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12 Gates City  作者: 澤群キョウ
02_Wrong choices 〈招かれざる客〉

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10 救いの街

 見知らぬ土地の見知らぬ家。

 狭い家の一階、ガラクタがあちこちに乱雑に散らばるそこで、男は息子をひたすらに抱きしめて座り込んでいた。


 迷宮に行って、死ねばいい。


 彼の息子ディオニーの受けた傷は深い。散々引き連れまわしたせいで、出血も酷い。今更医者を探して連れ込むには遅すぎる。


 大体、医者なんてものは軽い傷を負った時か、薬がしっかりと用意されている病にかかってしまった時に行くものだ。神殿へ行けば人の良さそうな顔の神官が待っていて、助けて下さいと願えば癒してくれるものだった。これまでのエリシャニーの人生ではそうだった。だが、ここ、迷宮都市ラディケンヴィルスでは違うという。

 傷を癒し、命を取り戻してもらえるのは「探索者」だけ、「迷宮の中で傷ついた者」だけだ。


 ゆっくりと心が鎮まっていく。


 たとえ、そうだったとしても。


 エリシャニーは大きく体を震わせた。今、まだ生きている息子を迷宮なんて場所に連れ込んで、「わざと命を落とさせる」なんて――。

 頼りにしていた神官たちの裏切りのせいで動揺していた。初めて手を差し伸べられて、それに何の疑問も感じずに縋り付いてしまった。だが、この判断は「正しい」のか?


「お待たせしました」


 ドアが開くと同時にした声に、エリシャニーはまた震える。外の光を背に受けていて、男の顔は見えない。

 嘆き悲しむ旅人へ「救いをもたらした」迷宮都市の住人。ジマシュはその後ろに一人の青年を連れていた。





「おい、デルフィ! ちょうど良かった、早く来てくれ」

 ジマシュは笑いながら、デルフィへとその「仕事の内容」を告げる。

「迷宮へ行って、死なせる?」

 とんでもない話に、デルフィは開いた口が塞がらない。

「そうさ。そうでもしなきゃ、あの若造は死んじまう。人助けだよ、神官殿」

「いや……。そんな、馬鹿な」

 

 ジマシュの話はすぐに理解できた。迷宮都市の神殿、神官たちを縛る掟について、鍛冶の神に仕える身であるデルフィはよく承知している。今までに迷宮都市以外の住人から助けを求められた経験はないが、その決まりを聞いた時には「薄情な」と思ったものだった。

 しかし、だからといって。神官であるデルフィの心は揺れる。確実に救う方法ではある気がする。しかしとにかく、邪道だ。


「こんな真似をしなきゃならないのはお前らのせいだろう? 神官たちが融通を利かせないから。その困っていた男は、エリシャニーという名なんだが、ガルデナンの商人だとさ。手にこんな大きな石のついた指輪をしていた」

 眉間に深く皺を寄せるデルフィとは対照的に、幼馴染の顔は底抜けに明るい。親指と人差し指で大きく丸を作って、ニヤニヤと笑っている。

「ジマシュ、君は」

「いいから準備をするんだ。『黒』へ向かうぞ。その前にこれを、ロッテンの店へ預けてきてくれ」

「なんだいこれは」

「指輪だよ。迷宮へ入る時には身軽な方がいいから、外してもらったんだ」


 袋から取り出された指輪は全部で五つあった。どれも立派な石がついていて、陽光を受けて輝いている。

 指輪はそれぞれが随分と重たいものだが、それにしたって、これを外しただけで身軽になれるはずもないだろうとデルフィは思う。


 心の底から、頭の後ろの方から、不快な靄が忍び寄ってきているようだった。


 これは良くない。これはきっと、良くない。

 故郷で師事していた司祭の悩み深い顔が思い起こされてくる。

 デルフィ、よく考えなさい。お前の役目は何か、考えなさい。お前の隣にいる男が何をしようとしているか、考え、認めなさい。認めた先で何をすべきか決めなさい、と。

 旅立つ前に言われた、師の言葉。彼と共に行くのなら、お前は心を決めなくてはならない。それが神に仕える者の進むべき道だろう――。


「エリシャニーは今、息子と一緒に俺達の家にいる。そうそう、馬車も預けに行かなきゃならないんだ。それでだな、行くのに出来たら」

 楽しげに計画を語るジマシュの声を、こんな声が遮った。


「お前は!」


 シルサージ通りの朝。

 探索者たちが一番多く迷宮へ向かう時間たちを過ぎて、人通りはほとんどない。街の中央、迷宮の入口の北にある市場に商人が集まり、店が開く頃だ。


 そんな時間に路上で、誰かと楽しげに話している男。その顔にはっきりと見覚えがあって、フェリクスは思わず叫んだ。


 雑事を済ませ、今日はアデルミラの兄を探そうと思っていた。

 有名な探索者であれば、その名は大勢に知れ渡っているはずだと、カッカーの屋敷で出会った面々は言う。アデルミラの兄の名は誰に聞いても知っている者がおらず、「地道に探す」しか残る手立てはない。誰も兄について知らないという事実は、アデルミラの心に少なからず影を落としているようだった。

