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狼少年の憂鬱  作者: 澤群キョウ
君は太陽
32/85

発覚 / 玲二

 いつもより早く帰宅して、まずはライを呼び出していた。


「コントロールできないなら、やらない方が良かったんじゃないのかな」


 ライは目をおどおどと泳がせて、窓の向こうをちらちらと見つめている。


「逃げようと思ってる?」

「いや、いや。思っていない。玲二が怒るのは当たり前だし、りゅうちゃんにもかわいそうなことをした」

「知ってたのか、蔵元さんが俺を……」


 俺からは言いにくい。


「りゅうちゃんがなんだ?」


 なのに、声に出さないと伝わらない。


「俺に、好意を持っているって」

「好意ってなんだ?」

「好きってことだよ」

「ああ、そうか。りゅうちゃんは、玲二が大好きだった」

 

 あっけらかんと話す様子にイラっとするけど、仕方がない。

 

「いつから? いや、その前にライはどうして蔵元さんと仲がいいんだ?」

「俺は人間が大好きなんだ。だから、よく学校に入り込んでる。俺には特別悪い力はないから、マスターも許してくれていたんだ。それで去年りゅうちゃんと一緒になって、なんだかわからないけどりゅうちゃんは俺を気に入って、それで仲良くなって」


 玲二を好きになったのは今年の四月だよ、とライは教えてくれた。


「入学してすぐ?」

「ああ。例のよく見えないやつだって知って驚いたけど、とにかくりゅうちゃんは一目で好きになった。だから玲二とどうにかなりたいっていつも思っている」


 それで今日、あんな展開になったという流れ、か。

 望み通り、どうにかはなったけど。


「大丈夫だ、けがはたいしたことない」

「確かにそれは心配だけど、俺と話がまったくかみあわなくなっちゃっただろ?」


 物証はないけど、蔵元さんの俺と付き合ってるって主張が通ったらどうするんだ。

 園田とも曖昧な関係を続けているし、極悪非道の最低野郎に認定されてしまうかもしれない。


「なんとかできないの?」

「できる者はいる。でも、人間の記憶を操るなんて許されない暴挙だ」

「勝手な記憶を植え付けといてよく言うよ!」


 声を荒げたせいか、ライは小鳥に姿を変えて本棚の上に逃げ込んでいく。


「結局園田にも手出ししてるじゃないか。百井が仕掛けて帰らせたんだろう? そもそも、蔵元さんがあんな風にしてきたのはあいつの仕業なんじゃないのか」


 じっとにらみつけていたら、観念したのかライは床の上に降りてきて、また人の姿に戻った。


「違うと思う。園ちゃんには確かになにか言ったようだけど、りゅうちゃんを操ったりするのは沙夜には無理だ」

「あれは偶然だったって?」

「いや、偶然とは……あまり思えない。可能性はあると思う」

「どういう可能性?」

「俺には言えない……」


 またこれだ。

 心底うんざりして、ライに向けて手を払った。


「カラスに聞くからいい」

「玲二、いい、俺がやる。今日の出来事は確かにおかしかった。全部が偶然だったとは俺も思っていない」

「俺にはライが全部解決できるとは思えないよ」


 これまでの成果はゼロ。いや、マイナスだ、今日のアレのせいで。

 ライは悲しそうに喉をくるくると鳴らして、がっちりとした上半身で俺にしがみついてきた。


「大丈夫、玲二、ちゃんとやる! 今日はやるから。だからまずは俺に任せてほしい」

「そんなにムキにならなくてもいいよ。別に全然頼りにしてないわけじゃない。でも、苦手な領域みたいだから」


 ライはこれまでも何度か、なにか言いかけては止めていた。口にだしてはいけないことがこの鳥にはたくさんあるんだろう。

 戦う力がないなら、ライだって危険なところに突っ込まないほうがいいんじゃないのかな?


「いいや、失敗ばかりは俺もつらい。玲二の役に立ちたくて来てるのに、なにもできない。忍びないんだ」

「いいってば」

「よくない。玲二、本当にすまない。今からマスターのところに行くから、待っていてほしい」


 最後は俺の返事を聞く前に姿を変えて、窓から飛び立っていってしまった。



 夕方学校から電話がかかってきて、母さんがぼそぼそと話している様子をリビングから窺っていた。

 あんまりオーバーな反応をする人じゃないから、どんな話になっているのか予想がつかない。話は結構長くて、時の流れが遅く感じられる。

 

 今日起きた出来事は俺にとって最悪だったけど、唯一よかったのが母さんに詳細を話さなくて済んだことだ。ぐったりして帰ると、大変だったわねと迎えてくれた。

 見てたんなら止めてほしかった。膝に乗られてしまった時に。

 男となら確かに子孫はできないけどさ! 俺の気持ちを知ってて見逃すなんて、ひどすぎないか。


「明日もう一度話を聞かせてって」

「ああ、そう」

「朝職員室に寄ってほしいそうよ」


 ため息が出てしまう。

 園田と一緒に行って大丈夫かな。嫌な思いをさせてしまうんじゃないか。

 


