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オオバコ  作者: 清浄
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四つ葉ドールその8

僕達はヅラを買い終わってルンルン気分で帰路に着いた。


心なしか親方の頬がにやけてるのは、気にいったヅラに出会えたからなのかもしれない




「ん…そう言や…今日って診察の日じゃねーか」


「診察って、超宇宙の?」


「そうだぞ、来ていただいているのは白春先生さ…。この国唯一の薬師さ」


「ふーん…変わった名前だね」



「ご年配の方には色を使った愛称が多いんだ。特に白色というのは人気があってな」


「まぁ…6色王国だから、色を使った名前が普通なのか…」




僕は超宇宙のいる部屋まで歩いていくと、部屋の扉が空いているのが見えた。



僕はゆっくり覗きこむと、超宇宙とベッドに腰をかける緑色の物体が見えた。



「ひっ」


僕は思わず声をあげてしまい咄嗟に口を覆った。


悲鳴をあげては失礼だと思ったからだ。




そこには木で作られた人形がいた。


頭には木こりが被っていそうな緑色のとんがり帽子を身につけている。

身体はペンキで塗装して、服を着ているかのように装っている

全体的には緑を基調とした木こりの衣装という感じだ。


人形の顔が無表情でどこか冷たさを感じる



「あれ、薬師の方は?」



「君の目の前にいるさ」


人形がカタカタと口を開いているのは、どうも心臓に悪い。

僕は声が漏れそうなのを必至に耐えた



「この人大丈夫な人??」



超宇宙は僕のあまりに失礼な発言のせいで、苦笑いを浮かべた。




「私はね…、人形とは人のためにあるべきだと考えいるよ。人に危害を加えない。それが私の人形としての信条さ」


僕は不気味だったので、苦笑いしか出来ないでいた。


「木偶の坊、それは失礼だからやめた方がいい。この方は有史以来50年薬師として勤めてこられ。薬の代金も、ほぼ材料費だけしか受け取らない。自分に厳しく信条を重んじる方なんだ。この国で最も信頼の厚い人間の1人なんだ」


「まぁ…仕方ないのかもしれないね。私が人形なのがいけないんだ。でも少し寂しいな。人形の良さをわかってもらいたいもんだ。私はいつか人形館の店主でもやってみようか…」



「そんな事しなくても、先生の事はみんな大好きですから安心してください」



「ところで、君は木偶の坊と言ったね…。君がユフィーが言っていた」


「?」


白春先生がいきなり僕に近づき、耳元でボソボソと話しかけてきた。



「君はタートルマンが何故、そのような名前がついたか知っているかね」


唐突な質問に僕は一瞬頭が真っ白になった。

ユフィーとは一体誰のことだろう。



タートルマン…

僕が知っているのは氷の巨人ということだ。

それ以外の知識は僕には…



「硬いからとかじゃないかな?」


「硬いかどうかはわからないな……。答えはすごくノロイからさ」


「すっごいカッコ悪いね」


「君は他人事だね…将来的に君はあぁなるのに」


「!?」


「言っている意味がわからないんだけど?」


「タートルマンが何故ノロイのかなんだけど、複数人の記憶を有してるからなんだ。複数人の人間が一斉に思考しようとするとフリーズする。だから、氷の巨人とも呼ばれる所以さ」


「タートルマンは例外なくそのような状態になる。あらゆる魔法を試しても効果がない。思考を矯正させようとしたり記憶を消そうとしても無駄なんだ。あれは、人造で作られた擬似魂みたいなもんで、脳とは別に心核と呼ばれる部分にも記憶を保持している。存在が異形なんだろうね」


それは、強制の魔法も意味ないのだろう。

いきなり梯子を外されたみたいで、動揺してしまう。人格の安定化を1番求めていた。


「ステージ1で、躁鬱状態になるみたいだけど。君はまだその段階ではないみたいだね。キミの中には異なる人格が存在する。異なる感情が表に出てきたら。そのうち吐き気も催すようになる」


僕自身の存在は人化の術によるものだと聞いていたが、多分それが目的ではなく。何かしらの実験として作られたもののようだ


「僕がタートルマン?何でそう思うの?」



「私が受け持つ患者の中には、80%の確率で当たると自称している予知夢を見られる子がいるんだよ。その子が言っていたんだ。愛称はユフィーって名前だね。ちなみに彼女も君の家族の病弱な子と一緒の症状を持っているんだよ」