 フェリクスはそう感じ、探索者になる為の訓練の合間に出かけては、その名を知る者がいないか尋ね歩いていた。


 今日は北東にある武器防具の店の並ぶ通りへ行こうと思っていた。その途中に目に入った、二人の男たちが話す光景。


 アデルミラの兄と並んで探し求めていた姿がそこにある。


「ジマシュ、知り合いかい?」


 件の男、ジマシュの隣にいるのは神官らしい。身に着けている神官衣は「鍛冶の神」に仕える者の証だ。

 ジマシュは深い緑の瞳を大きく開き、フェリクスを見つめている。少し驚いたような表情をしていたが、やがて視線を柔らげ、優しげな笑顔を作って両手を広げた。


「ああ、君か。確か少し前に、橙の迷宮の地図をあげた、かまどの神殿の近くで会った……、そうだろう?」

 ジマシュは両手を広げたままでフェリクスへと近づき、ぱんぱんと両肩を叩いてきた。その人懐こい様子は意外な物で、滾っていた心の中の熱が霧散していく。


 

 そう、疑問に思っていた。確かに「黄」の迷宮へ足を踏み入れてしまった原因は目の前にいるこの男だ。結果的に、散々な目に遭った。だが、それが「わざとだったのかどうか」?



「あの後、『橙』へは寄ったのかい? 初めての探索は上手くいったかな」

 隣にいる神官はきょとんとした顔で、一歩後ろへ引いてしまった。こちらはどう見ても気弱そうな表情で、悪意は感じられない。

「いや……。それは」

「どうしたんだい? 何かあったのかな。仲間と共にいただろう。仲違いして一人きりになってしまったのかい」


 心が揺れる。

 食堂で会った「彼」は親切だった。初めてこの街へやって来た頼りないひよっこたちを、導こうとしてくれた。

 だが、彼の言葉が足りなかったせいで、命を落とした者がいる。あの時、自分の腕の中にいたアデルミラの温かさと、頼りなく震える体をはっきりと覚えている。


「あの時の連中は、三人が死んだ。俺ともう一人はなんとか無事に帰ったが……」

「三人も?」


 今目の前にいるこの男の様子はどうだろう。あの時と同じ、朗らかな声。もしも、ただの「うっかり」だったとしたら。「橙」と「黄」、その間違いやすい二つの迷宮について、単純に話し忘れただけだったとしたら?

 そう頭では考えつつも、フェリクスの口からはこんな言葉が漏れ出していた。


「あんたは親切に色々と教えてくれたが、伝え忘れたことがあっただろう? 俺達はあの後、『黄』の迷宮へ足を踏み入れた」


 デルフィの表情が凍り付く。蒼ざめた顔で幼馴染を見つめ、手を組んで小さく祈りの言葉を呟いている。

 ジマシュは「ああ」と苦しげに声を上げ、両手で顔を覆って地面に膝をついた。


「そんな……、そんな恐ろしいことになっていたなんて……!」

 どうやって君に詫びればいいのだろう、とジマシュは体を大きく震わせている。

 その隣で、デルフィはそっと口を開く。

「三人死んだというのは、その『黄』の迷宮に入ったからかい?」

「ええ」

「ジマシュ、君は彼らに何を話して、何を伝えなかったのか。信じられないよ、そんな酷い間違いが起きてしまったなんて」

 仲間からのごく真っ当な意見に、ジマシュは頭を抱えている。散々呻いてから、おそるおそるといった様子で顔を上げ、やがてこう呟いた。

「君はよく、無事だったね。君ともう一人はどうやってあの『黄』の迷宮から生きて戻ったんだい?」

「それは……、たまたま運よく助かったんだ。通りかかった探索者がいて、『帰還の術符』を譲ってもらった」

「『術符』を? そんな探索者がいるなんて」

 デルフィの声は高く、裏返ってしまっている。隣のジマシュも、今は驚きの感情の方が強いようだ。鋭い目を大きく見開いて、眉間に皺を寄せている。

「でも、その代金を返さなくてはならなくなった。俺は彼らに十万シュレールも払わなくてはいけない」

 

 借金の額に、デルフィはますます驚いた表情を作っている。

 ジマシュも同じように顔をひきつらせたが、次の瞬間、ぱっと顔を輝かせてフェリクスへこう告げた。

「君の名は何というんだ? 我々は今から仕事をするんだ。上手くいけばかなりの額の謝礼がもらえる。ちょうどもう一人、手伝ってくれる誰かが欲しかったんだ。君、良かったらどうだい? 簡単な力仕事だよ、時間もかからない」

