照明は部屋をグレーがかった色にするのに、この羽根だけはキラキラと輝いていた。宝物みたい。金色の粒が出ているように見えて、すごくきれい。
その輝きが、私の頭をチクリと刺した。
来平先輩にもらった羽根と似ている。
あの大きな羽根はいい。押し入れに大事にしまっていて、ちょっと場所を取るけど大切にとっておこうと思っているから。
もらった時、とても悲しい気分だったように思う。
誰かを心配して、探していたはずなんだけど。
思い出せない。誰だったのか。どうしてあんなに不安だったのか?
先輩、なんて言った?
考えると一気に靄がかかって、なんにも見えなくなる。
そうだよ、ここのところ、何度も何度もこんな風になってきたのに。
それすら忘れている。
夜がやってくるたびに思い出して、悩むのに。
朝が来るとすっきり忘れて、能天気に一日を過ごしてしまっている。
夜のうちに考えなくちゃ。
どうしてなのか全然わからないけど、今のうちに考えておかなきゃ、また同じ繰り返しになってしまいそうな気がする。
来平先輩って、三年生だったよね。
あれ、だけど、辞めたって聞いたような気もする。
誰が先輩と仲が良いんだったっけ。
あの羽根をもらった後、葉山君に会った。
葉山君はあの先輩を知っているけど、面識ってあったかな。
蔵元先輩なら、わかるのかな。
朝がやってきて、ドキっとした。
机の上にはちいさな黄色い羽根が置いてあって、真っ白いメモ用紙が添えられていたから。
黄色い羽根は、昨日の夕方見つけた。
だけど、メモ用紙には覚えがない。
なにか書いたような気がして、胸が騒ぐ。
カーテンの隙間から差し込んだ光で、羽根がちらりと輝いて、なにかが頭をかすめていったように感じた。
今日なにかしなきゃって思ったはず。
黄色い羽根をどうして置いたのか、思い出さなくちゃいけない。
机の前でただ立ち尽くしているばっかりの私に、かすかな音が届いた。
なにかを叩いている。
小さく、早く、抑えたような音。
窓から聞こえた気がして、カーテンを開いた。
すると小さな可愛い小鳥がまた、窓辺に留まっていた。
だけど、昨日の鳥とは違う。白いすらっとした小鳥。
白文鳥くらいの大きさだけど、顔つきはだいぶ違うかな。
「あなたも迷子なの?」
窓を開けてちょこちょことジャンプしている小鳥に語り掛けると、縁にかけた手の上にぴょんと飛び乗ってきて、思わず笑った。
「人懐こいんだね」
手の上に乗って、白い小鳥は首をかしげている。右、左、右、左。
学校に行く準備をしなきゃいけないのに、私も一緒になって首を振っている。
そっか。思い出した。
蔵元先輩だ。葉山君にも一応聞いてみようかな。顔が広いし、知ってるかもしれない。
朝ごはんを食べている間、向かいに座っている草兄ちゃんの顔を見ていたらもう一つ思い出した。彼氏問題。一路くんに聞けばいいんだよね。なんか、変かな。もしも元カレとかだったら気まずいというか。ひどいフラれ方をして、それがショックで記憶を封印しているとか、あり得る……のかな?
「いつき、変な顔してないで早く食えよ」
「変な顔なんかしてないよ」
明らかにやれやれってリアクションをされて、食事のスピードを一気に上げた。
なんて聞いたらいいんだろう。
一路くん、私たち付き合ってたっけ、って?
全然関係なかったらどうするの。遠まわしな告白みたいにも思える。
昨日の夜と同じで、頭の中がもやもやしていた。
思い出そうとすると霧が包んできて、よく見えない。
気持ち悪いけど、これでいいのかな。この感覚、よく知ってる気がする。
むしろこれを求めていたような感じもある。
「おはよう、一路くん」
早めに家を出て、駅前で待った。
薄い茶色の髪は目立つ。背も高いし、すらっと背筋も伸びているし。
「いつき、おはよう」
私の記憶の中では、もっと元気な印象なんだよね、一路くんって。
元気というか、無邪気? 天真爛漫なんて言葉が似合う男の子。
だけど最近は少し表情が暗い。
落ち込んでいるってほどには見えないけど、明るくはない。
「あのね、一路くん」
「なあに?」
改札を抜けて、やって来た電車に乗り込んで。
混み合った車内でなんとかドアの前に陣取って、二人で並んだ。
いつもドアの前に立たせてくれるんだよね。
それで、一路くんがすぐそばに立ってくれる。
「一路くんが来たのって、四月で間違いないよね?」
髪と近い、薄茶色の瞳。切れ長の目に、鼻も高くてかっこいい。
写真の通り。だけど、違う気がして。
「来たのは三月の真ん中くらい」
「そうだっけ」
「いつきと最初に会ったのも、三月だった」
んん?
三月だった?
「どこで会った?」
「僕の家だよ」
一路くんの家って、そんなに遠くない、よね。
行ったことがある。けど、あれ?
お庭に花がいっぱい咲いてて、リビングがきれいに整ってて。
そうだ、エコカーに乗ってるんだよね、お父さんが。
お父さんの車に乗せてもらったことも、あった。
「いつき」
一路くんが私の手を取って、強く握った。
『思い出してほしい』
びっくりして、じっと見つめてしまった。
唇がぎゅっと閉じていたはずなのに、声が聞こえる?
「なにか言った?」
「ううん、言ってない」
一路くんの声だったけど……。
思い出してほしい?