「君から知識を無理矢理引き出させたい、君以上に博識な子は他にはいないとも言っていたよ。全てを打開する鍵になるとね」






「タートルマンの話しも君からの情報みたいだね。あともう1つだけ、他に君が残した話しがある。聞くかい?」



「話しを聞くだけなら…」


「首つり木で最初に死んだのは酒好きな1人の学者だったってさ。不思議と誰にもそんな記憶なんかないんだけどね。その時の会話の一部を話すね」




「私達は東の島国にある、確率のダンジョンと呼ばれる場所に派兵させられた。3万の兵で調査をしたが、帰ってきたのは僅か10数名。戦いも過酷であったが、何よりも苦しませたのは奇病だった。戦わずして死んだ同士も多い。四肢が捥げるあのシーンは今でもトラウマだ」


「私たちは、そのダンジョンの選定と呼ばれる特性を研究した。6色王国はそのダンジョンの擬似的な模倣だ。もっとも…似ても似つかない出来損ないだがね。私たちの言語で無理矢理作ったのだから」



ダンジョン?この場所はダンジョンの中なのかな?



いや…確かにそんな気がしなくもない。


この確率のダンジョンの他にも…

東には、特異なダンジョンがある…。そんな気がする。確か、どんな記憶を消してくれるダンジョンがあるような。


それが本当なら……あるいは…


タートルマンは生存可能かもしれない





それにしても、ダンジョンの模倣か…。

それをする意味がわからないね


「ダンジョンの模倣と、タートルマンがこの国に関わっているかもしれないっていうのはわかったよ」



「それで、これにはどういう意味があるの?」


「さぁ?」


「さぁって言われてもな…」


「君が知っているはずだ、君が話さないとこちらが困るんだよ。タートルマンが何かの実験を意味することはなんとなくわかるんだけどね…同じ肉体に複数人の記憶を入れる為の実験。あるいら複数人の魂というのかな?あまり愉快なものではないのは確かさ」



「スキルオーブ…」


「スキルオーブというのはなんだい?」



「ううん、なんでもない。そんな単語がふと頭の中をよぎっただけ。多分意味はないと思う」


「そうかい、君が知らないのなら仕方ない」



ここの世界の住人は魔核を持っているのに最初疑問を持ったのを思い出す…。


これは…本当は…魔核では無くて…本当は…






「仮に僕が将来的にそんな発言したとするじゃん、でもそれが本当の事かわからないよね?僕が害悪ある発言する可能性があるわけだ」


「確かに君の伝聞を予知したところで、真偽自体はわからない。私からしても世迷言の類とは感じるが、それを否定する何かもまた持ち合わせていない。仮に嘘であろうとも興味を惹かれるね」




僕とその人の会話はそこから何の進展もなく終わった。

タートルマンの話しを聞き体調が悪くなってしまったからだ。

適当に僕は相槌をうつしか出来なかった。






その日の夜、僕は嫌な夢をみた。




線引き…







これは、家畜の話だ…


雄のヒヨコなら、生まれたあとに選別し、ぴよぴよ鳴いているうちに凍らせてしまう。

凍らせると、その瞬間一匹も鳴かなくなる。人によっては辛いものになるだろう。


人として生きるためにこれは仕方がない。

そう、線引きだ。


ヒヨコを殺すことが苦手な人であっても、黙認する。生活には仕方ないと、残酷であろうとも目を逸らす事で生活していることであろう。


ヒヨコには刷り込みというものがある。親と思い込んでしまったものに殺されるというのは非常に残酷だ。




では、糞尿の中に住む寄生虫やら回虫ならどうだろう。多分多くの人間にとって殺すのは容易な事ではないだろうか。


生き物の大きさによって、あるいは脳の大きさによってこの線引きは大きく揺れ動く





生活の為だから仕方ないね。

そういう線引きは日常に孕んでいる。


必要であれば、人はどこまでも残酷になれる。

理由を与えてしまえば、仕方ないで済ますのが人間というものだ。


もし、人間が家畜だったら?

そこで線引きしてしまうものがいたとしたら?


大義名分さえあればいい。



全て線引きの問題なのだ。

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