4人のコスプレイヤー
目が覚めると、洋館のような天井が見え、背中に硬くて冷たいところにいる感触が伝わってきます。
ここはどこだ?
たしか、タクシー事故に遭ったのではなかっただろうか?
そう思い、上半身を起こすと、床に寝かされていて、周りには4人の男がいました。
1人は王冠に赤いマントの白髪の老人で、玉座というのでしょうか、王様が座る椅子に偉そうに腰かけています。
ほかの3人は皆、鉄の鎧を着て、鉄の槍を持っています。
今、巷で流行りのコスプレというものでしょうか?
ハロウィンというものでしょうか?
こういったヤカラはあまり好きではありませんが、趣味は個人の自由です。
まあ、勝手に楽しんでください、と思うのですが、事故に遭った人間を床に寝転がせておくとは、ひどいのではないでしょうか?
ケガ人は柔らかいお布団に寝かせて看病するのが、当たり前ではないでしょうか?
少なくとも、うちの部屋ではそうします。
幸い、たいしたケガはないようですので、よっこらしょと立ち上がり、4人のリーダー格と思われる老人に「あのぅ、事故現場から助け出していただいたのでしょうか?」と話しかけると、返ってきたのはたいへん意外な返事でした。