 部屋に戻ると、良太郎からメールが届いていた。

 モテる男はつらいね、としか書いてない。


 その短さに少し救われた気分になって、園田にメールを送った。

 明日はとりあえず登校するけど、一人で行くよって。

 先生たちが蔵元さんを信じていたらどうしようかな。

 俺には一体どんな処分が下されるんだろう。


 百井がどう出るか、ライがどう動くかも気になって、この日はなかなか眠れなかった。




「お、来たか、立花」


 いつも通りの時間に駅に行くと、園田の姿はなかった。

 だから一人で電車に乗って、学校までやってきた。

 割と早い時間だから、知っている誰かと会わずに職員室までたどり着いた。


「おはようございます」

「疲れた顔してるな、そりゃそうだよな」


 担任の白石先生は気の毒そうな表情で俺を見て、奥にある生徒指導室を指さしている。

 中には教頭と、蔵元さんのクラスの担任、教務主任の先生が顔を揃えていて、緊張した空気に気が滅入ってしまう。


「昨日はだいぶ混乱したけど、蔵元が急に態度を変えてね」


 年季の入ったソファに座るよう促されて、まず最初に蔵元さんの変化について説明を受けた。今朝になって、自分が無理にしたことだからと言い始めたらしい。


「一方的に立花のことが好きで、それでつい、やっちゃったって。確認させてほしいんだけど、立花の認識は同じでいいのかな」


 一方的な好意が暴走してなのか。

 それとも二人そろっていかがわしい行為をしていたのか。

 俺が最後のハンマーを振り下ろさないといけない。

 

「……はい、そうです」

「投げ飛ばしたのは」

「どうしても離れてくれなかったので、仕方なく強く押しました」


 俺たちは共犯なのに、一方がかばってるかもしれないっていう見方もできるわけで。

 その場合、どうして机ごとひっくり返したのかってことになるけど。

 そこまで激しく愛し合ったなんて思われたくない。

 俺は最後まで、完全に否定するしかない。

 

 蔵元さんだけが悪いんじゃないのに。

 俺に関わったばっかりに、ちょっといい夢を見させられて。


 卑怯なのかな、俺は。だけど、だからって受け入れられない。俺が好きなのは園田だから、ずっと待たせてる彼女にこれ以上悲しい思いはさせたくないんだ。


 誰にでもいい顔をし続けるのは難しい。

 先生たちはわかったと答えて、俺に教室に戻るよう告げた。



 これが正解なのかよくわからなかったけど、教室に戻ると園田が笑顔で迎えてくれて、その明るい表情を見たら少し気持ちが晴れたような気がした。

 昨日とは全然違う、俺の大好きな顔だ。


「おはよう、玲二くん」

「おはよう」


 クラスメイトからは微妙な距離感を感じるけど、考えてみればもともと俺はそういう扱いだったんだから、気にする必要はない。


「よ、玲二。今日俺ん家寄ってけよ。そろそろ試験だから、一緒にまた対策しようぜ」


 良太郎が来てくれたおかげか、空気が少しずつ緩んでいく。

 

 この日、百井は登校してこなかった。

 次の日も来なくて、その次の日も姿を見せず、結局試験期間中もちっとも見かけない。

 

 あれからライは俺になんのコンタクトもとってこないけど、もしかしたらちゃんとやってくれたのかな。


 知らないところでひそひそと噂をされているかもしれないけど、正面きっていやがらせをされることもない。

 学校生活は元通り。俺は良太郎の家で園田と一緒に試験勉強にいそしんだ。

 敷島が島谷を連れてきて、良太郎が自分だけ一人だって文句をいうくらいの日々。


 例の会合にもちゃんと参加した。ライは黙って俺の隣に座って、なにも言わないままあっさり終わった。


 だから、大丈夫だと思ったんだ。



 十月の終わりの土曜日、園田の誕生会のために月浜に出かけた。

 会場は地元のレストランなんだけど、プレゼントにしたいものが取り寄せになってしまったので、仕方なくスーツで店に向かった。敷島から絶対にドレスアップして来いと命令されたので、それに従っている。園田には、いつもの友達四人で開催と伝えていて、俺と良太郎はサプライズで登場するんだとか。園田が喜んでくれるならスーツくらいどうってことないけど、似合っているのかどうかが心配だ。


