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8月22日



 私たち夫婦は喪服を着ている。


 夫の親戚…正月に集まった時に合うくらいの遠めの親戚で、子供の頃に一回お呼ばれしたときに、すき焼きを食べさせてもらって、それがおいしかったとか言ってたような…まあ、付き合いの多い親戚ではなさそうです。その人が死んだので、車で10分ちょっとの夫の地元の町まで行ってきます。

「優人は?」

「りっくんとおもちゃ部屋にいるよ」

「うん……じゃあ、線香だけ上げて帰るか」

「死んだ人、遠い親戚なんでしょ」

「うん、遠い親戚だけど同じ町に住んでたからね、俺の両親なんかはたまに会うこともあったらしいけど、俺は正直、顔もあんまり覚えてないんだよな…亡くなったとか言われても、すき焼きの思いでしかない」

「そんなにおいしかったの?」

「まあ、おいしかった記憶だけど…他人の家ですき焼き食うってあんまりなくない?それで覚えてるのもある」

「まあ、そうかもね」

「亡くなった人にかける言葉が「すき焼きありがとうございました」しかないんだから、長居するのも気まずいだろう」

「ふふふ……そうね」


 私は「亡くなる」という言葉が苦手です。その人の生きたすべてが無くなってしまうような気になるからです。

 すき焼きも、きっと夫にとって大事な思い出だと思います。

 無くならないでほしいと思います。




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