「ジマシュ?」

「ここで出会ったのはきっと運命だ。せめて君の力になるよう、神が導いたのだろう。まずは今日、ささやかではあるだろうが手伝わせてくれ」

 ジマシュはまっすぐにフェリクスを見つめて告げる。君に背負わせてしまった借金の返済を、少しでも進められるようにと。


 ジマシュから、隣の神官デルフィの名が勝手に紹介される。そして改めて名を聞かれ、戸惑いつつフェリクスも名乗った。

「フェリクス、まだここへ来て日が浅いなら、探索以外の稼ぎ方を覚えていった方がいい。何も無理に迷宮へ行かなくたっていいんだ。家を建てる手伝いをしたり、用心棒をしたりだとか、『探索者』の副業は色々とある」

 そういった仕事は大抵、他の探索者から紹介されるものだとジマシュは話す。共に迷宮へ潜らなくても、知り合いが多い方が便利であると彼は語った。


 随分と饒舌だ、とフェリクスは思う。すっかりジマシュのペースで事が進んでいる。


 ただ単に気のいいだけの男なのか。まだはっきりとはわからない。ここで彼の話に乗るべきではないのかもしれない。

 しかし、もしもいい仕事があるのなら助かるのも事実だった。借金を背負ったのはフェリクスだけではない。アデルミラが一日でも早く「探索者」を辞められるよう、前進できるならしておきたい。


 そして一つ、フェリクスの胸の中にはある想いがあった。

 探索者の生活は常に危険に晒されている。人を見る目がなくては生き残れないと、カッカーの屋敷で出会った誰かが言っていた。大勢と関わり、時には失敗するといい。一番危険なのは、「うまくやれる」という勘違いなのだと。

 自分と仲間。信じるか、疑うか、勇気を出して進むか、それとも退くか。

 何が正しくて、何が間違っているか、教えてくれる者も知っている者もいない。すべて自分で判断し、選んでいかなければいけない。だから大勢と関わり、他人を知っていくといいとその「誰か」は語った。


「どうだい。悪い話じゃない。一日で他のどんな『副業』よりも稼げるはずなんだ」


 目の前にいるジマシュ。彼を信じていいのか否か。それを見極めるために、あえて一歩踏み込んでみよう。青年はそう考え、この胡散臭い話に乗ろうと決めた。


「そうか、それは良かった。デルフィ、馬車と宝石を預けてきてくれ。フェリクス、君は私と来てくれ。準備をしなくちゃならない」

 


 ジマシュに導かれて着いた先は、彼らが拠点にしているという貸家で、そこには怯えた様子の男が一人、傷だらけの青年を抱きしめて座っていた。


「お待たせしました。馬車と貴重品は私の仲間が預けに行っています。さあ、準備をして出かけましょう」


 エリシャニーは小さく口を開いたものの、しばらくの間黙ったままだった。

 しかしやがて蒼い顔をしたまま、小さくこう呟いた。


「迷宮へ入って、大丈夫なんだろうな? 『黒』というのはなんだ。ディオニーを本当に助けられるのか?」


 震える男の隣にしゃがみ、その肩を抱いてジマシュは優しく囁く。

「この傷では今から他の街へ行くにも、医者へ担ぎこむにも遅過ぎるでしょう。『生き返り』の奇跡を施してもらう為にはこれしか方法はありません」

 

 心の中に湧きだす、不安で出来た暗い雲。


 突然現れた「探索者」の言葉は、冷静に考えてみれば滅茶苦茶なものだ。

 最終的には「救い」にはなるだろうが、その前に息子に一度「死ね」と言う。その冷淡なやり口がこの「迷宮都市」では「普通」なのかどうかすらもわからない。

 戸惑いの中で溺れかけながらエリシャニーが顔をあげると、ジマシュの隣に一人の青年が立っているのが見えた。


「そこの彼は?」

「彼はフェリクスといいます。彼と私で息子さんを連れていきます。もう一人の仲間、鍛冶の神に仕える神官でデルフィという男がいるのですが、彼は『脱出の魔術』というものが使えるので、上手くいけばすぐに外へ出られますよ」