 いつきも可愛い格好させるから、よろしくね。


 敷島の言葉に浮かれてしまう。

 文化祭の時の衣装はかわいかった。よく似合っていたし、あんなに安っぽいものじゃなければもっとよかったのにと思った。

 水族館の時に着ていたあのワンピースみたいな、可愛らしい感じになっているのかな。

 俺より先に十六歳になって、いつもより大人っぽくしているかもしれない。


 駅ビルの四階にある店でプレゼントを受け取って、再び駅に向かった。

 ところが、改札まであと少しのところですっと。


 黒い影が俺の前に現れた。


「よ、レイジ。偶然だな」


 クロだった。ジーパンに黒いパーカーを着たラフな格好で、俺に向かってニヤリと笑いながら、親指をロータリーの方向へ向けてくいくいと動かしている。


「せっかく会えたんだから、ちょっと付き合えよ」

「急いでいるんだ」

「本当にちょっとだけだよ! な、いいだろ? どうしても話しておきたいんだよ」

「なにを?」

「お前のせいで揉めてるんだろう?」


 百井か、ライか。

 どっちもなのかな。


「話ならここでもできるんじゃないのかな」

「馬鹿かお前。できるわけないだろう」


 腕をつかまれ、引っ張られて、結局路地裏に連れていかれてしまった。

 十分ほど歩いたらもう賑いはすっかり消えて、工事の途中で放り出されたビルが待ち受けている。


 埃で黒ずんだシートをくぐって中へ入ると、ライと、カラスの姿もあった。


「玲二、来ちゃだめだ。早く帰れ」

「なんだよ、待ち伏せてたのか?」

「そんなの無理に決まってるだろ、お前は見えないんだから」


 本当に偶然だよ、とクロは笑った。

 そして俺に指を突き付け、一言。


「お前の本当の姿、見せてくれよ」

「本当の姿?」

「お前には見えてるんだろ?」

「なにが?」


 俺には全部見えているのに、俺だけ見せないのは不公平じゃないかとクロは言いたかったようだ。

 そういわれても、隠している姿があるわけじゃないし、そもそも本当の姿とやらを見たのはライだけだと思う。俺の力で見たわけでもないし。


「見えていないよ」

「じゃあどうして沙夜の顔が見えるんだ?」

「そういわれても……」


 考えて、たどり着いたひとつの可能性。


「ライは学校で会う時は人の姿をしていて、うちにこっそり来る時には小鳥、本来の姿は大きな鳥でいいんだよな?」

「ああ、そうだ」

「それって、完全に姿を変えてるんだろ、自分で。百井は顔をよく見せる力を使っているから、それが俺には効かなくて本来の姿が見えてしまっているんじゃないかな」

「今の俺は?」

「黒いパーカーを着た男にしか見えない」

「本当の姿は、どうだ」

「だから見えないってば」


 説明したのに、本心かどうかわかったもんじゃないからな、と難癖をつけられてしまう。

 心の中が読めないっていうのはプライバシー的な面からすると嬉しい機能だけど、彼らのコミュニケーションからするととんでもない非常識でしかないようだ。


「ずっと信用してもらえなくて困ってるんだから、どうにかできるならとっくに見せてるよ」

「それが本音なら俺たちだって文句は言わないさ」


 無限ループじゃないか。不毛すぎる、こんな会話。


「どうしたら信じてくれる?」

「見せてくれたら」

「だから、ないんだって」


 ライが間に入ってくれようとしたけど、クロに突き飛ばされて積み上げられたがれきに突っ込んでしまった。


「ライ」

「玲二、逃げろ……」


 呻くような声は俺にとってはひどく不吉なものに聞こえたけど、クロはまったく意に介さないようだった。


「バカだな、ライ。俺に勝てると思ってんのか?」


 クロが笑って、さらに声が聞こえた。


「そうだな。じゃあ愚かな鳥を有効に使う方法を試してみよう」


 聞き覚えのない響き。


 がれきの中から立ち上がり、ライの体が輝く。


「ライ、やめろ!」


 カラスの声がしたけど、光は収まらない。

 ライは姿を神々しい本来のものに戻して、地面を蹴り、翼を一度打ち鳴らすと俺に向かって突っ込んできた。



 目の前が真っ赤に染まって、音が途切れる。

 ライのたくましい足が俺の体を捕らえ、鋭い爪が腹に食い込んでいた。


「ライ!」


 叫んだけど、多分途中で途切れたと思う。

 ライはぐるぐると回りながらビニールをぶち破り、空へ向かって飛び立ったから。

 風圧と痛みに耐えきれない。目の前は黒いフィルターがかかったみたいに暗くて、青いはずの空は灰色に染まった。

 腹に突き刺さった爪を外してほしいけど、空の上から放り出されたら死んでしまう。

 でも刺さったままでも死ぬかもしれない。

 レンタルのスーツに穴が開いて、このままじゃ園田のところに行けない。


