スズラン
-人生、一期一会
「ねぇ…おいでよ。」
「マジで、するのかよ…」
--出逢いあれば別れあり
「ふふ、怖じ気ついちゃった?」
「は?んな訳あるかよ。」
---出逢いと別れは、最高で最悪なタイミングに訪れる
「愛し合おうね?」
「…。言われなくても。」
小さな商店街。歩道の端のほうに集められた桜の花びら。周りを見渡しても桜の木は見当たらない。
嫌になるほど天気の良い休日。
そんな、休日にフラフラと商店街の周辺を歩き回り見つけたベンチに腰を据えた。
ーー…平和だ。
彼はボソッと歩く人々に聞こえないように呟いた。
ーーー……ゃ……ぉ…ぃ?
女の人の声で夢の世界から引き戻される。
どうやら、いつの間にか寝てしまっていたようだ。
眠たい目を擦りながら開けると、彼女が立っていた。
ーーこんな所で寝ちゃダメだよ?
いつも見てる彼女が、そこには居た。僕には勿体ないくらいの人。
いつ見ても、どんな景色よりも綺麗な色で僕の目に映る。
ーーうん、ゴメンね?あと、おはよ。
ーーおはよ。ふふ、また謝った。
注意された事に対して、挨拶よりも先に謝罪の言葉が先に出てしまった。
彼女はクスッと笑う。その笑顔が僕の目に焼き付く。
いつでも、どんな時でも、その笑顔の為なら……
ーー為なら?何?
ーーえ?何も言ってないよ?
なんとか、誤魔化そうとするが彼女には通じない。
ーー嘘。口に出てたよ?
ーーゴメンなさい。嘘吐きました。
素直に謝る以外、彼女は許してくれないだろう。
最近は、彼女に謝る事が増えてきた。些細な事でも、僕が最初に謝る。
何でだろう。本能で彼女には勝てないって悟ってるからかな?うわぁ…そう考えると意外とショックだな。
ーー何を考えてたの?
項垂れてる僕の顔を覗き込み、僕の目を見つめる。
綺麗で濁りがない瞳。相乗効果のせいなのかな?こんな綺麗な瞳、見たことない。
ーーんー、内緒。
ーーへぇー、内緒なんだ。
苦笑いを見せ僕がそう言うと、彼女は頬を膨らませ不機嫌そうにする。
そんな、姿でさえも愛おしく感じる。
ーー僕は、幸せだよ。
顔を逸らしている彼女に向け言う。
ーーそう言って機嫌をとろうとしても無駄。
ーーわぁ…バレたか…。
さらに不機嫌な顔をし、綺麗な瞳で僕を睨む。
ーー本当に思っ……!?
彼女が言葉を発しているうちに唇を重ねた。
ーーごめん。嘘ついた。
ーー……その前に不意打ちを誤ってよ。
恥ずかしそうに手で顔を隠す彼女の頭を優しく撫でた。
ーー不意打ちじゃなければいいの?
好きな人を虐めたくなる。小学生と考えることが一緒なのかも知れない。怒られるの覚悟で意地悪を言ってみた。
ーーバカ…。
ーーうん、ゴメンなさい。でも……。
不意打ちの仕返しをされた。いや、僕にとっては嬉しいよ?
唇と唇が離れ、彼女はゆっくりと後ろへ1歩下がった。
ーー仕返し。
ーーうん、ありがとう。
仕返しに対して、感謝の言葉は違うか。
ーーあと、ごめん。
ーーんーん。謝んなくていいんだよ?君は悪くない。
僕は、この町から引っ越すことが決まっていた。理由は、親の転勤。高校生の僕は一人暮らしを認めて貰えずに、親について行くことを強制された。
ーー凄いね。今の一言で分かっちゃうんだ。
ーーふふ、君は顔に出やすいからね。
そんな事を言う君も顔に出やすいけどね。ほら、強がってるけど涙が溜まってるよ。
ーー必ずさ、ここに戻ってくるよ。何があっても…。また、昼寝してたら起こしてね?
ーー本当に君は……真面目な話の時、ふざけるよね。
ーーそういう性格なんだよ。
だんだんと太陽が傾いてく。時間は無限じゃない。誰かが言ってた気がする、時間は待ってくれないって。まさに、その通りだと今感じた。
ーーん、しょうがないなぁ…また起こしてあげるよ。
ーーゴメンね?その時は、お願いします。
僕らは再度、唇を重ね合わせた。この時だけが永遠に感じた。
小さくても活気のある商店街。いつものように、歩道の端のほうに集められた桜の花びらが視界に入る。
嫌になるほど天気の良い休日。
そんな、休日に商店街の近くにあるベンチに座る。
ーー…あぁ、今日も平和だ。
彼はボソッと誰にも聞こえないように呟いた。
空を見上げると一面青く染まっていた。
商店街のオッチャンの活気のある声。子供達が楽しそうに騒いでる声。鳥のさえずり、羽ばたく音。車のエンジン音。自転車のブレーキ音。
そんな、音を聴きながら瞼を閉じた。
誰かに呼ばれた気がした。どうやら、また寝てしまっていたようだ。
太陽の光と眠気で開けられない目を擦りながら開けた。
-人生、一期一会
「………。」
--出逢いあれば別れあり
「…………。」
---出逢いと別れは、最高で最悪なタイミングに訪れる
《コレを読んでいるってことは、最後まで見ていただいたということですよねー。》
《ありがとうございますー。》
《初の自作小説でしたが、どうでしたかー?》
《では、コレを読んでいる皆様にお願いがありますー。》
《アドバイスと感想を……御手数ですが書いて頂けると助かりますー。》
《では、また逢えることをお待ちしておりますー。》