四つ葉ドールその5
親方と比べても遜色のないイカつい女性が食卓にいた。横に太い…青髪の縦ロール。全体的に髪はもっさりしていた。
痩せている時に僕は出会ってみたかった。
顔のニキビが今の特徴の1つかもしれない。
息子の超宇宙と比較したらこの遺伝子は母親に近かったであろうか?
いやでも何かこの家族には違和感を感じる気もしなくもない。
血の繋がりはそこまで感じない。
息子の方は少し優男っぽいイメージを感じる。
母親は少し強気な女性ではありそう。
若い頃はモテていたかもしれない。
ひょっとしたら1人の女性を取り合ったかもしれない。
そう思うと時間の流れの残酷さを思わせる。
この分なら、超宇宙の髪は大丈夫そうではなかろうか…?
親方は若い頃に禿げたという。
僕は頭頂部を観察しようと思う。
共通の仲間に慣れそうな気もするのだ。
旅は道連れ…。
「なんだおめーよ。まだ髪の事気に病んでたのか。人の髪ばっかり見比べてよ…」
「…だって。ないから欲しがるもんでしょうが…あ…そうだ!僕はメイクセットも所望する」
「後で買いに行けばいいだろ、おめーさんそこそこ持ってただろう」
あ…これは自腹の流れだ
「……ヅラは自腹じゃないよね?一応確認」
「あー、あれ結構値が張るんだよな…得に女性ものは…憂鬱になってきた。後払いでも返してくれねーかな」
いけない…これは日和ってる。
「全然、男性用でもいいから奢って欲しいです。あとはメイク力を駆使します!!」
僕はスライディング土下座を決めた。
さっきまで被っていた帽子を床に置き、ツンツルテンの頭を目の前に差し出した
「あぁもう、わかったから食事の後にしろっんだ」
「本当、騒がしいったらありゃしないねアンタたちは」
飯食べてる場合じゃない、人生を作用する大事な場面だというのに。
こちらの真剣さをまるで無視されたかのようで少し目から涙がこぼれ落ちた
買うものがある。慌てて椅子に座り僕は皆の食べ始めを待った。
別に食事の挨拶はなく、各々が勝手に食べ始めていた。
食パンに目玉焼き、何の肉かわからない干し肉。
天然酵母のふっくら仕上げの食パンと目玉焼きはいいとして
干し肉は硬すぎる。しばらく噛んでいるとじんわりと旨みがでてくる…。朝食…。忙しい朝に似つかわしくない。
僕としては急いでいるこの時に食べたいとは思わない。焦ったさがやはり勝ってしまう。
「それにしても、木偶の坊がこの場所に辿り着いたのは運命かもしれないね。まるでこの家を賑やかにしにきた天使みたいだ」
あだ名で呼ばれるのは少しこそばゆく感じた。
声を上げた主は今まで沈黙だった超宇宙だった。
背伸びしているのであろう。
少し大人っぽくいったつもりだろうか?
「この六色王国と名高い…アインシュル王国の黄色側…このグルズア領に辿り着くなんてね。我が家は誰も血が繋がっていない、だけどね…楽しい時間は共有出来るんだとボクは信じている」
「血が繋がってなくても俺らは家族だろって何て寒みー台詞をはかせやがんだ」
あだ名で呼び合う家族…、血の繋がらない関係。
何故かはわからないが、心が凍りつくような感情を抱いた。
この震えは、あの老婆の死体をみた時以来だろうか…。
人生の楽しみを1つづつ拾う作業の真っ最中だ。
つまらない事は考えたくはない
「…アンタどうしたんだい。急に顔が固まっちまって」
まるでこの関係性が当たり前なのかのように、みんなが僕の顔をみてポカンとしていた。
「アインシュル王国では、血が繋がっていないのは当たり前なの?」
僕は初めて作り笑顔をした。
「んなの当然の事だろ…何を馬鹿言ってんだ」
少し常識から外れている僕からみても、動揺しているのに何故この人たちは…こうも平然としているのだろう。
この人たち…いや…この国の人間たちの方が僕よりも人形らしいのかもしれない
僕は人の名前をちゃんと呼んであげたい
そのときそう感じた。
「無知次いでに、もう一つ聞かせて。何で血が繋がってないの?」
「ボクたちの住んでいる領土に産まれ落ちるかがわからないからなんだ」
「産まれる場所が違う?」
「アインシュル王国は、6色の領土に色分けされているけど、実際には同じ領土なんだ。建物や土地なんかは共有しているんだけど。人や個人の物といったそれぞれの領の物は共有されない」
「産まれた時点でどれかの領土に色分けされる…か」
運動会の組み分けじゃないんだから。
子どもをそんな事しちゃ駄目だよね…
他人の子どもを育てるのは当たり前…。
お腹を痛めてまで産んで…実の子どもに名前もつけてあげられない。
「貴族連中は王の親戚みたいなもんだから。お互い子どもを取っ替えするみてーだな。うちの領主なんかは取っ替えはしないタチみてーだがよ…。王族の血はかなり薄いって話だ」
「取っ替え…?話し合いが成立するの?」
「学園と王宮の位置は全ての領土の人間が集まる場所になっている。別に会えないわけじゃねー」




