表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/14

9月8日



 夫とケンカをしました。


「もし自分で、最近飲みすぎてるな、と思うんだったら一度病院に行ってみてもいいんじゃない?」


 やわらかく、優しく言ったつもりです。


 夫も心の強い人ではないんです。いろんなつらさからお酒のチカラを使って逃げたいという気持ち、共感はできないけど理解はできます。だからずっと黙っていましたし、今回言ったのも夫の体が心配だからです。


「俺が?え?なんで?どういうこと?何を言ってるの??急に飲むようになったのは紗良のほうだろ?なんで俺が病院に行くんだよ」

「私が?あなたこそ何を言ってるの?私がそんなに飲まないこと知っているじゃない」

「そうだよ。だから心配してるんじゃないか。前は全然飲まなかったのに、急に飲むようになったみたいだから…だから心配しているんだろ?」


 どうやら夫は、自分が飲んだことを本気で忘れてしまっているようです。


「俺はいいんだよ。飲み慣れてるから。紗良は今まで、飲みすぎて記憶がなくなるなんてこと、一度もなかったじゃないか。そりゃ心配になるよ」


「……………」


 私は何も言えなくなった。どうやら夫は本当に本気で、私が冷蔵庫のビールを飲んでしまったと思ってるらしい。そこまで完全に記憶がなくなることってあるんだ……あまり飲まない私にはわからないことだ。


 夫は完全に記憶がなくなっていて、私がビールを飲んでいると本気で思い込んでいる。そして私が記憶をなくしていると思い込んでいる。それが真実だと思い込んでいて、それは絶望的で、否定する方法がない…隠しカメラを設置する?いや、それはさすがに……これ以上こじらせたくない。


 夫の優しさに疑いはありません。だからきっと、本気で私を心配しているんだと思います。2人ともお互いを心配しているんです。ケンカをしたいわけではないんです。


 夫が飲んだビールの数にくらべて、空き缶が少ないようで……やはり多少の罪悪感があるんだと思います。

 それでビールの空き缶を、自分で捨てに行ってるのかもしれない。

 まあ、それすらも記憶にない可能性もあるし、……あれ、前にも「空き缶がない」とか言ってたような。……うーん。なんかよくわからなくなってきました。でも……。



 もうケンカはしたくない。今後、この話題はしないことにします。





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