1.プロローグ
わたしはマリア。
マリア・スノーフレーク・フォン・ミーレッシュ。
ミーレッシュ公爵家の一番下の女の子。
公爵家っていうからには身分は国の中だと上から数えたほうが断然早いんだけど。
身分より何より家族がすごい。
お父様は国の頭脳って言われるぐらいに頭のいい宰相殿下で公私において国王様の右腕。
お母様は国王様の妹で国の華って呼ばれたぐらいの金髪・碧眼の絶世の美女。
お兄様は騎士団で次期近衛隊長って噂されている腕のたつ騎士。
お姉様はお母様の美貌を受け継いだ美女で頭もすごくよくて社交界の華って呼ばれている。
あまりに家族が派手だからわたしも色々期待されていたみたいなんだけど…
わたし自身は、国の頭脳と言われるお父様の賢さも絶世の美女といわれたお母様の美貌も受け継いでいない。
いたって平凡だと思っている。
家族の中で一人だけ、髪の色は赤だし、瞳の色は緑だし…。
一応、お父様のおばあ様がわたしと同じ髪の色と瞳の色だったらしいんだけど…。
「あなたは森から拾ってきた子なのよ」っていわれても驚かない自信がわたしにはある。
これから始まる物語はそんなわたしの社交デビューのお話。
色々不安だし、家族の恥になるのは嫌だから逃げちゃおうかと思って、逃亡計画もたてたけど。
わたしのことをいつも見守ってくれて、世話をしてくれるマーサに見つかってしまったからには逃げられなくなっちゃった。
一応公爵家に生まれたからには社交デビューは義務みたいなもの。
いままで何とかなってきたから何とかなるって信じて頑張ってみようと思う。
それでは、はじまり、はじまり。