 痛みで息が切れて、空を振り回される感覚が気持ち悪くて。

 だけど、ライが突然あげた叫び声が、やたらと苦しそうに聞こえたんだ。


 ライは俺を助けようとしてくれていたんだから。

 だから今、こうしているのは彼の意志じゃない。

 誰かが悪意をぶつけて操っているから、苦しんでいるんだ。


「ライ」


 俺の力。

 悲しそうにうなだれていた園田を励ませたじゃないか。

 あの時、もしかして、俺が誰かの悪意を払ったんだとしたら、今だってできるかもしれない。

 思い出せ、園田の涙を。見たくない、泣かせたくないと強く思った時の気持ちを。


「ライ、ライ、大丈夫だ。もう誰も、ライを操ったりしない」


 太い足首に手を添えて、風に揺られながら、必死で声を出した。

 弱々しく、とぎれとぎれだから、聞こえていないかもしれない。


「俺を助けてくれるんだろ? 俺もライを、助けたいんだ」


 それでも必死で繰り返していると、ふと爪の力が緩んで、頭の中に伝わってきた。


『玲二、玲二、すまない! なんてこった、俺は最低だ!』


 スピードは落ちないけど、押さえつけられている感覚は明らかに減った。

 爪が動くとひどく痛んで、声が漏れる。

 ライはそれを聞きつけたのか、また心に向けて謝罪の言葉を繰り返した。


「聞こえる、ライの声」

『玲二、もうすぐ降りる。だけど俺はお前のそばにいてやれない』


 心の中に直接響いてくるのに、泣いているのがわかった。

 黄金に輝く鳥は一体どこかはわからないけど、こんもりと茂った小さな森の中に着陸して、俺をそっと地面に置くと姿を人に戻した。


 爪の抜けた衝撃が全身を走り抜けていく。

 命がどばっと出たような感覚に、体中が震えた。


「玲二、すぐに人が来る。俺はここにはいてはいけない。だから、すまない。必ずこの詫びはする。これ、むしりとったものだから効果があるかわからないけど、お守りになるかもしれないから」


 小さな輝く羽根を一枚俺の胸の上に置くと、ライは走り去ってしまった。

 なにがなんだかわからないけど、考える余裕も全然ない。


 腹と背中に穴が開いている。

 抑えた手にぬるぬるとした生暖かいものが流れてきて、ひどく寒かった。


 あの時した声の主だ。

 ライが恐れていたもの。百井の名を出すのをためらう理由。


 でも、今の俺にたどり着けるのかな。

 ここで死ぬんじゃないか、こんな状態じゃ。


 園田の誕生日会に行かなきゃいけないのに。

 時間を確認したかったけど、腕時計は血だらけで盤面が見えないし、ポケットに入れていたはずのスマートフォンもなくなっている。


 冷たい土の上で悶えながら考えたのは、やっぱり園田のことだった。

 園田が待っているんだから、こんなところで寝ていられない。

 あのかわいい顔を見ないまま死ぬわけにはいかない。

 心を奮い立たせていると、目の前に白い小鳥が飛んできて、ぴょんぴょんと俺に近づいてきた。


 まっしろい小鳥は、いつの間にか落としていた金色の羽根を拾い上げると、俺の鼻先に運んできてくれた。


『玲二、しっかりして。もうすぐテレーゼが来る』

「誰……?」


 問いかけに返事はなかったけど、わかった。母さんの「ともだち」だ。


 真っ白い鳥に手を伸ばすと、逃げもせず、真っ赤に染まりながら俺の頬に寄り添ってくれた。


『ごめんなさい、玲二。この体じゃ、なにもしてあげられないわ』

「いいんだ。いてくれるだけで、心強い……」


 普通に話しているつもりなのに、声が弱々しくて自分でもショックだった。


『聞こえるの?』

「真っ赤にしちゃって、ごめん」


 視界が霞んでいく。

 横倒しになった森の中はもともと暗かったけど、上下からじわじわと黒く塗りつぶされて、輪郭もあやふやになっていくばかりで。


 もしかして。

 もう、ダメなのかな?


『玲二、目を開けて。まだあなたは十五なんだから、大丈夫よ』

「そうだね、……まだ若いから」


 傷もすぐにふさがるだろう。


 笑ったつもりなのに、口が動いていない。

 言葉のかわりに息が漏れるばっかりで、気力も一気に萎えて、みるみるからっぽになっていく。



 幕が下りていく。

 望んでいないのに、真っ赤な幕が下りて、舞台はもう真っ暗。


 だけど最後の最後に、誰かの姿が見えた。


 遠屋流。


 俺に近づいて来ようとしたけど、その後ろから母さんが走ってきて、突き飛ばされて左側に消えていく。

 思わず笑ってしまった。

 

「玲二!」


 心の底からの絶叫が聞こえて、ギリギリセーフ。


 底なし沼に飲み込まれる寸前で、なんとか引き上げられた。

 

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