「そんな便利な術があるのか。そうか、なら、少しは安心だ。それですぐに神殿へ運べばいいんだな?」

 力強く手を握ってくるエリシャニーに向けて、ジマシュは頷いて答える。

「ええ、僕たちも準備をしましょう。探索者らしい恰好をするんです。神殿で余計な疑問を持たれないように。フェリクス、手伝ってくれ」


 ジマシュとデルフィの二人が借りている家の一階には倉庫があって、そこには様々な武器や鎧の類が入れられていた。その中から、エリシャニー親子の体に合う物を探していく。

「軽いものがいい。何せ一人支えていかなきゃいけならないんだからな」

 ジマシュは大真面目に倉庫の中を探っている。隣に立つフェリクスは中をきょろきょろと見回しながら、頭に浮かんだ疑問を口に出した。

「あの父親の方はついて来る必要があるか? 置いていってもいいんじゃないか?」

「それはいかん!」

 倉庫の中を漁る二人へ、エリシャニーは大声で叫んだ。

「いやその、すまん、助けてもらってはいるが、ついさっき知り合っただけの者に大切な息子を任せるなんて……」

「いいんです。この状況でいきなり信頼するなんて無理な話です」

 ジマシュは手をぱたぱたとフェリクスへ向けて振り、小声でこう嗜めてきた。

「大切な家族がこんなにも大きな怪我をしているんだ。付き添いたいと思うのは当然だろう? 『迷宮』なんていかにも恐ろしい場所へ、勇気を振り絞ってついて行こうと決めてくれたんだ。父親の鑑だよ、あそこに居られる方は……!」


 声は少しずつ大きくなっていって、家の入口に座り込んでいるエリシャニーにもはっきりと聞こえていた。


「どうして、そんなにも親身になってくれるんだ……?」

 

 それは、独り言だった。エリシャニーは自身にしか聞こえないであろう囁くような声で、口の中でこう呟いただけだった。そのはずだったのに、思ったよりも大きく声が出ていたのか。

 長い間商売をして暮らしてきた。大勢の道行く人を呼び止めて商品を売り込み、他の同業者たちを出し抜いてきた。これまでにどれだけ大声を張り上げて生きてきたか。

 鍛えられたよく通る声だから、小さく呟いたつもりでも、遠くまで響いていたのかもしれない。


「『迷宮都市(こ こ)』は特別なところです、エリシャニーさん」

 ジマシュは薄い造りの胸当てを持って、迷える商人の下へ歩み寄って行く。

「ここでは、他の場所では決して手に入らない物が多く見つかるんです。魔法の道具も、食べ物も、薬も。新しい薬の原料が見つかって、大勢の命を救ったと聞いています。それに」

 エリシャニーの隣に膝を付き、肩へ手を置き、それはそれは優しげな声でこう続ける。

「他の街にはない奇跡すらある。大勢を救ってきた場所なんです。でも、その『特別』のせいで救えるはずの若者を救えないなんて間違っている。そうでしょう?」


 胸の中で浅く弱く息を吐いている息子の顔を見つめ、エリシャニーは思わず、涙をこぼした。

「ああ、そうだ。他の街であれば、簡単にこの傷は癒えたはずなんだ」

「神殿の連中が決まりで駄目だというなら、その決まりを利用してやるんです。『生き返り』には随分金がかかります。この街の連中だったとしても、金がなくて仲間の命を諦める者は多い。だがあなたには支払える(できる)! さあ行きましょう。これを身に着けて下さい!」

 

 フェリクスは傷だらけのディオニーの体に胸当てをつけてやりながら、その光景を見つめていた。


 エリシャニーは涙をぼろぼろとこぼしながら、ジマシュへ感謝の言葉を述べ続けている。

 どうか息子を助けて欲しい。この礼はいくらでもする。

 ジマシュは輝かんばかりの笑顔で、力強く頷いている。

 大丈夫、今から行く迷宮は人も少なく、浅い階層から魔法生物が出るのです。すぐに戻れますよ、と。


 「黒」の迷宮は玄人向けだと聞いていた。

 通路が狭く、途中にはくねくねと曲がっている部分があり、方向感覚が掴み辛い。分岐する道も、上下の移動も多い複雑な造りをしているという。罠は少ないが、敵が多く出現するので攻略は難しいとされている場所。


 だが、今回の目的にはよく合っているだろうとフェリクスは思った。

 早く行かなければディオニーの命が尽きてしまう。明らかに「迷宮で受けた傷で」死んでいなければ、神殿へ連れて行っても断られてしまうのかもしれない。

 

 混みあっておらず、敵がすぐに出現する場所。罠が少ないのならば、スカウトがいない編成でも問題はないだろう。

 カッカーの屋敷で教わって来たそれぞれの迷宮の特色を思い出していくと、やはり「黒」が最も目的に合っている。そう考えながら、フェリクスは視線をジマシュへと向けた。


「準備はできたか?」

 まるで見られることを察知していたかのように、ジマシュが声をかけてくる。

「ああ」

 慌てて頷くフェリクスへ、ジマシュは笑顔で答えた。


「こっちも準備は完了だ。行こう。『黒』の入口で、もうデルフィが待っているだろうよ」

 

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