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花冠の花嫁  作者: 瑠璃
第3章 舞踏会までの道
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3.魔法

おばあ様と楽しくお話ししていたら、あっという間に時間が過ぎてしまい、あれよあれよという間に準備をしなくてはいけない時間になってしまった。


「あなたはきれいよ。それに自分が気づいていないだけ。あなたの大切な人がいってくれたんでしょ。内面の美しさが外見にもでると。自信を持ちなさい。国母である私もお墨付きをあげる。あなたはきれいよ。」

そういってマリアの頬にキスをして、祖母は去って行った。


「あなたはきれい。」


祖母の言葉が魔法のように染み渡る。

身を清め、ドレスに袖を入れる。髪をセットし、装飾具を付ける。

侍女たちの手を借りながらしていくそれが、魔法をかけられていく過程のように思えた。


舞踏会のドレスはエメラルドグリーン。

瞳が緑だから映えるといわれ決めたものだ。


マーメードラインのドレスは大人っぽくて素敵だけど、今のわたしだと着せられている感が満載。

仕立て屋や侍女たちの意見も取り入れて無難にAライン。


ごてごて飾ってあるのは好きではないので、なるべく飾りは少なくシンプルな形にしてもらった。

ビロードの手合わりは素敵だったが、姉さまからビロードのドレスは重くで動くのに一苦労と聞いていたから、無難にシルクにした。


一見、どこから見ても無難なドレス。

無難、無難で、デビューにはちょっとさみしいかな?って思うけど生地に少し、仕掛けがある。

光の当たる角度で、色が金色っぽく見えるのだ。


(金なんて派手だけど、光の加減でそう見えるなんてさりげなくて素敵じゃない?)


そう思って、決めた一着なのだ。

久々につけるドレス用のコルセットはきついし、胴体が固定されるから楽な姿勢がとりずらい。

でも、お気に入りの一着を着れると思うと、気分が浮足立ってくるのだ。


「きれいにできましたよ。」

マーサの言葉で目を開けるときれいに髪をカールして、きれいに化粧をされた自分が目の前にいた。

立ち上がって姿見に自分の全身を映す。


どこから見ても、きれいなお姫様だった。

コンプレックスだった赤毛も、みなが丁寧に手入れをしてくれたおかげでキラキラ輝いていて、マリアが憧れるストロベリーブロンドのようだった。

きつくみられる緑の瞳も、ドレスの色が映し出されて、穏やかで凪いだように見える。

そばに控えているみんなも満足そうにしていた。


(まるでわたしじゃないみたい。)


魔法にかかったような気持ちのまま、マリアは父のエスコートで会場に向かうのだった。

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