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オオバコ  作者: 清浄
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四つ葉ドールその4

「まぁ…あれだそこまで気にすんな」


突然の背後からの声に身体がビクッとなる。

この声の主は先ほどの男の声だ。


僕は大きく深呼吸をした。

あの巨人を前に並の心臓ではいられない。


僕は恐る恐ると振り返ろうとした。



「…ひゃい」


突然、男の手が僕の肩を叩いた。

男は軽く叩いたつもりだろうが、大きくゴツい手が肩に乗るとその衝撃で心臓の鼓動まで止められたかのような衝撃をうける。


「ひゅー…ひゅう…んはっはぁ…」


また過呼吸になるところを必至に耐えた



「セーフ!!」



「おい、お前本当大丈夫か?」


この男が背後に立っていなきゃこうはならんよ。徹頭徹尾あんたのせいだよ。



「まぁ、いい…。あぁーなんだっけ。髪の事なら気にすんな。俺もなぁ…若い頃に禿げてな。そろそろヅラを買い替えようかと考えてたところだ。次いでだ…合うのがあったら買ってやろう」



「うぉー!!!!最高⁉︎何それすごい助かる!」



「そんなに目をキラキラさせると少し照れるな」




…ん…ヅラ。このボサボサ頭が…なるほど。

僕はおじさんの肩を軽く叩いた


「お互い育毛頑張ろう!!」



「なんか…すっげー悲しい気分になるのは俺だけか?」


めちゃくちゃいいおじさんじゃん、ヅラ買ってくれるし。ここまで拾ってくれたり。


顔に似合わない働き。

ここまで出会った人は本当に超親切だ。

普通ここまでしてくれない。



「いや…家族ってわけでもないのに…そこまでしてくれるなんて…それはそれで悪い気がする」



「まぁ、その事何だけどよ…俺も腹を括ったぜ。おめーさんが良かったらいつまでもいていいぜ。行くあてねーんだろ」



あまりの衝撃発言に耳を疑った。

日に何度心臓をいじめようというのか?


「結婚しろということ?おじさん、ロリコンさんなの〜うわー」



「はっ…ふっざけんな。俺は既婚者だっつーの」



なら、愛人というわけだろうか。

なるほど、業が深い



「なんだい…本当に騒がしいね…」


女性の声がした。台所からなのだろうか。

先程からパンの焼けるいい匂いがする。



不倫現場…。


いや、僕は先程何をみた。

箸が4組あったじゃないか。


なら、これは向こうも了承済み。

つまり、僕は第2夫人候補、あるいは第3夫人候補ということも。


「いや…結婚しないなら…第2夫人候補ってわけでもないのか」



「なーに、ぶつぶつ気色悪い事言ってんだ。ガキに手を出すわきゃないだろ」


「全く…紛らわしい事いうから」


「本当に叩き出すぞ!このクソガキ」



「なんだい、先程まであんた心配してたじゃないか。「あいつ、辛い思いしてたんだよ…俺はよー俺はよー決めたぜっ」てそう聞いたよ」



ん…何か行き違いがあったような気もするけど。何か忘れているような気もする。


そして先程から少し離れたところから聞こえる声はやはり台所からだろうか。



「そりゃ最低限コイツが家事手伝いしてくれたらって養うぜって!そう言う話だったじゃねーか。まだこいつの口から聞いてねーよ」


男は声を大きくしてそう言った。




「んー、話が見えない。おじさんにはまだ言ってないと思うんだけど僕はここに住むのが目的じゃなくて、ただ学園に行きたいだけなんだけど…」



「あーわかってるさ。カバンの中を漁ったからな…学園への推薦状だろ。だが、金はどうするつもりだ。寮生活だともっと金がかさむぞ…」



「…そんなお金ない…」



全身筋肉痛、満身創痍、おまけに空腹で目が回りそうな状態…


それなのに今から家探し…

嫌すぎる


「なるほど!僕行くあてがないんじゃん」



「だーかーら、そう言ってんじゃねーか。それに見なかったか?その帽子。ご近所さんに頭下げて譲ってもらった帽子。それは学園で被る帽子だろ」


おぉ…この帽子は学校に行くための必需品らしい。


「まぁ…手伝いしてくれたら食費ぐらいなら出してやっから。あとは、奨学金を借りて卒業したら地道に返していくんだな」



…シビアだ。

学校に行って帰ったら家の手伝い…。卒業したら借金返済。


でも、ここまで親切にしてくれるだけでもありがたみがある。


「息子も今年で10歳だしな…。そろそろ入学させてやらないといけないな」


「息子も?他に誰か10歳の子どもが?」



「いや、おめーだよ!」


10歳…うーん、確かそういう設定だったような。




男の話によると、病弱な息子がいるのだという。いきなり高熱を出したかと思えば…。しばらくベッド生活。体力が回復したかと思えば、少し歩いただけでへばる。


原因は不明らしい。


今はよっぽど身体の調子がよくて、リハビリの最中なのだとか…。



僕は、余命の短そうなそいつは友だちに必要ないと感じた。時間を費やしたところで、無駄になる気がしたからだ。

最低限の付き合いは必要ではあるだろうが…



「朝食だ…。あいつ呼んでこねーとな。オメェもついてこい」


僕は一体何のために食卓に座らされていたのかわからない。


嫌嫌…席を離れて男の後ろを歩く。


途中家の窓からは、洋風建築がみえた。


豪邸だろうか?羨ましい。この狭苦しい間取りの家と交換して欲しい。


いや流石に贅沢がすぎる。この男に対して申し訳ない。


「おい、食事出来たぞ!息子よ!」


家族で…本名を呼べないのは生きづらい…

他所の家庭でもそうなのかもしれないが


ならば僕が思う最高なあだ名をつけてあげよーじゃないか。


木の扉を開けるとそこには、1人の男の子が座っていた。


思っていたより元気そうだった

もう少し病弱なイメージがあった。

青色の肩までかかる長い髪、白い肌。背は僕より10cmぐらい高そうだ。顔はあのおじさんには似ていないが、彫りの深さなんかは似ているのかもしれない?

ん…微妙なところだ。あの人の遺伝子入っているのだろうか。

あと、5kg…いや。8kg太ればそこそこモテるのではないだろうか。

服装は白のネグリジェ。

ネグリジェは寝巻きとしてはポピュラーだろう。男女兼用な服だが、より女性が着ているイメージが強い。

多分、僕の認識は正しい気はする。


うん、病弱な身体も相まって似合ってるんじゃないだろうか?



この息子に、自己紹介はド派手に決めなきゃ。


「僕のあだ名は木偶の坊!この悪口のような名前は、悪口をバネに成長せよとつけられた有意味な名前なのだ」



僕はドヤ顔でそう言った。



「僕は君のあだ名を考えてやろう…ざぁ〜こ…なんてどうだろう。君はそれをバネに最強へと至るのかもしれない?」


「なぁに俺の息子に向かって、舐めた口を聞きやがる。そんなあだ名がつけられて学園でいじめられでもしたらお前命はないと思え」


突然、頭に痛みがはしった



「あっ…痛った…殴ったね…破屋の君にも殴られた事ないのに」


別にこいつとは親しくも何ともないんだからあだ名なんて何でもいいんじゃないかな。


「息子の事は超宇宙と呼べ。俺のことは親方だっ。妻の事は母なる大地と呼べ」



この家族とは関わるべきなのだろうか?ひょっとしたらやばい家族なのではないだろうか…。


「ネーミングセンスが鬼輝いています!凄すぎる!」


センスが良すぎて僕は心ときめいた

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