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3/10

3疲れた

駄目ジャン私。


ここに来てから、駄目駄目だったが更に拍車が掛かってしまったような気がする。


次の日の朝目覚めると男はいなかった。

当然だろう、もう昼に近い時間だった。

不思議なことに男への怒りや嫌悪という感情はなかった。かといって親しみや慈しみ況してや愛情など微塵もなかったが。ここへ来てから、どうも頭がはっきりしない。


身体の不調に理性や感情が引きずられているのか、自分の身に起こったことがなんだかぼんやりとして自分が第三者のように感じられていることが大きい理由かもしれない。


しかし、被害は大きい。体中が悲鳴を上げている。

筋肉痛とか実際の痛みとか無理やり押さえつけられたときの打撲とか身体を少しでも動かそうものなら、泪が溢れ出す。


とてつもない大打撃だ。

起きている間中、男が来ないことを祈っていた。次の日も、また次の日も来なかったので油断していた。


4日目、夜もだいぶ更け寝入っていたところを無理やり起こされ襲われた。


それから、2、3日おきに男が来るということが十和の生活にどうやら組み込まれてしまった。

これは俗に言う夜のお勤めらしい。保護してもらったのだから代償は支払わなければならないようだ。

当然といえば当然だ。ギブ&テイクってやつだ。・・・ちょっと違うか。


まぁ見も知らない不審な女を唯で専用の使用人までつけて面倒見てくれているのだ。

それも病弱で役に立ちそうも全然ない女を。自分で言ってて悲しくなってくる。

この世界は、どう考えても自分のいた地球ではないことぐらい、これだけいればわかる。


異世界トリップってやつだ。古い言葉でいえば神隠しだ。


ヨーロッパのどこかの後進国というのも考えたが違う。

灯りが電気とかガスとか蝋燭ではなく魔法らしき何かだったのだ。


ここが確かに異世界だということがわかった。


ショックだったかというと実はそうでもない。

そのこととかもあるが、不思議なことに何かここへ来てから精神安定剤を飲んでいるみたいに感情の起伏がない。・・・飲んだことはないが。


とりあえず奴隷に売り飛ばされたり、捕まって牢屋に入れられなくて本当に良かったと思っただけだった。

ましてやこんな身体の状態で外に放り出されなくて良かったと思う十和だった。


そうでなかったら、絶対死んでいたわ。人生詰んでたわ。見知らぬ街でお金もなく、言葉もしゃべれない十和が生きていける要素など微塵もなかった。

ここに置いてくれて面倒を見てくれているだけでも感謝だわ。と思う十和だった。


多少のことは割り切ろうと思う。相手は禿でもデブでも臭くもないし上出来だと思う。

夜のお勤めだと思えばいい。実際ちゃんと果たしているかどうか疑問だが。


男は大層裕福な上、身分も高く、地位も高いようだ。その男に囲われたのだろう。

なんか地位も名誉も有り余るほどありそうな男がなぜ得体の知れない女を囲うのか本人ながらはわからない。


自分で言っては何だが、十和は十人並みという言葉がそのまま当てはまる容姿だ。身長やスタイルも完全に人並みだ。

男の気持ちや考えがわからない。


その女が病気だとか、言葉も通じなければ意志の疎通もはかれないとか。いきなり身体を求めるとか。

突っ込みどころ満載だが、まぁそれでも身体はデカイが見目は悪くはない。目つきは悪いが。十分清潔そうだし、人品卑しからぬっていう感じだし。

態度はデカく私をもののように扱っている感じだが。大概身体を要求されるくらいですんで良かったと思うことにした・・・良いわけがあるか。・・・まぁ・・・でも・・・。




自分感覚で1ヶ月が過ぎたが相変わらず体調は思わしくない。

2,3日置きの攻撃もさることながら身体の回復が覚束ない。身体の中の気力というかエネルギーみたいなものが貯まらない。

常にダルイし力が入らない。

それに加えどうやらここの重力は地球よりも大きい感じがした。気のせいではないと思う。

物が持ち上がらない。物というのもおこがましいスプーンさえやたら重い。

面倒を見てくれている少女がいないときに一度落として拾おうとしたとき、見た目のスプーンの重さじゃなかった。

食べているときも大概重いと思っていたが、はっきりわかった。ここの重力は地球より2倍とは言わないがけっこうあると。


そんなこんなではぼベッドの住人と化している。決して怠け者というわけではないと言いたい。


そんな中、侍女が全く口を利かないのには、半端でないストレスを感じている今日この頃である。


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