「ごめんね、変な質問なんだけど、私って一路くんと付き合ってたんだったっけ」
もう聞くしかない。こんなにモヤモヤし続けるのは、苦しくてたまらない。
だけど、一路くんは目を閉じて、ゆっくりと顔を横に振った。
「そうだよね。ごめん、変なこと聞いて」
気まずい。
しかも結局、霧は晴れず終い。
一路くんも気まずかったのか、学校まで並んで歩いたけど、なんにも話してくれなかった。そもそもそんなにぺらぺら話す方でもなかったけど。
テレビも見ないし、芸能人に興味なんかないみたいだし。
なにか話すとしたら、おいしかったものについてだから。そろそろ一通り日本の食は味わっちゃったのかな。
カバンから教科書を取り出してしまっていると、ふっと目にはいるものがあった。
左手の甲に、センパイって書いてある。
センパイ。先輩。先輩?
三年生の誰か。クラブでなにか、伝言があったかな。
伝言があるなら、すぐにメールを送ってるよね……。
ハテナマークと戦っていると、カバンの中からひらりと白い羽根が一枚飛び出してきた。
ふわふわ揺れながら、床の上に落ちていく。
白い羽根。白い小鳥。朝、起きてから、いろいろ、思いだしたはず。
そうだ。蔵元先輩だ。
危ない危ない。どんどん忘れてる。急いで行かなきゃ。
もう来てるかな? っていうか、何組にいるんだろう。
「お、園田ちゃんおはよ」
「おはよう葉山君!」
教科書も鞄も中途半端なまんまだったけど、一緒に「最近全部忘れちゃってる」というのも思い出して、急いで廊下に飛び出した。
また忘れちゃったら、やり直しになってしまう。
そんなの嫌だ。
また夕方になってから、全部忘れてしまっていたって後悔するのは、もう嫌。
三年生の教室が並ぶ廊下にたどり着いて、一組から順番に覗いていく。
「すみません、蔵元さんってこのクラスですか?」
全然知らない、厳つい先輩は「違う」って。
なんだろうって顔をされたけど、気にしてる場合じゃない。
わからなくなる前に、突き止めなくちゃ。
次は、二組。
誰もいない。
仕方ない、隣に行こう。
廊下を走って、開けっ放しの扉から中を覗いた。
「すみません、あの、蔵元さんってこのクラスですか?」
「蔵元なら五組だよ」
お礼も言わずに飛び出して、廊下を走った。
余計なアクションをするたびに、忘却が近づいてくるような気がして。
五組、五組、五組。
蔵元先輩に聞くんだ。
四組のクラスの札の下を走り抜けながら、ずきんと胸が痛んで、それで、立ち止まってしまった。
なにを聞くんだっけ?
どうしよう。なにかな。あれ、さっきまでわかっていたのに。
わかっていた? 本当に?
蔵元先輩に、会いにいくのは覚えてた。
だけどなにを聞くのかは、わかってなかったような。
じゃあ、用はないの?
そうだよ、ないよ。
なんにもない。
問題もない。
いつも通りの一日を過ごしたらいい。
平和で、平坦で、平凡な一日を。
クラブに参加して、本城君に構われて、お菓子を作って、みんなで食べて――。
「園田さん?」
混乱しながら振り返ると、白い肌に相変わらずのきれいな顔の蔵元先輩が私を見つめていた。
「僕を探している子がいたって聞いたんだけど」
「はい……。それは、私、です」
だけど、どうして探していたのかわからないんです。
頭の中がぐしゃぐしゃしている。
絡まった糸に塞がれて、私の求めているものがなんにも見えなくなっている。
「どうしたの?」
「あの……聞きたいことがあったんですけど」
「僕に?」
口がうまく動かない。
頭が全然働かない。
どうしてこうなるの。
なにがいけないの?
「僕に聞きたいことがあるとしたら、立花君についてかな?」
たちばなくん。
一路、くん。
違う。一路くんかどうかはわからないけど、たちばなくん、じゃない。
「いえ、違います。それ以外で、私と先輩が共通して知っている誰かって、わかりますか?」
「え?」
変な質問だもん。こんな反応をされて当たり前だよね。
だけど先輩は、きれいな顔に少し皺を寄せて、考えてくれた。
「来平君とか?」
「そうです! そう、来平先輩に会いたいんです」
「どうして僕に? 来平君の連絡先は僕、知らないんだ。立花君が知ってるから、聞いたらいいと思うよ」
あれれ。ふりだしに戻っちゃった?
「そうですか」
「彼氏なんでしょう?」
最後は急に冷たい目をして、蔵元先輩は去って行ってしまった。
彼氏って。
違う、一路くんは彼氏じゃない。
またわからなくなって、とぼとぼ階段を下りて教室に戻ったんだけど。
「園田ちゃんどこ行ってたの、こんな半端なままでさ」
あれ、私、葉山君に確認しようと思ったことがあったのに。
「貴重品も置きっぱなしだったから、悪いけど俺が預かってたよ」
電話とお財布を差し出されて、呆然としたまま受け取った。
「ごめん、ありがとう葉山君」
そうだ、手になにか……。
慌てて見たけど、なんにも書いてなかった。
右手も、左手も。表も裏もなにも書いてない。
なんのためにどこに行っていたのか。
行った先でなんて言われたのか。
思い出したのは、家に戻ったあと。
机の上に置かれた黄色い羽根を見てからだった。




