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エピローグ





俺は橋爪先生から借りた屋上の扉の鍵を開けて、屋上に出た。

壊れていた扉の鍵は俺が卒業して直ぐに直されてしまった。

時折屋上でタバコを吸っていた橋爪先生がその鍵を管理する事になったらしい。


扉の向こうはあの時と変わらない風景が広がっていた。


俺は屋上に降り立ち、街が一望できる場所に立つ。

街には高層マンションが増えて、少しその形相を変えていた。


俺はバッグに入れていたカレーパンと缶コーヒーを出した。


「もう六年か……」


俺はコンビニで買ったカレーパンの袋を開けるとそれにかぶり付く。


「この味は変わらないな……」


そう呟いて笑った。

それを缶コーヒーで流し込む様にして食べる。

俺はこれまでに幾つのカレーパンを食べて来たんだろうか。

そんな事を考えるとおかしくなった。


腕に付けたスマートウォッチを見ると夕日まではあと少し時間がある様だった。


俺はコンクリートの上に缶コーヒーを立てて、スマホを出すと屋上から見える街の風景を何枚も撮った。


九月二十一日の屋上はまだ夏の熱を持っていた。

日本は四季の国から二季の国になるとテレビで言っていた。

既に夏と冬しかないと俺は感じていて、ワイシャツだけの季節とコートを着込む季節しかない気がしていた。


俺は食べ掛けのカレーパンを口の中に放り込み、缶コーヒーを飲んだ。


スマホが振動してメッセージが届く。

そのメッセージを開くと、


《明日の君、明日の私。今日と何が違う……》


そう書いてあった。


来たか……。


そう思った瞬間、屋上に出る重い鉄の扉が開く音がした。


振り返ると、そこには草森香奈江が立っている気がした。








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